私の小説とあの人 お題:君の即興小説 制限時間:15分
「読んでみたいな」
そうあの人は言った。
綺麗な瞳を輝かながら私を見つめている。
「書いてるんよね、小説」
やめてほしい。そんないいものではない。
小説と呼ぶのもおこがましい散文なのに。
それなのに。どうしてそんな興味があるような綺麗な瞳を私に向けるだろう。
「君の事、もっと知りたいんだ」
あの人はそう言いながら私の隣に座ってきた。
なんて事だろう。近くにいただけでドキドキしていた私の心臓は今や弾け飛びそうになっている。
あの瞳がいけない。
あの輝きはきっと人を惑わす魔性の光だ。
「ねぇ、いいでしょう?」
私がなんとか平静を保とうとして色々と考えいたのに、あの人の声がそばで聞こえるとあの輝いている瞳も近くにいて私を見つめているのがわかるともうどうしようもない。
きっと見せるまでそばにいるのだろう。
いっそ見せないでそばにずっといてもらえたらと考える。
ダメだ。きっと身体と心が持たない。
だからあの人に私の書いた小説を見せた。
どんな感想が来るのか不安と少しの期待をもって。
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