第8話 ルーウェンVSハルト
頭の中でアラートが鳴り響いている。ハルトの剣はこの数ヶ月嫌と言うほど見てきた。
悲観してた剣の腕はルーウェンが思っていたよりも弱く無かったし学年の5指に入るだろう。メル、ハルト、サラ、王子……うん、そういうこと。1番弱い。
「ハルト、親友と見込み提案がある」
「なんだ」
「停戦して協定を結ぼう」
今にも斬りかかりたくてうずうずしている親友にお願いを試みる。
「いい提案だ親友、しかし俺に権限はない」
絶対いい提案なんて思っちゃいない。サラ頼む。早く勝ってくれ。
「行くぞ!!!」
バチンと凄い音が響いた。剣と剣がぶつかった衝撃音。腕が痺れている。ハルトの1撃を耐えた自分を褒めたかったがそんな時間はない。1度後ろに飛んだハルトは勢いをつけ再び剣を交わす。
「うわぁぁぁ!」
思わず声が出た。これ訓練だけど死なないよな。メルは許してくれるかな。そうだメルならどうする。考えろ。
考えている間も容赦なく攻撃が続いた。
ルーウェンは数十回と稽古したメルの動きを思い出す。こうじゃない、あぁじゃない。そう、こうだ。
ようやくルーウェンの一撃がハルトに入った。といってもハルトは少し後ろ体勢を崩した程度だ。
「さすが親友だな。そうこないと」
待って。割りに合ってないでしょ。たまたまでも一撃が入ったのが気に入らないかも知れないがこれ以上は……。
「 」
サラの声が聞こえたような気がした。
「勝ったわ」
目の前までハルトが来ていた。
「残念だ、また今度な」
隊長である王子が倒れたことでルールによりハルトが引いた。ルーウェンはほっとしていた。満身創痍だ。
ぼろぼろになったルーウェンは地面に膝を着き剣から手を離した。
「ルーウェン、大丈夫?」
「見たらわかるだろ?サラ、お前本当に強いんだな」
サラは「当たり前よ」と言ってルーウェンに肩を貸した。結局サラの戦うところは見れなかった。
今回、ハルトと戦って少しは強くなったと思ったがこの感じだと必敗なんだろうと空気でわかった。ハルトも全力は出していないようだし先は長いな。
テントに戻るとメルが待っていた。痛々しいルーウェンを見て「心配したのよ」と身体をペチペチと叩く。あのぅメル?痛いんだけど。
軍事訓練は2日目も残っていたがルーウェンの軍事訓練は1日目で終了になった。
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