第2話 やっぱり俺が異性と関わるのは無理かもしれない

次の日。俺はいつも通り登校した。本当にいつも通り。同じクラスの可愛い女の子と会うわけでも、一緒に登校するわけでもない。そもそも俺はチャリ通だし。そんなことを思いながら教室に入り席に向かおうとしたが。

「げっ…」

自分の席を見てみると数人の男女グループが俺の席の周りでたむろしているではないか。これでは席につけない。

「はぁ。自販機でも寄ってくるか…」

そう呟いて教室を後にした。せっかく階段を登ってきたというのにまたいちいち降りて自販機に行ってまた登らねばならないということに若干の面倒臭さを感じたがまあ仕方ないと割り切った。

「俺はきらいなんだよなぁ。いない人の席に座ったりして話すやつ。自分の席でやってくれよ。」

俺は愚痴を吐きながら自販機でコーヒーを買った。

時間は上手く潰せたと思ったので教室に戻ろうとしたところ、俺は声をかけられた。

「おはよう。亜友夢。」

振り返るとそこには薫がいた。

「あーおはよう薫。今日も彼女と登校ですか」

若干皮肉っぽく返してみせた。

「ハハッ。相変わらずだなお前も」

「そりゃどーも」

上手くいなされた。この爽やか野郎め。

「ねぇ。早く行こうよ薫」

「ああ。ごめんな優希。それじゃあな亜友夢」

そう言って教室へと向かっていった。ちなみに今薫の隣にいたのが、薫の彼女の石川優希。俺はなぜだか彼女に睨まれたりすることが多い。なんでなんだろうか。わけわからん。

「さて。俺も教室に戻ろうかな。」

そう言って教室へ向かった。



次こそは席に座れますようにと願いつつ教室へ入った。俺の願いは届いたのだろう。俺の席はフリーだった。やったぜ。

「ふぅ…」

ようやく席に着けたことに喜びを覚えた。しばらくこうしていよう。

とは言っても特にすることがないので適当に外の景色を眺めていた。


キーンコーンカーンコーン

5分くらい経ったところで始業のチャイムが鳴り響いた。今からホームルーム。

「起立ー。礼。」

クラス委員のあいさつ、気が抜けてるとか感じながら俺もあいさつをした。

特に大切な話はなさそうだから適当に先生の話を聞いてホームルームは終わった。

「今日も授業はないから楽だな。」



そんなこんなで今日も放課後を迎えた。今日は腹が減ったのでさっさと家に帰ろうかと思い、荷物をまとめて帰ろうとしたところで声をかけられた。

「ねえ、中村くん。話したいことがあるから少し来てくれる?」

「ん?どうしたんだ急に。」

声をかけてきたのは薫の彼女の石川優希だった。

「いいから!早く来て!」

そう言われて俺は強引に空き教室に連れていかれた。俺は腹が減っているのに。ひどい。どうせなら自分が空腹だということを伝えてみよう。

「なぁ、悪いんだけど、俺腹減ってるからもう帰りたいんだけど」

「うっさい!そんなのどうでもいいわよ!」

なんだこいつ。どうでもいいわけないだろ。アホ。

まあいいや。できるだけ手短に終わらせるようにしよう。


空き教室についた。ということで早速話を聞いてみる。

「で、なんなんだ急に俺を呼び出したりして。」

俺がそう聞いてみると石川優希は俺に向かってとんでもないことを言ってきた。

「中村くん。もう金輪際薫と関わるのをやめてくれる?」

「は?なんでだよ。」

本当になんでだよ。これは一生考えてもわからん。

「あんたが居るせいで私が薫と一緒にいる時間が少なくなるのよ!」

なんて自分勝手な理由なのだろうか。こういうのは俺は好かん。

「てことは石川さんは俺以外の男にも言ってるってことだよな?」

「ええ。そうよ。」

「そいつらは承諾したのか?」

「ええ。最初はあなたのように拒否したけど最終的には呑んでくれたわ。」

「へぇー。」

だから俺にも話して薫と距離を取らせようとしてきたのか。まあ、俺は受け入れるわけないけど。だから拒否して家に帰ろう。

「やだね。」

俺がそう言うと石川優希はよく分からない表情をしていた。怒っているのか、驚いているのか。俺にはわからん。

「ど、どうしてよ!」

俺に理由を聞いてきた。ぶっちゃけ理由なんてない。だから俺はこう返す。

「それは自分で考えてみれば。午後の暇な時間でも使ってな。じゃあ俺はさっきも言ったように腹が減ってるから家に帰るから。じゃあな〜」

そう言って俺は空き教室を出ていった。なんとなく石川優希からは殺気のようなものを感じた。怖いな。



「ただいまー」

俺は家に帰ってきた。ようやく飯を食える。母親が昼飯を作り置きにしてあるのでそれをチンするだけ。楽だ。

昼飯を食べながら俺は放課後の出来事を思い返していた。石川優希の要望を却下したのだが、それは別にいい。ただ、気にかかるのは俺が空き教室を出ていく時に感じた強烈な殺気。彼女はクラス内のカーストではほぼトップ。そんな奴に喧嘩を売るも同然のことをしてしまったので、明日からそれなりの覚悟を持って学校生活を送らなければならないかもしれない。面倒臭い。

「なんなんだろうな。まったく。」

誰が聞いてるわけもないこのつぶやきは虚空に消えていくわけだが。

昼飯も食べ終わったので昼寝でもすることにした。



「ウゥーン…」

昼寝から覚めて時計を見てみると18時。長い時間寝ていたようだ。時間的にも夕飯ができているので食べることにした。


今日の夕飯も美味かった。俺は自室に戻ってスマホを手にとった。特に通知もないのですぐに手放した。そして俺はテレビゲームで遊ぶことにした。


「今日はこんくらいにしとくか。」

気づけば22時。意外にやりこんでしまった。目も疲れてきたので風呂に入って寝よう。

今日はなんか疲れた。原因は放課後の一幕に違いない。そう思いつつ俺は風呂に入った。


手短に風呂を済ませ、ベッドに入った。これで俺の今日は終わる。明日から少し面倒臭くなりそうだなと思いつつ目を閉じた。

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