第3話 早すぎる別れ
俺は気を失った二人のそばに座っていた。そして、俺は自分の肉無い手を見ながら先の見えない今後のことを考えていた。
「鈴... 」
タイミング悪く、気を失っていた茜という女が起きてしまった。
「スケルトンフォートLv38!? なんでここにいるの?」
彼女は俺の方を見て洞窟の壁へと後退りした。俺は彼女が何を言っているのか分からなかったものの、先程の骸骨との戦いで、俺は彼女が恐れ慄くほど強くなったらしい。
そこまで彼女に敵視されても困るので、俺は洞窟の地面に文字を書いて彼女とコミュニケーションをとろうと試みた。
俺はただ文字を地面に書いているだけだが、一つ一つの俺の動きに彼女は目で追いかけてかなり警戒をしていた。そして、俺が書いた文字を見てもらうように、指で文字を読むよう促した。すると、彼女は脚を震わせながらも、ゆっくりとその場に立って俺の書いた文字を見る。
「俺、は、君たちに、危害を、加えるつもりは無い、だから、安心を、してほしい。」
彼女は理解できたのか軽く何度か頷いた。そして、俺は再び次の文字を書き始める。
彼女は安心したのか、すぐさま鈴という女のそばへ駆け寄った。
「ねえあんた、私たちの言葉が分かるの?」
俺は頷いた。すると、また質問された。
「あんた私たちを助けて何が目的なの?もしかして身体?」
俺は頭を横に振る。
「じゃあ、金?」
俺は再び頭を横に振る。
「じゃあ一体何なの?」
俺は地面に書いた文字に指をさす。
「一緒に連れて行ってほしい!? 無理よ。あんたは本当に命の恩人で、ここで入手したアイテムもロストせずに済んだわ。だけど、あんたはこの世界のことが全く分かってないわ。私たちの住むアシュガーダ王国は人間以外の種族は立ち入り禁止で、アンデッドなんて以ての外。悪いけど、あんたを危険に巻き込まないためにも、ここでお別れよ。ごめんなさい。」
茜という女は非力な骸骨も躊躇なく一刀両断する無慈悲な女かと思ったが、意外にも良心のあるいい奴だったので、感心した。そして、鈴という女も目を覚ました。
一度は俺を見て腰を抜かしたものの、茜が状況の説明を彼女にしてくれたおかげで、彼女の混乱は収まった。
「先程は私を助けていただきありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、これを受け取って下さい!」
鈴という女は俺に深くお辞儀をして感謝の意を述べた。そして、彼女は俺にこの世界の地図と年季の入った紙を渡してくれた。
「紙はマジックポイントを紙に通すことで使えることができる便利なアイテムです。是非使ってみて下さい。では、私たちはこれで失礼します。」
「あとあんたアンデッドなんだから
二人はこの洞窟から出て行った。そして、一人残された俺はなんとかして、再び彼女たちと会うために、このアンデッド不利な世界の中で生きていくことを決意した。
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