第17話 ピクニック小隊

「シェリ先輩、今度の大会一緒に組んでもらえませんか?」


 約束をしている訳ではないが昼食の時間に食堂に来るとシェリ先輩に会える。ルーウェンはスプーンを置きシェリにお願いをした。


「先に約束している友達がいるの」


 申し訳なさそうにシェリは答えた。まだ数人の余裕があるし上級生の力をぜひ借りたい。シェリ先輩の友人なら安心だろう。


「無理でなければその先輩も誘って頂けませんか。ご期待に添えるメンバーになっていると思います」


「私も一緒です」


 ルーウェンは実力のあるメンバーがいると伝えたつもりだったがこのイリアの一押しがシェリに勘違いを与えた。そもそも、シェリはルーウェンたちの学校での成績を知らない。


「わかった。相談してみる」


 シェリは大会にそこまで興味を持っていなく、ルーウェンやイリアと楽しく参加出来るならいいと思い友人に相談することにした。



 昼食が終わりシェリは教室に戻る。


「エリスちゃん。後輩に今度の大会で組んで欲しいと頼まれたの。エリスちゃんが良ければ返事をしようと思って」


「いつも話してる子だね。別に優勝をしたい訳じゃないしシェリの可愛い後輩くんのためならいいわ。」


「ありがと。メルさんとイリアちゃんもいるから」


 ルーウェンだけじゃないとエリスに説明したけど聞いてない。王子殺しの名前をちゃんと聞いていたら、このとき断る選択が出来たのに。


「そうと決まったら気合いを入れてお弁当のメニューを考えないと」


 誤解とは怖いものだ。この後、エリスは軽い気持ちで返事をしたことを後悔する。これから入るところは優勝候補と校内で噂されるほどの小隊なのだから。


「楽しそうな話しをしてるのね。今度の大会の話し?」


 次なる犠牲者がやってきた。


「そうよ。シェリが後輩くんに誘われて私に頼んで来たの」


 口下手なシェリに後輩の知り合いがいることをナーシャは驚いたがこれは面白いことになっていると思い乗っかることにした。


「私も入れてもらおうかしら。まだ空きはあるの?」


「きっと大丈夫」


 ルーウェンは人数を聞いてこなかったし多い方が喜んでくれる気がする。


「私は焼き菓子にするね」


 ナーシャの担当が決まった。


「いい大会になるね」


 3人はピクニックにでも行くのだろうか。頼もしい上級生を期待するルーウェンと楽しい遠足を予定する上級生のミスマッチな小隊がここに結成された。

 

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