ただものではない

遠足

翌日、学校に行くと優姫は元気に萌恋おはようと挨拶をしていた。私も優姫おはようと挨拶をするが昨日のことはホントだったのか、1日経ってもまだ信じられない。

その日の帰りに1週間後に東京にある動物園と水族館の複合施設にに行くと資料が配られ、みんな遠足に行けるとテンションがあがっていた。勿論私や優姫も一緒に喜んでいた。

私にはこの遠足でもう1つ楽しみがあった。それは優姫がお昼ご飯のお弁当がどんな物を持ってきてどんなおやつを持ってくるのかということだ。

帰りに優姫は私に声をかけてきた。

ねぇ萌恋、来週の遠足だけど一緒に周らない?

うん、勿論だよ。こちらこそ宜しくね。

1週間後、遠足の日になり私と優姫と一緒にバスの隣に座って目的地に着くまでずっと喋っていた。高校から1時間、目的地の複合施設に到着した。

午後4時に入口に集合と伝えられ、ワンデーパスポートで入口をくぐった。

優姫は私にねぇ萌恋、どういう風に周る?

私はそうだね……。イルカショーとかやるなら見たいからその時間を見て決めようよ。2人でイルカショーが行われる時間を確認した。

1回目9時 2回目12時 3回目14時 4回目16時

私は4回もやるなら先に動物園から行こうと優姫に伝えた。

まず目に入ったのはウサギで2人でかわいい〜と写真を撮っていた。看板を見るとエサやり体験が出来ると書いてあり1回100円となっており2人で分けてウサギにエサをあげるとモグモグ食べる姿がまたかわいくて写真を撮っていた。

次はどんな子がいるのだろうと2人で喋っていると優姫がちょっと萌恋、栗鼠がいるよ。めっちゃかわいい〜。栗鼠がドングリに夢中になっている姿がスゴい愛おしくて写真を撮りまくった。

私は優姫に動物園でこんなに燥いだの初めてだよ。ウサギとか栗鼠なんて小さくてかわいいから家でも買いたいな。もしかして私が知らないだけで優姫の家族が動物園や水族館を経営してるとかないよね?

実はここの施設の運営は私の家族が、って何でもかんでも私の家族がやっていると思ったら大間違いだよ。そんなこと言っていないで次行くよ。

再び歩いているとゾウやキリンの大きさに圧倒され、これまで2ショットを1枚も撮っていないことに気づきゾウをバックに1枚、キリンをバックに1枚写真を撮った。

次はどこに行こうかと喋っていると優姫があの子かわいい〜と革靴を履いてることを忘れているのかと言うほど小走りで向かっていた。私も優姫に追いつかなくてはと続くように走ってその場に向かった。

ねぇ萌恋、見てみてレッサーパンダだよ。めっちゃかわいくない?シッポフリフリしているよ。

私はそうだね、寝ている子や歩いている子色んな子がいてかわいいね。かわいい顔の子もいればキレイな顔のキレイな子がいて多種多様だね。

ちょんちょん、萌恋あの子見て?あのレッサーパンダ立っているよ。めっちゃかわいくない?今のうちに写真を撮ろうよ。

凛々しく立っているレッサーパンダをバックに2ショットを1枚写真を撮った。

そしてスマホを見るとお昼近くになっていたので私は優姫にそろそろお昼ご飯にしようと近くのベンチを探していた。

優姫はお土産屋の近くにベンチがありそこで2人でお弁当を食べようと誘った。

ねぇ優姫、今日どんなお弁当なの?私、予想してもいい?いいよ。絶対に当たらないと思うから。

重箱に入ったフランス料理におやつはミシュラン監修の生チョコレートでしょ?違う?

優姫はそんな訳ないでしょっとツッコミを入れた。仮に生チョコレート持ってきていたら溶けているでしょ。今日のお弁当はご飯と肉じゃが、サラダとからあげだよ。

学校の遠足にフランス料理持ってくるって料理人に帯同させるってまず学校が許可しないし周りの目が気になっておちおちお昼ご飯も食べられないよ。萌恋がよければお昼ご飯食べあいこしようよ。

うん、いいよとお互いのお弁当を交換してイルカショーの時間まで少しお土産コーナーを見て周り私はウサギのボールペンを買い、優姫はレッサーパンダのぬいぐるみを買ってイルカショーの会場に行って私は優姫って女子力高いねと喋っていた。

しばらくするとイルカショーが始まり、クロイルカやシロイルカ、シャチ等色々出てきて高くジャンプして飼育員さんが持つ輪っかにくぐり抜けたりと高度の技を生で見て2人で感動していた。最後にイルカやシャチたちはお客さんの前にやって来て頭をペコっと下げている姿はスゴく愛おしくかわいかった。

イルカショーを見終わり、水族館を2人で見て周りペンギンやクラゲを見てかわいいね。一通り写真を撮っているうちにあっという間に集合時間10分前になり私と優姫は入口に戻った。

そしてバスに乗り込み学校に戻った。バス内で優姫はよかったらまた萌恋の家に遊びに行ってもいい?

うん、いいよ。ペロちゃんより狭い家でよければいつでも大歓迎だよ。ちょっと萌恋、そんな言い方しないで私がそんなこと思うわけないでしょ。

うそうそゴメンね。優姫と喋るの楽しくてついついイジワルしたくなっちゃってさ。


商店街巡り

優姫はねぇ萌恋、この後商店街巡りしない?この間行った時は断片的にしか見ていなかったからどんなお店あるか見ようよ。

そういえば私も商店街を全て巡ったわけではなかったし、家に帰って特にすることもなかったので優姫の商店街巡りに賛同した。

2人で歩いているとそういえばこの角を曲がって裏手にカフェがあったね。この先真っ直ぐ進むと何があるのかとワクワクしていた。すると私は足を止めて気になる看板を見つけた。

「鎌谷商店街名物コロッケ 1個50円」

1個50円って安い。ねぇ優姫コロッケ食べない?

名物っていうからには相当美味しいはずだよ。私はコロッケを2つ注文するとコロッケが売り切れた。

後ろに並んでいていたおじいちゃんからお姉ちゃんたちラッキーだね。ここのコロッケは並んでもすぐに売り切れるほど人気でここの商店街の名物、いや代名詞といっても過言じゃないよ。味はワシが保証するよ。

その話を聞いてさらに手に持っているコロッケの期待が高まる。そして2人で1口食べた。

「中はホカホカでこの衣までしっかり味が染みて美味しい」

私はこのコロッケを食べてさっきのおじいちゃんが言っていたこの商店街の名物、いや代名詞だと言っていたがホントにそうだなと思った。

その後も雑貨屋や花屋、商店街の歴史資料館を色々巡っているといつの間にか陽が落ちていた。

優姫はそろそろ日没だし今日はもう帰るねと伝えて電車に乗って帰って行った。私も帰ろうかなと考えたがいつも優姫にお店を教えてもらってばかりだからたまには自分でお店を開拓して優姫に教えようともうしばらく商店街たけでなくその近辺を歩いて周っていた。

だがそんな簡単には見つからず、帰ろうとしていたらオシャレでかわいい佇まいの雑貨屋を見つけて店内に入りぐるりと1周するだけでもかわいい雑貨が沢山あり、今度優姫と一緒に来ようと決めた。お店をスマホで写真を撮って家に帰った。


親戚も大御所

私と優姫はいつものように学校で喋っていた。

ねぇ萌恋、この前食べたシュークリーム食べたからまた買って家にお邪魔したいけれどいいかな?

いつでもいいけれど佐藤さんが行くって言ったらやめときな。あなたの行く所じゃないよって審査で引っかかるとかない?大丈夫?

そんな人のプライベートの事までどうして佐藤が関与しなきゃいけないのよ。おかしいでしょ?

たしかにそうだね。じゃあいつにする?

今日の学校帰り行こうよ、何故か優姫はテンションが上がっていた。それだけラドールのシュークリームを気に入ってくれたと思うと嬉しかった。

電車に乗ってラドールに向かった。

この時私は優姫がスゴいことを言うのではないかと思っていた。

「ここのシュークリーム全部、料金は自宅の住所書いて買い占めるたりしないだろうか……」

ちょっと萌恋、固まって何を考えていたの?もしかしてここのシュークリーム買い占めるとでも考えた?でもそのくらいここのシュークリーム美味しいけれどさすがにそんなことしないよ。

でも佐藤とパパやママに食べてほしいから4つ買って帰ろうかな。じゃあ私もパパとママの分含めて3つ買うことにしよう。

家に帰り友達連れて来たよとリビングに向かった。

ママはあれ?お友達?

初めまして、萌恋さんの友人の如月優姫です宜しくお願いします。萌恋さんにはいつも仲良くしてもらいありがとうございます。

ママはこちらこそいつも萌恋と仲良くしてくれてありがとう。狭い家だけどゆっくりしていってね。

優姫はありがとうございます。萌恋、買ってきたシュークリーム食べようよ。

そうだね。ママ、帰りにラドールでシュークリーム買ってきたから3人で食べよう。勿論パパの分も買ってきてあるよ。

ママはコーヒーを淹れて3人でシュークリームを見つつテレビを見ていた。するとママは目を輝かせてテレビに釘付けになっていた。

その番組は「往年のアイドル小野寺浩子おのでらひろこ特集」が流れていて私たちにママの世代はアイドルといえば小野寺浩子で当時の女の子たちはヘアスタイルやファッションをみんなマネしていたものだよ。

優姫はふとある言葉を発した。叔母ってスゴい人だったって改めて知りました。

ママは不思議そうな顔で優姫に問いかけた。

「……。優姫ちゃんだっけ?叔母っていうと……」

小野寺浩子は私の母方の叔母にあたり、親戚として会ったことありますが叔母自身がそういう話をあまりしないのでこんなに燦然と輝いていたと改めて知りました。

ちなみに父方の伯父は元プロ野球選手でプロ野球通算5000本安打を放った木村小次郎きむらこじろうでその奥さんはモデル・女優として活躍したサオリです。

シュークリームを食べていた私にママは肩を叩いて廊下に来るようにと呼び出された。

ちょっと萌恋、あの優姫ちゃんって子スゴい家系だけど一体どこに住んでいるの?

東京にある錦城って所だよ。前に優姫の家に遊びに行った時にここは日本なのか?異国の地なのか?って感じになったよ。それよりもママ、昔あの辺りにゴミ屋敷の家があったって優姫が言っていたけれどホント?

昔、ニュースで高級住宅地にゴミ屋敷の家があってその時は地価が下がったけれどそのゴミ屋敷がなくなってからは毎年住んでみたいランキングで1位を争うような感じだよ。それで家に行ってどうだった?

ママがその小野寺浩子っていう人のファンだっていうのは始めて知ったよ。これで驚いていたら優姫の家に行ったらママ腰抜かして歩けなくなるかもね。

やっぱりそんなにスゴいのか……。なんか住む世界が違うね。だけど優姫ちゃんからはそんな雰囲気感じなかった。

優姫が普通に接して欲しいって言われてさ。優姫に家に行きたいってお願いしてみたら?優しいから是非ともお母さんも遊びに来てくださいって言ってくれると思うよ。聞くだけタダだし。

そうだね、さすがにママからお願いするのは烏滸がましいから萌恋からそれとなくお願いしてみてくれないかな?

うん、分かった。

私は再びリビングに戻りねぇ優姫、今度また家に遊びに行ってもいい?ママも一緒でもいいかな?

優姫は是非ともみなさんで遊びに来てください。そんな大したおもてなしも出来ませんが来た時は寛いでいって下さい。

私はママにこれは優姫が謙虚で言っているだけだよ、私たちが大したおもてなしが出来ませんがって言うのとは訳が違うからねと伝え、優姫が帰ると言うので駅まで見送りに行った。

この時私は改めて優姫はただものではないと実感した。


家族総出

優姫を見送った後、私は馴れ初めが何でどうやって仲良くなったのか根掘り葉掘り聞かれてその話を聞いたバパも是非とも行きたい、ダメ元でもいいからパパも行ってもいいかと言い出した。聞くだけ聞くけどダメだったらゴメンねと伝えた。

優姫のことだからきっといいと言ってくれるだろうけど人の家に家族総出で押しかけるのは果たしてどうなのか、優姫に申し訳ない気持ちでいた。

翌日、教室に入って来た優姫を呼んだ。

ちょっと優姫、話があるからちょっと来て。うん、分かったと荷物を置いて私の所へやって来た。

昨日優姫が私の家に来てくれたでしょ?その話を聞いてママだけでなくバパも行きたいってしつこくて。人の家に家族総出で押しかけるのは申し訳とは思うけれど私とママ、パパの3人でお邪魔してもいいかな?

そういう事ね。私は2人でも3人でも構わないよ。1人でも多い方が賑やかだから歓迎だよ。それでいつ来る?こっちは基本的にいつでもウェルカムだよ。

優姫、ホントありがとう。1度家に帰って聞いてみるから詳しい詳細が分かったらまた連絡するね。

そんな話をしていたら1時間目のチャイムが鳴った。

前に優姫からノートの取り方について指摘を受けてからそのやり方を取り入れてみることにした。すると小テストや抜き打ちテストでも自分の思っている点数よりもいい点が取れることが多くなった。

お昼ご飯を食べる時も英語でのやり取り、学校帰りにお互いの家に行き来したりどこか出かけたりと常に一緒にいる関係性を築き上げていた。

帰りに私は優姫にコロッケ行こうと伝えた。優姫はいいよ、あのコロッケ美味しいのにあの値段ってスゴいコスパいいよね。仮にコロッケ売り切れていたら違うもの食べようよ。他のコロッケとかも絶対美味しいと思うよ。

優姫はテンション高めで商店街に向かった。

この前商店街に来た時より大勢の人がいて看板には名物コロッケは既に売り切れていた。私は売り切れていて嘆いていると優姫は名物コロッケ売り切れってことは別のコロッケやフランクフルトを新たに試せるチャンスだよ。名物コロッケあったら絶対買っているでしょ?

優姫、スゴいポジティブだね。言われてみれば名物コロッケあればまた買っているだろうし他の物を買おうってなっていたか分からないよね。とはいってもコロッケだけでも何種類もあるしどれにする?

すると優姫は提案した。2人いるから違うコロッケ買ってお互いに食べあいこしようよ。そうすればコロッケのレパートリーも増えるし一石二鳥だよ。

じゃあ私はカニクリームコロッケにするけど萌恋はどうする?そうだね……。かぼちゃコロッケにしようかな。

私たちの順番になり、それぞれコロッケを買って近くのベンチで食べあいこして2人で名物コロッケ以外にも美味しいコロッケあるねと喋っていると優姫はだから萌恋言ったでしょと自信満々な顔をしていた。食べ終わり優姫はこの後どうする?

私は商店街から少し外れた所にかわいい佇まいのお店あるから一緒に行こうよと提案した。

優姫はそんなお店この近くにあったかな?とりあえずじゃあ萌恋に案内してもらおうかな。

雑貨屋に入り2人で雑貨を見ていると気がついたら2時間、かわいい〜と言うばかりで何も買わずにお店を出た。

家に帰るとパパは走って玄関にやって来た。

萌恋、優姫ちゃんはなんて言ってた?

2人でも3人でもいいよ。いつでもウェルカムだって。いつ来るのか教えてって言われたよ。それでパパとママはいつが都合がいいの?

とりあえず今週の土曜日、時間は向こう様の都合もあるからお任せすると伝えておいて。

晩御飯を食べている時にパパってたしかスポーツ好きだったよね?

オリンピックや高校野球、プロ野球だけでなく何かしらスポーツがやっていたら観るかな。特に好きだったのは元プロ野球選手のプロ野球通算5000本安打を放った木村小次郎かな。今と昔で野球は違えどあの成績は不滅の記録だと思うよ。でも萌恋、木村小次郎なんて昔の野球選手よく知っているね。

それが聞いたら優姫ちゃんの伯父だって、その木村小次郎選手。

パパはご飯を食べていた箸を落とした。えっ、マジで言っているの?優姫ちゃんが帰った後にその話をしてくれなかったと何故か私は強めに怒られた。

あれ?言ったと思っていたけれど言ってなかったっけ?優姫ちゃんの家に行けば何かグッズあるかもよ。パパはしばらくご飯が喉に通らず天を見上げて固まっていた。

ママは早く食べないとおかずが冷めるよとパパに言うと意識を取り戻したかのように再びご飯を食べ始めた。

この話をしてこうなるのならば実際に優姫の家に行ったら腰を抜かして動けなくなるのではないかと思いつつもこの事を優姫に伝えたらきっと喜ぶだろうと思っていた。

私は晩御飯を食べ終わり食器を片付けると自分の部屋に入って優姫に電話した。

早速、晩御飯の出来事を伝えるとそんな家に遊びに来てもらうのを楽しみにしてもらえて嬉しいよ。じゃあ土曜日の10時に浦川駅で待っていて。普通、来てもらう人に頼むのは烏滸がましいとは思うけれどラドールのシュークリーム20個買ってきてもらってもいいかな?あのシュークリームを佐藤や他の人にも食べさせてあげたいからさ。

ホント優姫は他人の事を思いやる優しい子だね。そんなのお易い御用だよ。じゃあパパとママに伝えてくるから電話切るね。また明日学校で会おうね。

私は部屋を出てパパとママに土曜日の午前10時に浦川駅に来てくださいって。後、ラドールのシュークリームを食べたいから20個買ってきてくださいって。じゃあ明日も学校だから先に寝るねとまた自分の部屋へと戻って行った。


サプライズ

土曜日、私たち早乙女家は優姫に買ってきて欲しいと言われた近くの洋菓子屋ラドールでシュークリーム20個を購入して浦川駅うらかわえきで待っていた。

しばらくして1台の車がやって来た。優姫はドアを開けて萌恋、おはよう。車に乗ってと執事の佐藤さんが運転していた。

パパとママは驚いていた。友達がリムジンを乗ってきたら誰もが驚くだろう。私たちは車に乗り込み如月家に向かった。

優姫は不躾なお願いだと思いつつもラドールのシュークリームを買ってきていただきありがとうございます。1度食べた時にこのシュークリームは是非とも他の人にも食べて欲しいと思い、萌恋さんにお願いしました。

するとパパは持ちつ持たれつだよ。親戚が戻りプロ野球選手の木村小次郎や小野寺浩子って萌恋から聞いたよ。

優姫はありがとうございます。父はアパレルの社長で母はアパレルの社長をしていて2人とも1代で築き上げてといった感じになります。

ママは傍から見れば令嬢って感じなのにスゴい謙虚で全く驕るような態度じゃなくて驚いたよ。

小学校の頃からお嬢様だのご令嬢とクラスメイトや1部の先生は私をそういう目で見ている人がいました。でも実際は親や親戚がスゴいだけで私が何かを成し遂げたということでないのでその辺は勘違いせずにいることが大事かなと思います。

私は始めて優姫と出会ったのが高校の入学式でどこに座ったらいいか分からずにいて聞いたら優しく丁寧に答えてくれた時はそういう雰囲気感じなかったから始めて家にお邪魔させてもらった時は驚いたね。パパもママもその家に今から行くけどね。

私も萌恋さんと仲良くさせてもらって令嬢だからっていう感じではなくあくまでも1人の同級生、1人の女の子として同等に接してくれてありがたかったです。

そういった話をしていると錦城にやって来た。

私は何度見てもスゴいな、パパとママは目が点のようになっていた。この段階でこんな驚いていては優姫の家に着いたらどんな反応をするのかと思っていた。

家の前を通り過ぎるとあれ、優姫通り過ぎちゃったよ。どうするの?

優姫は今ね、入口はメンテナンスしているから裏から入るようにしていてさ。裏からならすぐに家のすぐそこまで行けるからさ。

私は1つ聞きたいけれど裏から行くのはメンテナンスの時だけで普段は人や車は出入り出来ないの?

優姫はううん、そんな事ないよ。どうして?

じゃあこの前2人で来た時、入口で色々やってとかせずに裏から入った方が早かったと思うけれど……。

その時裏から入る?そうだよね。そうすればあんな手間かけて行く必要なかったね。さすが萌恋、今の今まで気づかなかった。

パパやママ、そして私はクスッと笑った。

優姫ってしっかりしているのにたまに抜けているというか天然というか。よく天然って言われない?

優姫は自分では天然だと思ったことないけれどまたに天然って言われて天然って何ってなるよ。

私はなるほど、優姫は筋金入りの天然だなと心の中で思っていた。

優姫は着きました、ここが私の家になりますと運転をしていた執事の佐藤さんは降りてきてドアを開けた。そしてパパとママは家を見上げて固まった。

ここは家なのか?それともここは城なのか?パパとママは状況を受け止められず顔は青ざめ、足元は震えるような感じでいると執事の佐藤さんに促されて家のトビラを開いた。

家の中は美術の教科書にも出てくるような美術品がズラリと飾られていて私が前に来た時にはなかった骨董品等が数々と並べられていてパパとママは唖然とする一方、私はこの家はいつ来てもスゴいなとその一言しか出てこなかった。

優姫は早乙女家を客間に案内をした。

私はそうだ、優姫に頼まれていたシュークリームを渡さないとね。

佐藤、冷蔵庫にシュークリームを入れておいて。

優姫さん、かしこまりました。

佐藤さん優姫には他の方々が来られるまで家を案内をされてはいかがですか?

ん〜……。それもそうだね。お客さんをただ客間で待たせるのも失礼だから家を案内して時間を過ごした方がいいよね。じゃあ萌恋、お父さん、お母さん家をご案内させていただくので付いてきてください。

まずはこちらが私の部屋でアイドル部屋、隣の部屋がスポーツ関連やアニメグッズを置いている部屋になります。そして御手洗があり、その隣が寝室でぬいぐるみと共に寝ています。

パパとママはただただ頷き、趣味だけで2つも部屋があるのか。それも寝室はアニメの令嬢や大富豪のご子息が寝ているようなベッドで言葉が出てこなかった。

では次に私が勉強している所にと優姫は案内した。

パパは思わずここは……図書室、いやそんな規模じゃない。ここは図書館で優姫ちゃんホントここで勉強しているの?勉強しているというにはデカすぎて半信半疑で思わず言葉が出てしまったようだ。

優姫は私の勉強部屋って言うわけではありませんが確かにここで勉強しています。この中には普段読むような本から参考書、各ジャンルの物を置いてあります。気になるものがあれば手に取って読まれても大丈夫ですよ。

パパとママは驚きのあまり言葉が出なかった。

優姫は次に行かれますか?どうされますか?

ママはあくまでも自分たちはお客さんの立場なので……じゃあ次、お願いします。

私は優姫に囁いた。

「次に行くのってペロちゃんのところ?」

優姫はうんそうだよ。人懐っこくてきっとお父さんもお母さんにもきっとかわいがってくれると思ってさ。人見知りしないし人を見つければ悪い人じゃなかったら基本的にペロペロしてなでなでして欲しい顔をするからさ。

そして優姫はペロちゃんの部屋に案内をした。

部屋に入ってペロちゃんは私に飛びついて顔を笑顔でペロペロ舐めていた。私は頭を撫でるとするとより一層喜ぶと今度はパパの方を見て「く〜ん」と鳴いた。そして頭を再び撫でるとまた笑顔になった。次にママの方を見てシッポを振っているとかわいい〜と頭を撫でると顔をペロペロした。

パパは俺だけどうして顔をペロペロしてくれないのかと軽く嫉妬しているとペロちゃんはパパのもとにやって来てシッポを振り、笑顔で顔をペロペロするとパパも満足そうにニンマリしていた。

すると内線が鳴り、優姫が電話を取った。

「優姫さん、他の方々もおいでになりました」

そして優姫はありがとう。今から客間に戻るね。

すみません、他の方々も来られたのでまた客間に向かいます。ペロちゃん、また1人にしてゴメンねとひと言かけて部屋を閉めて客間に戻った。

その客間にはあの木村小次郎と小野寺浩子が座っていた。

パパとママは思わずえっ、ホンモノ?そつくりさん?どっち?2人は自分の持っているスマホで名前を検索するとま、まさかホンモノの木村小次郎と小野寺浩子に会えるなんて思いもしなかった。

小野寺浩子は今や普通のオバサンですよ。木村小次郎も今となっては野球界から離れた一般人ですよ。

とはいいつつもパパとママにとっては憧れの人に会えたことには違いない。

執事の佐藤さんはお昼どうされますか?

パパはお昼どうする?でも出前を取るような雰囲気ではない。佐藤さんのいうお昼どうするとはどういう事なのか?

浩子はわざわざ来ていただいたので好きな物を食べましょう。私や小次郎さんはここに来ればいつでも食べられるのでお任せします。

ママはじゃあそう言うのならば……お寿司で。

私たちはここに来ればいつでもって言葉になんと言ったらいいものかと頭がこんがらがっていた。

佐藤は電話で寿司職人を呼んだ。

10分後、寿司職人がやって来て何が頼まれていいように具材とシャリを持ってきて一般人と元芸能人、元プロ野球選手、そして執事と共に寿司を食べるという異様な光景が見られた。

みんなでたらふくお寿司を食べるとシャリとネタは材料庫に1度閉まっておやつとして寿司職人を含めてみんなでシュークリームを食べた。

浩子と小次郎はこんな美味しいシュークリーム食べたのは始めて。昔から応援させていたみたいなので是非写真でも撮りませんか?

2人はスマホを執事の佐藤に渡した。

普通ならばいつも応援しています。写真撮ってくださいという流れだが今回は逆に応援してもらいありがとうございますと申し出てくれた。

パパは木村小次郎、ママは小野寺浩子とそれぞれ写真撮ってもらい握手を交わした。まるで夢のようです。ありがとうございます。

時計を見ると午後4時になろうとしていた。

ママはあまり長居をしてもご迷惑だと思うのでこの辺りでお暇させていただきます。今日は私たちのワガママを聞いていただきありがとうございました。

小次郎と浩子はまたお会い出来たら嬉しいですと言うと思わず泣いてしまった。

佐藤は車をご用意させていただきますと客間を出た。

私たちは一礼をして客間を出て優姫と共に表に出ていった。

再びリムジンに乗り込み浦川駅に向かって行った。

優姫ちゃん、今日は私たちのワガママを聞いていただきホントにありがとう。家の大小関係なくこれからも是非とも萌恋と仲良くしてもらえたら嬉しいです。

こちらこそ今日はシュークリームを買ってきていただきありがとうございました。これからも萌恋さんとは仲良くしていけたらなと思います。萌恋さんも含めていつでも遊びに来てください。その際はいつでも迎えに参ります。

そんな会話をしていたら浦川駅に着いた。

私は優姫、今日はありがとうね〜。

萌恋、また月曜日会おうね〜と家に帰った。

その日の夜、晩御飯を食べつつあれは現実だったのか?夢だったのか?てもスマホの写真には憧れの人写っている。これはきっと明日になれば状況を把握する事が出来るはずだとそれぞれ寝室で寝た。

翌朝、起きるとパパとママはシャンデリア、ペロちゃん、寿司、小野寺浩子、木村小次郎と昨日あったことを唱えるようにずっと言っていた。

どうやら私のパパとママは未だに現実ではなく夢だと思っていた。

たがしかし3人で優姫の家に行ったことは確かである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る