第12話 テスト勉強
宿屋の1Fの隅を借りてルーウェンたちはテスト勉強会を開いていた。熱心なイリアに対してやる気の無さそうなサラ。2人とも成績は上位のようで秀才タイプと天才タイプの違いなんだろう。
ルーウェンとハルトは飽きてポーカーを始めている。注意するメルとそれどころでなく勉強するケイ。みな自由に過ごしていた。
ケイは大食いが得意。士官学校には一芸に秀でた者や頭の良い者が合格しているが勉強が苦手なケイにはどんな能力があるのかとエーシズをそっと見て考える。平常心と唱えながらハルトがレイズしてくるのを待つ。
「ケイの得意なことってなんだ」
不躾に古くからの知り合いだというハルトに尋ねる。
「変なことを聞くんだな。見ててわからないか?」
やっぱり食べることなのか。いや、なんだろ。ルーウェンは不思議だった。
「イリア、ここを教えてくれますか?」
「分かりました。ここは……」
解らない問題をイリアに聞いているケイ。6才年上のはずのケイがイリアに教えてもらっている光景はなんだか面白い。ハルトは強めに打ってきた。しめしめ。
開かれた3枚のカードの1枚にエースが落ちた。サラの方から良い匂いがする。注文したパンプキンパイが届いたようだ。羨ましそうに見ているケイと気付かず問題の解き方を説明するイリア。ターンで2枚目のエースがめくれた。
「ルー様、そろそろ勉強して下さい」
いいところでメルから横槍が入る。これからオールインをしようというのに待って欲しいルーウェンはむっとしていた。
「わかった。やめにするか」
ハルトはカードを集め片付けようとしている。なんとか続けたい。
「ケイさん、わかりましたか?」
途中から上の空だったケイは苦笑いしながら「うん、ありかと」と元の場所に戻っていった。
「ルーウェンさん」
手の空いたイリアもメルに続いて勉強をするよう注意する。人のことは言えない。ルーウェンも12才の少女から注意を受ける。ケイは分けて貰ったパンプキンパイを食べ「ありがとう」とサラの頭を撫でていた。サラも嬉しそうだ。
イリアは問答無用でカードを奪う。リバーでめくるはずだったカードが見えてしまった。強制終了されたルーウェンはガッカリしていた。
「ツイてたな」
ハルトはカードをこちらに投げた。ロイヤルストレートフラッシュが完成していた。危うくまっさらになるところだったルーウェンは素知らぬ顔で勉強を再開した。
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