2 てこの記文

てこはたくと結婚して10年目。一緒になった当初は、二人とも希望に満ち溢れていた。


世間は、家事を必死にやって仕事もほぼほぼ行って、子育てしてやっと頑張っててキラキラしてる感があった。てこも、当初は家事も仕事も頑張って自分の年齢なりに輝いてる自分を夢見ていた。しかし全てが思い通りという訳にはならなかった。仕事場で「子供を作らないの」とか聞かれたりする事があっても「出来ないんです」と言うしかない。子供の話があると会話に共通点が出来て時々息苦しく感じる時もあり割り切る感情を持つしかない。


数年後、たくのお母さんが亡くなり、その後自分も体調が悪くなって家にいる時間が長くなった。


てことたくの生活は楽しいこともあったけど、喧嘩をするとたくは欠点を突いてくる。ご飯を作っても毎日続くと美味しくなかった事の方が覚えていたり、お互いに言い方で喧嘩してしまったり、どれだけ頑張っても些細なミスで怒られることもあった。


ある日、体調が悪くなったてこは病院の手術で卵巣と子宮、それに大腸を少し取った。その後の検査結果は卵巣明細線癌だった。



てこは抗がん剤治療を受けて髪の毛がほぼ抜け落ちた。

抜け落ちた時は猛烈に心が折れた。外に出る時帽子をかぶればあまり気にしなかったが、抗がん座治療を始める前に買ったカツラを被るタイミングを逃して使わず仕舞いで、抗がん剤治療が終わり髪が生え始めるので髪が少なくても頭皮が汚れていると生えにくいのでシャンプーを使って頭を洗ってくださいと言われ楽になった洗髪とドライヤーを毎回実行している。


手術後たくは色々面倒を見てくれて、もういいというくらい頑張ってくれた。昔のように体は動けず子供も出来なかったが自分には身の丈にあった生活なんだと思い、内心たくには申し訳ないと思っている。

愚痴もあるけどてこは楽しい日を作ってくれてありがとうと。不器用なりに感謝して、そんな日々を送っていた。


終わり

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