第6話
私、今年から学園に通っているの。
平民貴族関係ない、魔力があれば誰でも通える魔法学校なんだけど、十六才から二年間通わなくてはいけない。。
ゲームや小説だと、王子様なんかも通ってて悪役令嬢が婚約者なんだろうけど、既にそれは破綻してるし王子達も年上だから、いないのよね。
断罪ヒロインだと思ってたけど、これだけ色んな事が違ってると、単に同姓同名のモブなんじゃね?って思い始めたわ。ってか、多分そうね!ラッキー!!
でも、悪役令嬢っぽい人はいるのよ!
それもまた真っ赤な髪をした、きっつい顔の綺麗な令嬢。見た目はまさに『ザ・悪役!』みたいなんだけど、中身はとっても優しい可愛らしい令嬢なの。
彼女はフラン公爵家の娘でロリアっていうのよ。私の唯一の貴族の中でのお友達。
実は彼女、第二王子の婚約者候補でもあったらしいんだけど、今はそのお役目から解放されているわ。
というのも、これまた不用意な私の一言が原因で・・・
この国には二人の王子と一人の王女がいるの。
んで、王子には結構早い段階で婚約者候補として何人かの令嬢があてがわれるわけ。勿論、高位貴族の。
でもね、そうなると候補になった令嬢は恋愛は勿論の事、他の男性との交流自体を控えなくてはいけないし、想う方がいても諦めるしかないわけ。
何才で婚約者が決まるってならまだいいわよ?でも、それがいつになるかもわからないし、その中から決まるかもわからない。
「それってちょっと、酷くない?」
と私が侯爵に文句を垂れたのよ。思いっきり前世の常識交えて。
「何で嫁にもらってくれるかもわからない男に、十代の一番輝かしい人生を拘束されなくちゃいけないの?愛情関係なく能力重視でお妃選ぶんなら、能力試験を受けさせてその中で優秀だった人を嫁にすればいいじゃない。この国の王族って女を馬鹿にしてるわけ?」
―――みたいな事を怒りに任せて侯爵にぶつけたのよね。これが十四才くらいの時?かな。
まぁ、別に私が文句垂れたからってどうにかなると思ってもいなかったし、単に前世の記憶があるから男尊女卑の理不尽さを喚き散らしただけなのよ。
なのにいつの間にか、婚約者候補ってのが無くなって、解放された令嬢たちは次々と婚約をしていったの。殆どの令嬢に意中の殿方がいたみたいなのよ。
いつまた婚約者候補に戻されるかわからないとばかりに、パタパタと婚約していく元候補者たち。そんな状況を見て、国王は考えを改めたみたい。
ロリアも婚約者候補から解放され、彼女の従兄とすぐに婚約したのよ。
元々、二人は想い合っていたらしいのよね。学園卒業後、すぐに結婚するんだって。とても幸せそうに言ってたわ。
学園で知り合って仲良くなってからその話を聞いて、みんなが皆、王子の嫁になりたいわけじゃないんだって思った。
だって。この国一番の権力者の伴侶よ?何処の家も王家とのつながりを望んでると思っていたから、子供達を家の繁栄の為の道具にしか思っていない人達ばかりだと思っていたのよ。
中にはそういう貴族もいるけれど、今は王家に嫁いで苦労するよりは・・・という考えの人達が多いみたい。
でも、やっぱり王子妃になりたい令嬢もいるらしく、一生懸命アプローチしてるらしいわね。相手にされていないみたいだけど。
その令嬢達とも同じ学園に通っていて、何かと私にちょっかいかけてくるのよ。
その最たる人物ってのが・・・・聞いてよ、奥さん!!
いかにもヒロインって感じの容姿なの!!びっくりよ!
ピンクのフワフワした髪に、透き通った湖面の様な水色の瞳。色白の肌にうっすらと紅が差していて、見た目は超可愛らしくて保護欲そそられる『ザ・ヒロイン』!!
ぱっと見、誰もが振り返ってしまうくらいの、まるで妖精の様な令嬢なんだけど・・・・・悲しきかな、見た目だけなのよね、これが。
実は彼女が断罪ヒロインなの?って思うくらい、姑息で陰湿でゲスいのよ・・・・。人間不信に陥ってしまいそうになるくらい。
自分で言うのもなんだけど、私は王様に気に入られている。王様は王子ズのどちらかと私を結婚させたいらしい。毎回「どうだ?うちの息子と」と言われ続ければ、誰だってわかるってなもんよ。
しかも王子達も、暇を見つけては侯爵家に通うもんだから、誰が見ても私が
どうも強引に婚約させようとすると、私が全力で逃げ出す事を分かってるみたい。
そんな状況だけど、概ね貴族たちは生暖かい目で私達を見てる。
というのも、父親が魔法科学省の設立者でトップだという事と、DNA鑑定発案者が私だって事が公にされてて、神みたいに崇められてるからなのよ。
まぁ、反抗的な貴族もいる事は確かで、権力に固執してる人とか、王子大好きな令嬢とか・・・色々。
大っぴらには仕掛けてこないけど、裏では色々あるのよ。
そんな中、先頭を切って嫌がらせしてくるのが、ピンク頭令嬢。
ピンク頭は、トルワ伯爵家の娘でエリンというの。両親は別に権力に固執しているわけではなく、王子妃になれたらラッキーよね~、位の感覚しかないくらい、ほんわかした人達。
でも、ピンク頭は違ってた。彼女は第一王子の婚約者候補だったんだけど、顔合わせの時に一目惚れ。めっちゃ王子が好きなのよ。
王子や他の候補者たちがドン引きするくらいグイグイいってたらしい。
あまりの節操の無さに、候補者たちが王子を守っていたらしいわよ。(ロリア情報)
そんな中での候補者解散。王子妃になるチャンスを失って、大暴れしたらしいわね。彼女。
そしてどこで聞き付けてきたんだか、解散の原因を作った私が憎いらしいのよ。しかも王子二人とも私に夢中だという噂もあって。・・・誰よ、そんな噂流したの・・・
だもんだから、難癖つけるつける・・・
正に小説かゲームみたいに、私の側に走ってきてはいきなり転んで足を掛けられたと泣いてみたり、自ら噴水に飛び込んで私が付き落としたとか言いがかりをつけたり、教科書を破かれたとか何だとか・・・まぁ、誰も信じちゃいないんだけど。
彼女が婚約者候補だった時の問題行動が、水面下で貴族間に広がっていたらしいのよ。私は知らなかったけど。
だけどそんな噂を知らないのか、ピンク頭に心酔した令息が数人いる事も確かで、彼女の援護射撃をしてるわ。
その令息だって他に婚約者がいるのよ?婚約者がいるのに、他の女に付きまとってちやほやしてるなんて、正にクズよね。
令息の婚約者達はすぐさま、婚約破棄に動き出したみたいよ。
何でも、彼等のバカ丸出しの行動や言動に呆れて、あっさりと男共を捨てたみたい。
それに関しては、早々に男共に見切りを付けて正解だわ!と、祝福しちゃったわ。だって、そんなクズに花の乙女の貴重な時間を割くなんて、人生無駄にしてる様なものだもの。
そして彼女等とは、何かと因縁付けられる私と良く鉢合わせしていたのよ。まぁ、ピンク頭の後ろには自分らの婚約者がいたからね。
彼女等は婚約破棄したんだけど、かなりピンク頭に腹を立てていて、理不尽に絡まれる私を守ってくれるようになったの。
一緒に行動する事も多くなって、そのおかげで友達にもなれたわ!嬉しい!
彼女等のおかげで、ピンク頭が私に被せようとした冤罪計画はことごとく頓挫。
次第にピンク頭とその取り巻き令息は、誰にも相手にされる事無く孤立していったの。自業自得よね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます