たとえば、上手に夢が描けなかったり、家族に対してわだかまりを抱いていたり。
そういった、誰もが共感しうる青春時代の葛藤を、丁寧に掬いあげた作品です。
主人公は、はじめ、家族と素直に向き合うことができずにいます。
しかし、アニソン歌手になりたいという少女と交流を重ね、またキスミレの花を思わせる不思議な少女との出会いを通して、しだいに心が前向きなものへと変化していきます。
そうして、少年はやがて自分が大きな愛に見守られ、ずっと背中を押され続けてきたことに気づかされていきます。
この作品に出てくる人物はみな純朴で優しく、心の温かさを感じさせます。
少年の成長や気づきを瑞々しく丁寧に描いた青春系ライトノベル。
一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。
タイトル通りの不可思議なコメディ寄りかと思いきや。
意外にちゃんと青春しています!
主人公の高校生、光磨は、実はアニソン歌手を母に持つ青年。
しかし幼い頃に母は他界。
またリアリズムな性格や人間と距離を置きたい性格から、文芸部の仲間も居なくはないが、友達という友達も居なかった。
と、そんな彼の前に突然現れた少女。
光磨に会いに来たという彼女は、アニソンになりたいから協力してと願い出る。
何故か一部の相手以外にはその姿も見えず、時に突然居なくなる神出鬼没の彼女。
そんな彼女が見えた、同じクラスメイトの菜帆が話しかけてくるようになり、二人は名もなき少女、通称電波ちゃんが何者かを知り、どうすれば居なくなるかを探り始める。
といったあらすじで進んでいくわけですが。
出だしこそ突拍子がないですが、光磨が電波ちゃんや菜帆と触れ合い、電波ちゃんの謎を追うようになる中で、少しずつ変わっていく様。
そしてそこから広がる人間模様はちゃんと光磨の成長も含め、しっかり青春を感じさせてくれます。
また、電波ちゃんの存在が何者なのか。
彼女がいうアニソンになりたいという言葉の意味は。
そういった謎を中心に置く物語が、ジャンルを現代ファンタジーとしている通り、ちょっと不思議な学園ものを感じさせてくれます。
描写はしっかりとしていますが、拘りすぎて読みにくいという訳でもない良さがあります。
レビュー時点で連載中の本作。
アニソン系の話題なだけあり、そういった要素が好きな方にはこの先も注目してほしいですが、光磨と仲間の青春群像劇としても面白い本作。
アニソンや電波という言葉に惑わされず、読んでみていただくのをオススメしますよ!\\\\٩( 'ω' )و ////