第6話 壊滅

 俺は仲間の骸骨の敵が来たという知らせを聞き、急いでここの防衛をするために洞窟の入り口へと向おうとする。しかし、補佐役の骸骨は俺の手首を強く掴み、必死に俺を止めようとした。

 長である俺が死ぬと今後統率が執れなくなるという心配からであろう、俺は状況を理解して足を止めた。すると、補佐役の骸骨は俺を連れて洞窟の奥へと進んだ。


 洞窟の入り口からは数多くの斬撃音がした。

 俺は何も出来ない自分に無力感を抱きつつも、補佐役の骸骨と一緒に隠し通路に隠れていた。 

 

 時間が経つにつれて、次第に斬撃音が消えていった。そして、こちらに足音が近づき、近くの方から男のドスの利いた声がした。


 「これでお前の召喚したアンデッドは最後かアンドレアル=アートライク=ヴァンヴァーラ=ディアストレート!」


 (そいつに短縮した呼び名はないのか。)


 「いや、違う。私の現在の限界召喚数の36体をさっき召喚した。今ので35体だから、あと1体だ。」


 男が鼻息を荒くする音がした。そして、建物を壊す音や、野太い男の雄叫びも聞こえた。かなり気性の荒い野郎だった。

 本をめくる音もしたので、もう一人の方だろう。名前が長すぎて忘れたが、かなり知的な人物のようであった。そして、本を閉じた音がした。


 「メメルそんなとこ壊しても無駄ですよ!ここから逃げ出したかもしれません。次に行きますよ!」


 言動とかけ離れたとてもかなり可愛いらしい名前だった。


 「偉そうにほざいているが、お前が逃した奴だろうが」


 正論だった。

 

 本で鈍く殴る音がした。そして、足音が遠ざかり、声もしなくなった。


 安全を確保するため、先に補佐役の骸骨は隠し通路から出ていった。そして、安全が確保できたようだったので、俺も隠し通路から出た。すると、目の前にはバラバラになり元に戻らなくなった、仲間たちの姿があった。

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る