第41話 一時帰還

 沙絵がうさぎを座布団に乗せると、『ピンポーン』とインターホンが鳴る。ナズナは玄関に向かい、鍵をかけていないドアを開ける。そこには、倫弥が立っていた。

「戻ったよ。変わりないかい?」

倫弥はナズナに声をかける。

「はい。変わりないです。」

沙絵とレイとリンも顔をだす。

「お帰り。兄さん。」

「ただいま。やっと戻れたよ。待たせたね。」

倫弥は少し疲れた顔。

「お疲れ様。ちょっと早いけど、お昼にしましょ。お腹空いたでしょ。」

沙絵は皆に声をかける。

「どうぞ。」

ナズナは倫弥に家に上がるように促す。倫弥はコートを脱いで家に上がる。居間のテーブルを五人で囲む。テーブルにはおにぎりとパンとカップ麺とペットボトルが並ぶ。

「どれくらい経った?」

「2〜3分。」倫弥の問いに沙絵は答える。

「少し休んでいいか?」

「休んで。」沙絵はペットボトルのお茶を倫弥に渡す。倫弥は蓋を開け、お茶を半分近くまで飲む。

「お湯沸かして来ますね。」

ナズナは立ち上がり、ポットを持って台所に行き、ヤカンを火にかける。各々ペットボトルとパンやおにぎりを手に取り、リンとナズナとレイはカップ麺を開け、黙ってお湯が沸くのを待つ。お湯が沸くとナズナはポットにお湯を入れテーブルに置き、リンとレイとナズナのカップ麺にお湯を注ぐ。

「お弁当買ってくれば良かったかな?」

リンはカップ麺を眺めながら呟く。

「いいよ。夕飯はなにか美味しいもの食べましょ。」

沙絵はリンの呟きに応える。皆、静かにお腹を満たす。

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