真逆
優姫ちゃんの趣味
入学式の翌日以降、私は毎日のように優姫ちゃんといることが多かった。
学校が終わると商店街だけでなくカラオケやボーリング、いくつも連なる商店街を探検するように2人で巡っていた。
ある日2人でカフェに行くと優姫は私にあることを問いかけた。
「萌恋ちゃん、いつも私に付き合わせてゴメンね。萌恋ちゃんの趣味や行きたい所があれば共有したいからよかったら教えてくれない?」
私は答えに戸惑いなんて答えたらいいか分からなかった。それはこれといった趣味がなかったからだ。
こんなことを言ったらホント?って思われるかも知れないけれど私ね、趣味という物がないの。
優姫は少し間を置いてじゃあ休みの日は何をして過ごしているの?
この質問に対してもなんと答えたらいいか悩んだ。理由としては休みの日にしていることはテレビを見てご飯を食べて寝るという日々でこれといったことをしていなかったからだ。
何か答えなきゃといけないと思いつつも名案が思い浮かばずにそのままテレビを見てご飯を食べて寝るっていう日々だよ。女子力の欠片もないしなんの取り柄もないしどうしたらいいのかなって思うな。
優姫は言葉を詰まらせつつ、そっか……ならばこれから作ればいいと思うよと笑顔で答えた。
私は趣味を優姫ちゃんの趣味でいいものがあれば参考にしたいと思い聞いてみた。
「優姫ちゃんの趣味って何?」
私の趣味はね、アイドルやアニメ、マンガそしてスポーツ観戦(特に野球観戦)、音楽鑑賞、読書、カフェ巡りといった所かな。周りからは趣味が多いねって言われるけれどかなり偏っているよね。
ホント趣味が豊富だね。アイドルが好きって言っていたけれど男性アイドルが好きなの?
すると優姫はアイドルが好きって言うとみんな次にどの男性アイドルが好きなのって聞かれるけれど実はどちらかって言うと女性アイドルの方が好きなの。女の子が女の子を応援するってやっぱり変なのかな?
その言葉を聞いて私はそんなことないよ、何も趣味もなく自堕落な時間を過ごしている私に比べたらよっぽどスゴいしどんな感じなのか気になる。ちなみに優姫ちゃんが好きなアイドルってなんてグループ?
沢山あるけれど特に好きなのは「ファイヤーフェアリーっていうアイドルかな」
私は思わずキャッチーなアイドルグループだね。
優姫はそうなの。このグループの特徴としてはメンバーみんなが闘志漲る激しいダンスを踊っているにも関わらず途中にある的当てや輪投げで健気にやっている姿は同じ女の子でもかわいいって思わず言ってしまってね。女の子1人1人かわいくてその上に着ている衣装がまたかわいくてね。
あ、ずっと喋って萌恋ちゃんゴメンね。
そんなことないよ。優姫ちゃんがホントにファイヤーフェアリーが好きっていうのが伝わってきたよ。優姫ちゃんが好きなメンバーと曲とかあるの?
萌恋ちゃん、よくぞ聞いてくれました。
私が特に好きなのは
あ、萌恋ちゃんゴメン。私って自分の好きなことになると熱中しちゃってずっと喋って周りが見えなくなることがよくあってさ。もし前にも聞いたって話があれば言ってね。誰に言って誰に言ってないのか分からず1時間前に言ったことを忘れてまた言って友達にその話さっき聞いたって怒れる程だからさ。
私は思わず優姫ちゃんかわいい。それだけ趣味に熱中しているっていいことだと思うし話したことすら忘れてまた言うって優姫ちゃんって意外と天然なのかもね。
自分ではそんなこと思ったことないけどね。
私は天然の人は自分で天然って言わないよ。分かっていてすることじゃないし素でやっているからこそ周りも和むしかわいいって思うものだよ。
優姫はそっか、萌恋ちゃんと出会ってそんなに経っていないのにこんな仲良くなれるとは思わなかった。
それは私の台詞だよ。入学式で優姫ちゃんに声をかけてよかったなって思うしきっとこの事は一生語り続けていこうかなって思うよ。じゃあさ、仲良くなった証にお互いに名前で呼び合わない?
そうだね、そうしよう。
お互いのことを「萌恋」と「優姫」って呼び合うことになった。
中間テスト
「キーンコーンカーンコーン」
私はため息をしていた。明日からテストなのか、ヤダな……。とりあえず赤点取らないように頑張らないと。
萌恋、暗い顔してどうしたの?何かあった?
何もないよ。ただ明日からテストで自信ないなって思っていただけで家に帰って勉強しておかないと赤点取ったらまた追試だなって思っていただけだよ。
そっか、じゃあ私と一緒に図書館で勉強しようよ。1人でやるよりも2人で勉強した方がお互いに教え合えるからさ。
優姫、ホントにいいの?私、全然勉強出来なくて人に教えていて自分の勉強が捗らないかも知れないけれど大丈夫なの?
勿論だよ。教うるは学ぶの半ば、人に何かを教えると言うことは半分は自分のためになるっていう言葉があるでしょ?それに萌恋に教えるには私自身が知っていなきゃいけないし教えることで復習にもなるからね。
その言葉を聞いて私は思わず涙が出てきた。
優姫……ありがとう、こんな私の為にここまでしてくれてホントにありがとう。神様、仏様、優姫様。
萌恋、そんなこと言ってないで早く図書館行くよ。2人で近くにある公立図書館に向かった。
早速私は数学の教科書を開いて問題を解いていると分からない問題が出てきて優姫に尋ねた。
優姫、この問題ってどうやって解いたらいいの?
この問題は公式に当てはめてやれば解けるよ。1度同じ問題を解きつつ分かりやすく解説をしてくれた。
えっ、スゴい分かりやすい。授業で先生が言っていた時は全然分からなかったのに今聞いただけでなんとなく解けるような気がする。
私もそう言ってもらえると教えがいがあるよ。先生より分かりやすいって言うのはさすがに褒めすぎだよ、そんなに褒めても何も出てこないからね。
閉館時間まで2人で勉強していたが案の定、私が優姫に聞いてばかりで逆に勉強の妨げをしてまったような気がして申し訳ない気持ちでいた。
優姫、今日はありがとう。明日からのテスト頑張るね。こちらこそ萌恋に教えていて勉強になったよ。
翌日から3日間に渡りテストが始まった。
分からない問題もありつつも3日間のテスト期間、最最後の科目は数学が終わった。私は緊張の糸が切れたように脱力して机にへばりついていた。
萌恋、テストお疲れ様。今からどこか行かない?
私はうん、いいよ。テスト終わったことだし羽根を伸ばして遠くまで行かない?優姫どうする?
そうだね……。萌恋の家に行きたい。
えっ、私の家?辞めた方がいいよ。家汚いしテレビに出てくるようなゴミ屋敷の様な家に優姫を挙げる訳にはいかないよ。
私の家の近所でゴミ屋敷の家を生で見ているから大丈夫だよ。ホントにゴミ屋敷ならば萌恋は普通に生活出来ないでしょ。だから心配しないで。
そこまで言うのならばと私は優姫を家に案内することにした。
最寄駅の鎌谷駅から20分、電車で橋を渡り神奈川に入り浦川駅を降りて近くを2人で歩いていると優姫は洋菓子屋を指を指してあそこに行こうと言われ、私も久しぶりに行くことにした。
「洋菓子屋ラドール」
優姫はお店の名前、佇まいめっちゃかわいいと燥いでいてその姿はまるで子供のような笑顔でスマホで写真を撮ってお店に入った。萌恋、ここのオススメの物って何?
私は基本的にとのケーキも美味しいけれど殆どのお客さんはシュークリームを買っていくかな。ここのシュークリームは外の皮は他の所に比べて美味しいし、クリームも沢山入っていて気をつけて食べないと逆側からクリームが出るから気をつけないといけないよ。
2人でシュークリームを買って私の家に向かった。
ラドールから歩いて5分の所に私の家があり、ホントに優姫を家に上げるのかと後ろめたい気持ちもあるがシュークリームも買ったしここまで来たら後には引けない気持ちでいた。
優姫はお邪魔しますと家に上がり、ひとまず私の部屋に案内をした。優姫、ジュース持ってくるからここで待っていて。
私は冷蔵庫にあったオレンジジュースを注いで優姫のもとに持って行った。
萌恋、ありがとう。さっきゴミ屋敷なんて言っていたけれどステキな家だよ。早速シュークリームを食べてお喋りをしていると1つ言いたいことがあるといった。
萌恋、前に趣味がなくてっていう話をしていたけれどこのシュークリームホントに美味しいし私が何がオススメって聞いたらどのケーキも美味しいけれど殆どのお客さんはシュークリームを買っていくって教えてくれたし気をつけるように食べてねってアドバイスしてくれたってことはきっと萌恋はスイーツ好きで趣味だと私は思うよ。
その時改めて自分がスイーツ好きなことを実感した。言われてみればたしかにそうかも。でもさ、女の子って甘いもの好きな子が多いでしょ。趣味というには違うかなって思っていた。気にしていないだけで私にも趣味あったのかと気づかせてくれてありがとう。
優姫は感謝されることじゃあないよ。よかったら今度、私の家に遊びに来てよ。今日はもう陽が暮れてきたからもう帰るね。じゃあ浦川駅まで送って行くねと自分の中でも新たな発見を見つけた1日だった。
テスト返却
1週間後、全てのテストが返却されて掲示板には学年順位が貼りだされていた。
1位 如月優姫 600点
ふと私は全教科満点ってスゴい、この間図書館でテスト勉強していた時自分の勉強を全然していないのにも関わらず満点を取るなんて一体何者なんだと改めて思った。
それで私はどこだ?えっと……あ、あった。
50位 早乙女萌恋 450点
自分の中では思っている以上に点数が取れていて期待以上の順位に赤点を免れたいいなと思っていた私がこの点数、この順位を取れたのは他でもない優姫のおかげでしかない、お礼に帰り何か奢ってあげよう、いやそれぐらいのことしないといけない使命感に駆られていた。
萌恋、順位どうだった?
神様、仏様、優姫様のおかけで自分が思っていた以上の点数と順位が取れました。ホントにありがとうございます。帰りにご馳走様させてください。
ちょっと萌恋、そんなに畏まらないでよ。じゃあ帰りにカフェ行こうよ。この近くに最近出来たカフェがあるみたいだからさ。
じゃあ案内してもらおうかな。早く学校終わるの楽しみだな。優姫はクスッと笑った。
優姫どうしたの?私の顔に何か付いている?
いや、そんな事ないよ。萌恋ってホントにスイーツが好きってことが知れてよかった。それに早くカフェにって相当好きで私と行きたいと思ってくれることが嬉しくてさ。萌恋ってかわいいね。
色々と聞きたいことがあるけれどそれはカフェに行って話すことにするよ。
ホームルームが終わりを告げるチャイムが鳴ると私は一目散に優姫のもとに走っていった。
優姫、速く行かないとお店混んじゃうし並ぶことになるから速く行こうと伝えると萌恋、焦りすぎそんなに焦らなくても大丈夫だよ。もうネットで予約したから安心して。
そんなことまでしてくれたの?ありがとう。やる事早いね。勉強も出来て気が利いて優姫には欠点という物はないの?
周りがそう言ってくれるだけで自分ではそんなこと思わないよ。熱中しすぎて周りが見えなくなることだってよくあるし、この間だってファイヤーフェアリーの事をずっと私が一方的に喋っていたことがあったでしょ?よくないと分かっていても好きなことになるとついつい喋りすぎることがあってそれが欠点かな。まぁそんなことよりカフェに行こう。
私と優姫は学校を出て商店街を曲がり、裏道にある隠れ家的な場所にあるお店に入った。
私は優姫に何がオススメなのかと尋ねた。
ネットではいちごミルクパフェがオススメって書いてあったからそれを頼もうかなって思うけれど萌恋はどうする?
せっかく食べるなら優姫とシェアしたいから他の物を食べようかな。そうだね……。パナナバフェにしようかな。新しいお店とあって注文はタブレットで注文をした。
萌恋、さっき私に聞きたいことあるって言ってたけれど何だった?
今日掲示板に点数と順位が貼りだされていて優姫が満点で1位の事にも驚いたけれどそれ以上にテスト前日、図書館でずっと勉強教えてくれたのに何で満点取れるのかなって思ってさ。
どうしてか……。また家に帰って勉強してたよ。萌恋、ちょっと何でもいいからノート見せてくれる?
私は優姫に言われるがままノートを渡した。
優姫はノートを開いてすぐに閉じて萌恋、ちょっといい?厳しいことを言うけど。
うん、何か指摘があれば言ってもらえれば。
萌恋このノートだけど蛍光ペンやカラフルにすることに重きを置いていてちゃんと復習とかしてる?これだけ見ると何かノートをかわいくしたいって見えてどうなのかなって思ってさ。
その言葉を聞いて私はギクッ、見透かされている。優姫の言う通りでノートをかわいくしたいってことしか考えていなかった。じゃあ優姫のノートを見せてもらえる?
優姫のノートを見ると蛍光ペンも使っていないしシャーペンで書いてあり唯一女の子らしいと思うのは大事な所に星マークを付けているだけだ。
私が言えることはとりあえずノートをかわいくすることよりも大事な所だけマーカーしたり星を付けたりした方がいいのかなっていうことかな。
しばらくして2人のもとにパフェが届いた。スマホで2ショットを撮り、パフェを撮って互いに食べあいこしていてよかったら今度私の家に遊びに来てと誘ってこの日は解散した。
別世界
ある日、優姫が私に声をかけてきた。
萌恋、よかったら今日私の家に来ない?
特に予定もなかった私はうん、いいよ。楽しみにしていると答え授業を受けていた。
ホームルームを終えて私と優姫は校門を出て鎌谷駅に歩いて行った。
優姫、鎌谷駅からは遠いの?
ここから20分くらいだから近くも遠くもないかな。途中、乗り換えしないといけないから乗り継ぎ次第ではもう少しかかるかもしれないかな。
私は全教科満点、絵に書いたような才色兼備の優姫がどんな家に住んでいるのか非常に楽しみにしていた。家では箱入り娘のように昔から大事に育てられてきたのか、はたまた自由奔放に育ってきたのかどちらにしてもどうしたらこんないい子になるのか。そんなことを思いつつ私は鎌谷駅に入ってきた電車に乗った。
鎌谷駅から急行で4駅進み1度、雀谷駅で降りて地下鉄に乗り換える。そこから6駅進み錦城駅で降りた。
地上に上がるとすぐにタワーマンションや商業施設が立ち並んでおり私は同じ日本なのか?ここは異国の地なのか頭がごちゃごちゃになっていた。
萌恋、ここから少しあるから案内するね。私は言われるがまま優姫について行った。
歩いて行くと右を見ても左を見ても豪邸の数々、私は一体これからどこへ連れて行かれるのか。ふとあることを思い出した。
前にテレビで東京の錦城地区の地価が高騰している。ということは私は今、錦城を歩いているのかと思っていた。
優姫は着いたよ。私の家はここだよ。
私はふと上を上げると目を疑った。
他の豪邸とは比べものにならないほど大きくてここは城なのか。ホントに優姫はこんなスゴい家に住んでいるのか、この家とは真逆といえるような庶民的な家に住んでいるような私と仲良くしてくれているのかますます状況が分からなくなり口をポカンと開けて固まっていた。
萌恋、口をポカンと開けてどうしたの?家に入るよ。カードキーを差し込むと閉じていた門が開いた。
2人で門の中を入り家に向かうとさらに門があり、今度は一般的な鍵で開けてやっと家に入れるような感じになっており、2人で家に入った。
ここまでだけでもスゴいセキュリティーということはきっと中はとんでもないことに違いない、いや表向きはスゴいのに家に入ったら私と同じ、なんてことはありえずはずがない。そう信じたい。
私が靴を脱ごうとした。すると萌恋、靴は脱がなくていいよ。土足で歩いてもらって大丈夫だよ。
私は思わず優姫にここは海外じゃなくて日本だよ?ホントにいいの?家が汚れちゃうよ。せめてスリッパか何か履かないと落ち着かないよ。
優姫はうん大丈夫だよ。もし汚れが気になるようならある人を呼ぶからちょっと待っていて。
ちょっと佐藤。玄関のまで来てと内線で呼んだ。
どういうこと?内線で佐藤って人を呼ぶ?この家は一体どうなっているんだと思っていた。
しばらくすると執事の佐藤です優姫さん、どうされましたか?
友達の萌恋ちゃんが土足で歩くの悪いと思うみたいだからスリッパ持ってきてあげて。後、萌恋ちゃんの靴が汚れないようにしておいて。
執事の佐藤です。優姫さんに言われた通りスリッパをお持ち致しました。大事な靴の方をお預かり致します。では客間の方でお待ちください。飲み物と果物を用意しますので優姫さん、また内線で何にされるかお電話ください。
私は靴からスリッパに履き替えて客間に向かって歩いていると美術の教科書に載っている絵画だったりテレビでいくらで落札されたというニュースの名画がズラリと並んでいて私は間違って触れて傷をつけたり骨董品等を割らないように気をつけないと。
客間に座り、私は優姫に尋ねた。
優姫、どうしてこんな私と仲良くしてくれるの?前に私の家に来た時に近くにゴミ屋敷の家があったって言ってたけれどそれって私に気を遣ってくれていたの?こんな高級住宅街にゴミ屋敷なんてありえないと思うよ。
すると優姫はどうして萌恋と仲良くしていたかって言うとね、この家に住んでいるからか小学生や中学生の時にお嬢様とか令嬢だって揶揄われてさ。でもその中でも普通に接してくれる仲のいい子たちとだけ家に入れたり遊びに行き来したりしてたって感じ。だから萌恋と仲良くして欲しいな。
私はうん、勿論分かった。
後、前にこの辺りにゴミ屋敷があったっていうのもホントだよ。この家の斜め向かえにある家、今は立派な家が建っているけれど数年前は道いっぱいにゴミが溢れていてそこに住んでいる人が財産だって言う一方で全然立ち退かなかったから行政代執行することになってからあの家が建つことになったよ。
「ぐぅ〜」
萌恋、お腹空いた?何か果物でも食べようか。何にする?マンゴーやメロン、ドリアン等色々あるよ。
私はドリアンってあの果物の王様って呼ばれているあのドリアン?開けると臭いけれど食べたら美味しいあれだよね?じゃあ滅多に食べる機会もないと思うからドリアンにしようかな。
優姫は内線で佐藤にドリアン2つにアイスコーヒーを頼むと客間にお持ちしますのでしばらくお待ちくださいと内線が切れた。
萌恋、ちょっと待っていてね。今、執事の佐藤に持ってきてもらうようにお願いしたからそれまでしばらく喋っていようか。
私は気になることを聞きたいことがあると伝えた。
いいよ、何でも聞いて。でも大概みんな似たようなことを聞くことを多いから質問問答みたいなのが出来ている感じだけどねと笑っていた。
優姫の気持ちを汲み、質問をする前にもし答えたくないこととかあったら遠慮なくそれは答えたくないって言ってもらって構わないからねと先に伝えた。
優姫はそういう風に言ってくれる友達、萌恋が始めてだよ。何でも答えるからどんどん聞いて。
私はまず1つにこれだけ大きい家に住んでいるってことは毎日ご飯はフランス料理や割烹料理といったのがステータスなのかなって。
それはそう思われがちで実際に小学校の頃は毎日フランス料理ってこともよくあったけれどそれが原因でイジメられることになって中学生になってからはそういうのはたまに食べるだけで普段はご飯に味噌汁、生姜焼きや焼魚を食べる生活だよ。意外でしょ?
優姫、イヤな記憶を思い出させるようなことしてゴメンね。
萌恋に何でも聞きていいよって言ったの私だし今では気にしていないから大丈夫だよ。
2つ目にどうして優姫はそんな謙虚なの?
自分で謙虚かどうかは分からないけれどきっとこの家に住んでいるからそう思うならばね、この家に住めているのはパパが家電量販店の社長、ママがアパレルの社長で2人とも自分で立ち上げて1代で築き上げてきた感じで私はこうやっていい暮らしをさせてもらっている。それで私が令嬢だからって蔑む態度を取っていたり偉そうな態度をとっていたら萌恋はどう思う?
えっ、何この子。偉そうな態度とって親のおかげじゃないの?って思うかな。
でしょ?そういう事だよ。だから豪邸に住む子も普通の家に住んでいる子も平等に接しようって思ったからかな。
3つ目にこんな広い家でどこで勉強しているの?
「トントン、優姫さんお持ちしました」
ドリアンとアイスコーヒーをお持ちしました。
優姫は先にドリアンを食べよう。今の質問はこれが食べ終わってから案内するね。
私は生まれて初めて、いやこれで最後になるかもしれないドリアンを噛み締めて食べていた。
私たちはドリアンを食べ終わると優姫はじゃあ案内するねと客間を出た。
私は歩いていていたる所に内線があって優姫にたずねた。ねぇ、優姫どうしてこんなに内線があるの?やっぱり部屋が広いから?
部屋が広くて沢山あるっていうのもあるけれど小さい頃に私が家で迷子になっちゃって探すのが大変で色んな人が半日がかりで探してくれてね。それから全部屋に内線を取り付けるようにしてそれぞれ番号を振ってやりとりすればやり取りも早いからね。
私はその事を淡々と喋る優姫もすごいなぁと思っていた。
そして優姫は足を止め、ここで勉強しているよ。
ここは一体なんだ?図書館なのか?沢山の本がズラリと並んでおりその規模は学校の図書室の比ではない。市立図書館と同規模で私はただただ見上げて固まっていた。何もかもがスゴい、この家にいるのは夢なのか?現実なのか分からなくなってきた。
そうだ、萌恋せっかくなら私の趣味の部屋に見ていってよ。ファイヤーフェアリーのグッズも沢山あるからさ。
私はもう何が出てきても驚かないと思い、優姫と一緒に歩いて行った。
まずここがアイドル部屋でファイヤーフェアリーのグッズは主にここに置いていて、隣の部屋はアニメグッズとスポーツ関連グッズが置いてあった。
そして私が寝ている部屋ある所には案内するね。
そこにはクマのぬいぐるみが所狭しと並んでいて女子力の高さを目の当たりにして言葉が出なかった。
口には出さなかったが普通、自分専用の部屋がいくつもあるのって異次元としか言えないな。
ねぇ、萌恋動物って好き?
うん、好きだよ。特に犬が好きかな。
じゃあ付いてきて犬を飼っているからさ。再び廊下を歩いて別の部屋に案内された。
優姫がドアを開けるとゴールデンレトリバーは優姫に飛び込み顔をペロペロしていてスゴい人懐っこい子だなと思っていた。
優姫、この子の名前って何て言うの?
すぐにペロペロしちゃうからペロちゃんって呼んでいるよ。かわいいでしょ?
うん、ペロちゃんかわいいね。シッポ振ってペロペロしているからまるで自分のこと子犬かのように思っているのかと思うと余計に愛おしく思える。
さすが萌恋、目の付け所がいいね。遊びに来てくれた人はみんな口を揃えてそういうよ。
ペロちゃんにはね、ある芸が出来るよ。ペロちゃんお座り。萌恋にご挨拶して。
するとペロちゃんは座って頭をペコって頭を下げている姿があまりにもかわいく私はペロちゃんほ頭を撫でた。ホント人懐っこくてかわいいね、一緒に写真撮りたいから優姫、私のスマホで写真撮って。
1枚写真を撮ってもらい、時間を見ると午後6時で外を見ると大雨が降っていた。私は優姫についつい長居しちゃてゴメンね、コンビニでビニール傘買って帰るね。
すると優姫はこんな大雨の中帰るつもり?せっかくならは晩御飯食べていきなよ。勿論帰りは執事の佐藤に送らせるようにするから気にしないで。
私はじゃあ……お言葉に甘えてご馳走になろうかな。
萌恋、何が食べたい?中華料理から割烹料理やフランス料理等色々あるけれどどうする?
私はどうするってどういうこと?
優姫は大きいキッチンが1つあるだけでいくつも作れないからそれぞれに専属の料理人がいて今日はフランス料理食べたいから来てもらうシステムなの。
じゃあその時に食べたいものによって指名するってこと?
まぁ簡単に言えばそういうことだね。だから萌恋に何が食べたいか聞いたって感じ。
そうだね……。雨も降って温まりたいから中華料理にしようかな。
うん、分かった。内線で佐藤に伝えるね。もしもし佐藤、今日は萌恋ちゃんが晩御飯食べるみたいだから中華料理の人呼んでおいてね。
優姫さん、かしこまりました。雨も酷いので萌恋さんが帰られる際は車で送らせてもらいます。
私はママに友達の家でご飯を食べていくことを伝えたがあまりにもスゴすぎてこの状況は言っても信じてもらえないだろうと思っていた。
萌恋、待っている間暇だと思うから勉強部屋で本でも読んで時間潰す?
じゃあそうだね。私からしたら勉強部屋じゃなくて図書館だと思うけどね。2人で宿題をして空いた時間に読書をして待っていた。
1時間後、「プルル、プルル優姫さんお食事のご用意が出来ました。客間にお越しください」
萌恋、ご飯出来たみたいだから客間に行こうか。
果たしてどんな中華料理が出てくるのか楽しみでワクワクして廊下を歩いた。
客間に行くとからあげ、エビマヨ、天津飯、ふかひれスープとどれも美味しそうな物が並べられていた。実際に食べるとどれも美味しく、ふかひれスープは生まれて初めてで感動のあまり涙が出てきた。
佐藤さん、すみません料理人の方を呼んでもらえますか?
佐藤はかしこまりましたと料理人を呼んだ。
本日担当致しました中華料理の本田です。お口に合わなかったでしょうか?
私はお口に合わないなんてとんでもないです。どれも美味しくてふかひれスープを口にしたのが初めてで涙が出るくらい、美味しくて是非ともお礼を言いたくてお呼びしました。
そう言ってもらえると作っているのもとしては嬉しい限りです。また優姫さんの家に遊びに来られた際はまた中華料理を選んで頂ければ幸いです。
そんな感じで時刻は午後8時になろうとしていた。
優姫、じゃあ私そろそろ帰るね。ちょっと待って、まだ雨も酷いし佐藤に送らせるから。私はさすがに何から何までさせるのは申し訳ないよ。
「プルルプルル、優姫さん車の用意が出来ましたので表に来てください」
萌恋、もう佐藤が表で待っているから早く行こう。
家を出ると佐藤さんはリムジンに乗っていて私と優姫は乗り込んだ。
私は佐藤さんに神奈川県にあるラドールっていう洋菓子屋にお願いします。そこまでお願いします。
佐藤はカーナビでセットして車を走り出した。
道中で私は優姫に何もかもがスゴくて驚いたとずっと話しているとあっという間にラドールに着いた。
じゃあ萌恋、また明日ね。いつでも遊びに来てね。
うん、分かった。とは言ったものの未だに今日の出来事が夢なのか現実なのか分からなかった。
家に着いて優姫にラインで今日は家に遊びに行かせてくれてありがとう。執事の佐藤さんや料理人の本田さんにもありがとうございますって伝えておいてね。
優姫から返信が来て2人に伝えておくね。よかったらまた遊びに来てね。また萌恋の家にも遊びに行きたいな。
私はあんな家でよければいつでもいいよと返信し、ゴールデンレトリバーのペロちゃんの部屋より小さいこの家って一体どうなのか。驚きしかなかった1日だった。
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