014話ヨシ! 12ヶ月後(1)、オーラ新技GETだぜ
翌日の朝、いつもより早起きして、庭のマイ訓練場に向かった。
早速、オーラで『視覚強化』しながらの訓練だ。
そこで、新たな発見があった。
俺の視界に入った小鳥の飛行が、急に遅くなったのだ。
速度1/2のスロー再生のように、羽ばたきがゆっくりに見える。
「……なるほど。
『視覚強化』には、4種類の機能があるのか」
俺は、色々試した後に、結果を頭の中で整理する。
(1)望遠
(2)暗視
(3)オーラ観測機能
(4)スロー再生
それが、『視覚強化』の4種類の機能だ。
ここまでくると、単に眼球だけじゃなく、視神経とかも強化されているのかもしれない。
地味だが、超便利な能力だ。
これが有ると無いとでは、戦闘中とか全然違うだろう。
(これだけ優秀なら、そりゃあ30秒くらいで限界がくるよな……)
多機能すぎてスゴいが、その分、負担も多いのだろう。
使いすぎて、視力が悪くなっても困る。
『視覚強化』は、時間切れの30秒まで使用せず、半分くらいで止めるようにする。
実際、そうやって5秒~10秒のピンポイント利用を心がけると、涙があふれたり、目がシバシバするのが、大分軽減された。
というか、モンスターや敵と戦闘中に使う事を考えれば、目がシバシバとか涙で前が見えないとか、逆にピンチだ。
こういう、ちょこちょこ切り替える使い方がメインとなるだろう。
あとは素早く『視覚強化』する訓練が必要だ。
そうだ、何かカッコイイ名前付けよう。
うう~ん……瞬間的な視覚強化、みたいな感じで ──
「── 『
▲ ▽ ▲ ▽
それから約2週間。
オーラ視覚強化技『瞬瞳』は、繰り返しの訓練で、そこそこ上達してきた。
最初は集中に5秒くらいかかっていたのが、今は2秒くらいで発動できる。
これを1秒以下 ── できれば0.2秒くらいで発動させるのが、当面の目標だ。
ちなみに0.2秒は人の反射神経の限界らしい。
アメフトマンガの『ア●シールド21』で覚えた。
「問題は、オーラ自体の方だな……」
オーラを操作して一点集中すると密度が上がり、オーラの色が濃くなる。
俺の場合で言えば、オーラの密度を高めると、そのままオーラの黄色が鮮やかになる。
だが、兄や防衛隊の人がしていた、オーラの輝きが強くなる方法がわからない。
『あぁー、OKOK、オーラの波長(?)的なモノを変えれば良いのね? 楽勝ラクショー』
── とか簡単に考えていたが、どうも上手くいかない。
(……『オーラの鼓動』だったけ?
そもそも本当に『周波数』的な事なのか?
装甲化する時に『色あせて見えた』アレは何?
どうやったら再現できるのか?
せめて、物質化のイメージが
昼食の豆料理を、心ここにあらずの機械的な動きで口に運びながら、考え続ける。
不意に、美人なママのため息が聞こえてきた。
「ああ~っ
また失敗しちゃった……卵、半熟にしたかったのに。
今度は、ほとんど固ゆでね」
「……固ゆで?」
俺が振り返ると、母がゆで上げた卵を割っては、ため息を繰り返していた。
「シェッタお兄ちゃんが、半熟卵のサンドイッチが好きでしょ?
もうすぐ寮に戻る頃だから、その前に作ってあげようと思ったんだけど……」
ママはそう言うと、失敗作の固ゆで卵をスライスして、子供達の皿に分け与えていく。
「何それぇ、わたしもたべたぁ~い」
末っ子の妹が手を上げ、自己主張する。
すると、兄と姉が顔を見合わせて、順に口を開く。
「そういえば、アットとカーチは食べた事なかったっけ?
スーは食べた事あるよね」
「ええ、私は覚えてるわよ、兄さん。
ママの方のお婆ちゃんが元気な頃は、よく持ってきてくれてたもの」
「そうそう。
酸っぱいソースと黒コショウが利いてて、おいしかったよね」
「おにーちゃん、おねーちゃん、ずる~い!」
妹の食いしん坊発言で、食卓にどっと笑いが起こる。
「固ゆで、か……」
オーラを固形化する糸口を見付けた俺は、それどころでは無かった。
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