第9話:婚約と討伐
「ええと、これはいったいどうなっているのですか、ヒルダ嬢」
「ノーマン第三王子殿下の事ですから、必ず国王陛下を説得してくれると思っていましたから、そのご厚意に報いるための準備ですわ」
「それにしても、これだけの傭兵と冒険者を集められると、少々不安になってしまいますね、どうやって集めたのですか」
「普通に報酬を払って集めたに決まっているではありませんか」
「それにしても、一万を超えるほどの数を集めるとなると、並大抵の金額ではありませんよ、それをどうやって用意したのか心配になります」
「ふっふっふっふっ、開拓地と同じです、女の秘密ですよ」
「ふぅうううう、ヒルダ嬢の女の秘密は恐ろし過ぎます」
メイナード王子は王家の力で簡単に真実の証言をさせられるでしょうが、ヘーゼルに証言させようと思っても、サヴィル公爵家のバニングス王国派が抵抗します。
今のサヴィル公爵家には、グロリアが嫁いできた時にバニングス王国から付いてきた家臣もいれば、後から送り込まれてきた家臣もいます。
更に情けない事に譜代なのにバニングス王国に寝返ったモノもいます。
こんな連中の抵抗を最低限に抑えるには、圧倒的な兵力が必要です。
それにメクスバラ王家やサヴィル公爵家ではなく、私個人で一万の兵力を動かせる事を実際に見せつける事が、メクスバラ王家に対する圧力にもなります。
この力を見せつけることで、メクスバラ王家が約束を破る事を防ぐのです。
この戦力を背景にして、グロリアとヘーゼルは処刑します。
バニングス王国の介入も跳ね返します。
女にしか興味がないバカ親父は隠居させて塔に幽閉します。
ノーマンを婿に迎えてサヴィル公爵家の政務を押し付けます。
そして私は好き放題させてもらいます。
この世界ではまだ発明されていない植物紙を大量生産させて、パトロンとなって小説家を育てるのです。
何が哀しいかと言って、面白い小説がない事くらい哀しい事はありません。
最初は神話でも何でも構いません。
できれば各地に伝わる英雄譚や戦記物がいいですが、贅沢は言いません。
恋愛小説は苦手ですが、好き嫌いで依怙贔屓はしません。
とにかく小説が読みたいのです。
まあ、恋愛が苦手というか、そもそも誰かを好きになった経験がありません。
ですがノーマンが好意を寄せてくれるのは素直にうれしいです。
女は好きな男性よりも好きになってくれた男性と結婚する方が幸せになれると聞いた事がありますから、まあ、ノーマンと結婚しましょう。
そしてノーマンを王位につけます。
その方が国民も幸せになれるでしょう。
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