第5話 洞窟の発展

 スケルトンの軍団の先頭に立つこの骸骨は俺と同じように意思表示のできる、知能のある骸骨のようである。

 この骸骨の頭の上の表示にはスケルトンレイダーLv28と表記されてあった。どうやら俺のスケルトンフォートという存在のほうが格上らしい。そして、先頭の骸骨は再び地面に文字を書き始めた。


 「私どもは、貴方様を、なんと、お呼びしたら、よろしいでしょうか。」


 確かにそう言われてみれば、俺に呼び名というものは存在したい。なので、俺も地面に文字を書いてその質問に返答する。

 

 「俺は、名前がない。だから、好きに呼んでもらって、構わない。」


 その骸骨はその俺の返事に困ったのか首を傾げた。すると、少し間を置いて再びその骸骨は文字を書く。


 「では、おさ様でよろしいでしょうか?」

 

 俺はその返答として軽く頷いた。そして、俺は長という威厳さを保ちつつ話を進める。


 「いきなりで申し訳ないが、役割分担をさせて欲しい。何かお前に提案はあるか?」


 先頭の骸骨は頷いてから、文字を書き始める。


 「はい。 取り敢えず私は長様の補佐役としての仕事を務めをさせてください。そして、残りの者達で洞窟の防衛に充てます。」

 

 俺は優秀な補佐をもったことの喜びに浸りつつ、その返答として軽く頷いた。そして、その補佐役はすぐに他の骸骨たちの役割分担をしに行った。


 俺はすることがなく暇になったので、鈴という女から貰った地図を全て覚えることにした。


 時間が経つにつれ、骸骨特有の足音や、採掘音で周りが騒がしくなる中、俺は集中力が切れつつもなんとか全てを覚えることができた。そして、俺は洞窟内の様子が気になり、洞窟内を探索することにした。


 洞窟内を歩いていると沢山の簡素な造りの建物や、低い監視塔、そしてトラップまでがこの短時間で造られていた。


 俺はこの洞窟の様子に感動しつつ、補佐役の骸骨のところへ向かった。すると、補佐役の骸骨は俺を見つけて、お辞儀をしてから地面に文字を書き始めた。


 「長様、無事に我々の居住地と洞窟内の防衛及び警備の準備が整いつつあります。そして、洞窟内の建物を造設するにあたって木材の採集を洞窟外でしましたところ、洞窟外の半径約300mの範囲で、人間種を五人確認致しました。」


 俺は彼の働きっぷりに感心して、何も言うことがなかった。そして、事態は急変し、俺らの元に一体の骸骨が走って来た。どうやら敵が洞窟内に迫ってきているらしい。


 


 


 

 




 

 

 

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