第8話 黒板

 おはようございます。


 高一の時、教室の黒板をピカピカに磨き上げる同級生がいました。

誰に頼まれた訳でもなく、ある日突然始まりました。彼は黒板消しと雑巾を駆使して、前の大きな黒板と後ろの小さな黒板を、拭いた跡も分からないほどピカピカに仕上げ、それはまるで新品のようで、授業でクラスに入ってくる先生を驚かせました。


 本来、黒板消しは日直の仕事ですが、物静かな男の子が淡々と黒板を仕上げていく姿に、皆が今でいう「ジワる」状態になって、すっかりその男子生徒の担当になってしまいました。そして、彼がいない時はクオリティの差こそあれ、努力して誰かが黒板をピカピカにするようになりました。


 ある日、もう一人の物静かな囲碁将棋部の男子生徒が、突然後ろのピカピカ黒板に歩み寄り、大きな文字で「叫びたい」と書き黙って席に戻りました。すでにジワっていたクラスは笑いの渦に包まれ、その日以降後ろの黒板には毎日、「今日の一言」が書かれるようになりました。二人の心の余裕から生まれた遊び心からクラスが和み、いつもきれいで落書きもなく、毎日教訓が書かれている黒板は、職員室でも話題になったそうです。


 学校は勉強をするところ、会社は仕事をするところですが、心を持った人間が集まる場所なので、心の余裕や遊び心を持って取り組めば、いろいろなことが円滑になるのではないかと思います。


 今日も一日笑顔で宜しくお願いします。

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