第14話:救助計画
「サヴィル公爵閣下、レジナルド様とオーウェン様が毒を盛られているようです」
そのひと言が私の理性を崩壊させてしまいました。
別に遊び人でどうしようもない父親が毒殺されようが知ったことではありません。
私が許せないのは天使のように可愛いオーウェンに手を出した事です。
グロリアにとってはテニソン侯爵と不義密通までしてもうけた息子ではありませんか、ヘーゼルにとっては両親を共にする姉弟ではありませんか。
それを見殺しにするなんて鬼畜の所業です。
「ヒルダ公、気持ちは分かるが暴走してはいけないよ。
私に手伝えることなら何でもするが、暴走してはレジナルド殿とオーウェン殿が急いで口封じされてしまうよ。
ヒルダ公の密偵はバニングス城の奥深くにまで入り込み、これほどの情報を持ち帰ってくれるほどの腕利きだ。
レジナルド殿とオーウェン殿を連れてバニングス国から脱出させることは無理でも、解毒剤を渡す事はできるかもしれないよ」
あまりの怒りにノーマンが側にいてくれる事すら忘れていました。
ノーマンが声をかけてくれたお陰でほんの少しだけ理性を取り戻せました。
そうでなければそのままバニングス城に乗り込んでしまっていました。
ですが、なんとか抑えていますが、本当は今直ぐにも助けに行きたいです。
それにノーマンの言っている事は現実的ではありません。
「それは流石に無理ですわ、殿下。
厳重に警戒している王城に忍び込み、解毒剤を何度も渡すのは難しいです。
何としてでも急いで助け出さなければいけません。
そのためなら今まで隠していた全力を使います」
「それはちょっと怖いですね。
ヒルダ公の全力がどれほどの力なのか、想像もつきません。
宜しければ何をやろうとしているのか教えてくれますか。
もしかしたら私にも何か手伝えることがあるかもしれません。
それに、まあ、ないとはおもいますが、見落としがあるかもしれません」
ノーマンの言葉が胸に染み入ります。
本当に私の事を心配してくれているのが伝わってきます。
だからこそとても複雑な心境になってしまうのです。
今直ぐにオーウェンを助けに行きたい心境なのに、ここでノーマンに説明しなければいけない事に苛立ちを感じてしまうのです。
「私は莫大な魔力を持っているのです。
本気になれば、今日中にバニングス城に乗り込んで国王以下の王侯貴族全員を殺すことも簡単なのです。
今ここでノーマンと話している時間も無駄なのです。
だから今直ぐバニングス城に行かせてください」
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