第8話 中学生
母は料理をしなかった。いつもスーパーの惣菜とレンチンご飯か冷凍食品だった。
今日は惣菜のコロッケとごぼうサラダに、冷凍の焼きおにぎり。全てレンチンで事が済むので食べやすい。私はそれらを皿に乗せてワンプレートにして食べる。コロッケには中濃ソースをかけて。
確かにスーパーの惣菜は美味しいし、冷凍食品は常に進化して、これが本当に冷凍食品なのかと疑う時もある。この焼きおにぎりだって、レンチンするだけで香ばしい醤油の風味とふっくらしたお米が凄く美味しい。惣菜のコロッケも、家で作るより安価で綺麗に成形されていて、味ももちろん保証されている。ごぼうサラダだってそうだ。
でも、なんだか味気ない。これがほぼ毎日となると、だんだんと飽きてくる。なら自分で作れば良いのではと思い、たまに作ったりしてみるが、なんか違う。
小さい頃に亡くなった祖母はとても料理が上手だった。具体的に何を作ってくれたかは覚えてないが、すごく美味しかったのは覚えている。小さい頃はほとんど祖母が作ってくれていた。それをイメージしているからか、自分で作ってみても、なんだか腑に落ちないような、どこかで納得していない自分がいるのだ。
祖母が亡くなってからは、コンビニ弁当や外食が増えた。ちょっと母が作ってくれた料理もあったが、母は料理が苦手なようだ。卵焼きが出された時は下が焦げてしまっていたし、シチューを出された時はルーがさらさらで、人参がとても硬かった記憶がある。そんな母の料理も1ヶ月ほどで消え去り、今度は宅配弁当で毎日お弁当が届いていたが、それも母は飽きたのか、スーパーの弁当や出前が多くなった。贅沢を言う訳ではない。たしかにスーパーの弁当も出前もおいしい。しかしなんだかやっぱり、違う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます