017話ヨシ! 12ヶ月後(4)、チートすごいですね!

輝甲の右腕が出来たら、左腕は簡単だった。


数日練習すれば、出来るようになった。

ゴム状態(半熟)の輝甲を作るため、所要時間が2分くらいかかるが、それ以外は問題ない。


それから両手の籠手を、同時装着が出来るまで、また数日程度の練習が必要だった。

合計1週間くらいで、両手の装着を思い通りに出来るようになった。


兄ちゃんから輝甲きこうを見せてもらって、ここまで出来るまで約一ヶ月。



(結局、一番手こずったのが、オーラから輝甲きこうへの変化だったな)



ほとんどオーラ視覚強化『瞬瞳しゅんどう』のおかげだ。

これを修得できていなければ、今でも輝甲きこうが完成してないかもしれない。



(よしよし、だいぶんオーラの操作も上達してきたなっ)



それに『瞬瞳しゅんどう』のオーラ観測機能のおかげで、オーラの操作自体が上達した気がする。


今までは『ぼんやりとした光』としか認識していなかった物が、今は光の形や大きさ、細かな動きまでもが、しっかり視認できるようになった。


例えるなら、『同じマンガでも、暗い部屋で読んでいると、細かい描写を見過ごしてしまう』 という感じだろうか。

いや、逆に 『明るい部屋で読むと、ちょっとした伏線でもちゃんと気づく』 という感じか?


よく見える分、色々な改良点に気づく。


おかげで、俺のオーラが切れやすい原因も分かった。


端的に言えば、『着ぶくれ状態』だったのだ。

着グルミでも被ってるのか、というくらいにオーラを『厚着』していたのだ。


これが、まるで意味がない事がわかった。

身体に纏うオーラを薄くしても厚くしても、身体強化の効果は大して変わらない。

オーラを大量消費するだけで、効果は上がらず、ムダに疲れるだけ。



(── 完全に、ドラ●ンボールのイメージだったもんなぁ。

 『ブォンブォンブォン!って炎みたいにオーラが立ち上るのカッコイイ』という、前世のイメージが足を引っ張ってたんだな……)



それに気づいて、身体強化で身にまとうオーラを、出来るだけ薄くしてみた。

今の状態が、肌から3~5cmくらいの厚みだ。

丁度、ダウンジャケットを着込んだくらいの厚さだろうか。


おかげで、全身を身体強化しても長時間オーラが保つようになった。


『オーラ全力モードが、3分から7分に増えたぁ!』とか言ってた頃が懐かしい。



(それが、今や30分連続でも余裕 ── 7分から約4倍ですよ。

 しかも、途中で小休憩を入れて節約して使えば、小一時間保つという。

 のべの効果時間は8~9倍。

 バスケや野球みたいな休憩ありのスポーツならフル出場できそう。

 俺今まで、どんだけムダにオーラ垂れ流していたの?)



考えれば考えるほど、自分の無知と失敗が痛ましい。



(そりゃ、すぐにゲロ吐くよ……)



と、納得もした。


しかも、オーラを集中すれば集中するほど強くなると信じていた(確証なし)。

そのため、ムダにオーラの密度を上げまくっていた。


だが、オーラの密度は、検証した結果『身体強化にあまり影響がない』と解った。



(やっぱり感覚で雑にヤるのダメだな……

 ちゃんと検証しながらやらないと)



反省の多い1ヶ月だった。



身体強化のオーラは、ゆくゆくは肌から1cm以下にしたい。

Tシャツくらいの厚さというか、服の下に隠れるくらいのオーラの薄さが理想だ。



(服の下にオーラを隠すと、肉眼じゃあ、ほとんど解らないんだよなぁ。

 『瞬瞳』のオーラ観測機能じゃないと見破れないってのは、オーラ使えるのを隠す上で便利だし)



ちなみに、『瞬瞳』で服の下に隠したオーラを見ると、サーモグラフィティみたいな、視界の色の変化が出る。


肉眼では、自然光や服の色にも紛れるオーラの発光が、『ここオーラだよ!』と但し書きがあるくらい、ハッキリ別物に見える。


例えるなら、AR(拡張現実)の表示画面かな?

分かりやすい合成映像みたいに、色合いが違う感じだ。



(ほぼSF映画のセンサーだろ、この機能……)



だから、今後オーラを隠す敵モンスターが出てきても(予想)、対策はバッチリだ!



(マジで『瞬瞳』が神スキルだな。

 これさえ覚えてたら、大体のオーラの技術は身につくんじゃないの……?

 ── はっ、これってまさか……!?)



輝甲の重要手順プロセス、オーラの固形化を出来る生徒は、養成校1年生でも少ないと兄は言っていた。


となると、『瞬瞳』みたいな、オーラを見る技術を持っている者は少ない可能性がある。

少なくとも、初心者レベルでは皆無といえるのだろう。



「もしかして、チート能力自力じりきGETか!?

 やったー、俺TUEEEE!オレ・ツエ~~できちゃうんじゃない、これっ!?」



俺の感動が、有頂天うちょうてん

このよrこびよろこびは、しばらくおさまる事をしらない。



最強能力チートすごいですね!』

『異世界転生者の証ってだけあるよな、持ってる人アコガレちゃうなー』

『キャー転生者チーターサーン!』

PTパーティドウデスカ?』



俺の脳内では、そんな賞賛の声(妄想)が響いていた。





//── 作者注釈 ──//

2021/05/05 ちょっと表現の修正

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