第7話
やりたい放題のピンク頭に、とうとう鉄槌が下される日がやって来た。
それは先輩達の卒業式で、夜には全校生徒参加のダンスパーティーが開かれる大切な日。
王族代表として、第一王子も参加されるのだ。
第一王子大好きの彼女が、この好機を見逃すはずがないでしょ!絶対何か仕出かすわ。
そしてまた、彼女に煮え湯を飲まされ続けた令嬢達もこの機会を逃すことなんてないわけよ。
『ピンク頭』VS『被害者令嬢の会』だと思い、私は我関せずで壁の花になると決めてたんだけど・・・・
第一王子が入場しお言葉を終え、パーティの開催を宣言した瞬間、ピンク頭が突然叫んだのよ。
「クリストフライト・フリス第一王子殿下!私、エリン・トルワはアデリーヌ・キャベンデッシュ様を告発致します!」
一瞬にして静まり返る会場。
名指しされた私は、驚きの余り口に含んだばかりの果実水を、思いっきり飲み込んだ。・・・・喉が痛い・・・
そして私が向けた視線は、ピンク頭を通り越し、第一王子殿下に向けられた。
―――クリストフライトって・・・誰?
―――俺だよ・・・
視線だけで交わされる会話。
えー!マジですか!?クリスじゃないの?フルネーム、クリス・フリスじゃないの?!
語呂が軽くて面白いわって思っていたけど、違ったの!?
って事は、第二王子もレオン・フリスじゃない??―――後から聞いたんだけど、第二王子はレオンステンドル・フリスと言うらしいわ・・・・
・・・・そういえば、名前が長くて幼い私には覚えきれなくて、それに周りが『クリス』『レオン』って呼んでたからてっきりそれが名前だと思ってた。
何処か責めるような視線を第一王子・・・クリスが送ってくる。
思わず『ごめん!』と手を挙げれば、『仕方がないな』と肩を竦められた。
誰も気付く事の無いやり取りをしている間に、ピンク頭はどんどん話を進めていた、らしい。
全く聞いてなかったのよ。
だから突然『こちらには現場を目撃していた証人もおります!』と叫ばれてもさっぱり分からない。
―――クリス、聞いてた?何の話?
―――さっぱり、分からん!
やっぱり視線で会話を交わすけど、お前も聞いてなかったのかよ!ってな感じで睨み付ければ、何を勘違いしたのかピンク頭が「きゃっ!アデリーヌ様、怖いわ!」とぶりっこしながら、取り巻き令息の腕に縋りついていた。
いや、あんたの事見てたわけじゃないんだけど・・・と、口を開こうとした瞬間「第一王子殿下!発言をお許しいただけますか?」と一人の令嬢が手を挙げながら、私を庇うように前に出てきた。
彼女はウェイバー伯爵家の令嬢でエミリー様。ピンク頭の取り巻きしている令息の元婚約者だ。
「私、エミリー・ウェイバーと申します。今、エリン様が読み上げたアデリーヌ様への罪状が全て冤罪である事を、証言させていただきます!」
「発言を許そう」
「ありがとうございます」
深く腰を折るエミリー様をピンク頭が睨みつけている。
―――いや、ちょっと何分かったふりして返事してんの??
―――取り敢えずアディの味方っぽかったから、許した。内容は分からんが・・・
コイツ、使えんわ!!思わず中指立ててクリスを睨んでおく。
そしてエミリー様に視線を移した。
彼女は私の冤罪を晴らすって言ってたから味方なんだろうけど・・・冤罪って何?私、何した事になってるの??
それに何でエミリー様が私を庇ってくれるのか分からず、彼女を窺うと「大丈夫です。お任せください!」と力強く頷いた。イケメンだ。
「う、うん」
勢いに押され思わず頷いてしまったが、何が何だかさっぱり分からなかったが、断罪イベントが始まった事だけは分かった。
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