第39話 ツライグマ VS レイラちゃん

「何でレイラちゃんが苦戦してるんだ・・・ピーナ?」


 パーティーメンバー6人全員嫁にする宣言をした翌日、3月7日の月曜日。

 エマ、ローラ、ティアの3人はギルド銀行の金庫警備リハーサルに出かけて行き、レイラちゃんとピーナは魔獣討伐のクエストで山地の農場へ向かった。

 俺はどっちについていくか迷った結果、身長186センチの巨娘が華麗に戦い圧勝する姿を見物できる方を選んだ。

 ところが、そのスタイル抜群の美少女戦士は意外な苦戦を強いられている・・・


「若くして身体が大きくなり過ぎた弊害が出ているな」

「具体的に言ってくれるとラスカル、いや、助かる」

 討伐対象があまりにもアライグマに似てるから噛んでしまった。

 ちなみに、そのツライグマはシッポだけでなく胴体まで虎柄の縦縞たてじまになっている。某球団のユニフォームのように。


「バランス感覚が良くない。大きな体に振り回されているのだ」

「せっかくの巨体を上手く扱えてないわけか」

「体の軸がブレているからイメージ通りに体が動かないのだろう」

 なるほどな。確かに見ていてそんな感じがする。

 だから、余計に焦ってしまって悪循環にハマってるっぽい。


「ピーナが助けてやったらどうだ?」

「三等冒険師の私が倒してしまったらレイラのポイントにならん」

「ああ、このクエストは試験も兼ねてるんだったな」

 現在、四等冒険士のレイラちゃんは6回連続クエスト成功が条件の三等冒険師昇格試験に挑戦していた。

 そのジャッジの為にギルドから監察官も来ている。

 そう、セクスエルム・シスターズ担当の元女軍人アイリーンだ。

 火が出そうな真っ赤な瞳でレイラちゃんの戦闘を凝視する姿がちょっと怖い。


「私に出来るのは、ツライグマの索敵と誘導だけだ」

「そうか。でもイザって時は救援を頼むぞ」

「分かっている。大怪我をしてリタイアしたら意味がないからな」

 その通りだ。いのちだいじにで宜しくな。


草嵐ヘルヴァ・テンペスト

 ブォォオオオオオ!!!

 魔法使いのローブを着た女がつむじ風を起こし草を巻き上げた。

 深い傷を負って逃げようとしたツライグマの前に草嵐を放ち壁にしたのだ。

 いきなり足止めを喰らって戸惑う敵にレイラちゃんは何とかとどめを刺した。


「あの魔導師が助太刀するのは構わないのか?」

「彼女はレイラが雇った格下の助手だから問題ない」

「その魔導師の横で腰を抜かしてる剣士も助手だったりする?」

「奴は最初から戦力に数えてない。単純労働者としての助手だ。それから言っておくが、あの女は断じて魔導師などではない。ただの魔術士だ」

「その違いが俺には分からん」

「フン、ヴィーにでも聞くといい。魔法はあいつの専門だ」

 この女忍者はヴィンヴィンに含むところがアリアリなんだよなぁ。

 敬愛するエマに対するツンデレ魔導師の態度に問題があるせいだが、何とか修復せんといかんだろう。俺のハーレムを崩壊させないために。グフフフフ


「どうやら、終わったようだ」

 おっと、俺がハレーム・ドリームで弾けている間に決着がついたらしい。

 既に歩き始めていたピーナの後を急いで追って行く。

 その先では、レイラちゃんが神官に治癒の奇跡を受けているのが見えた。


「今回も合格とする」

 パーティ担当のアイリーンが早速、昇格試験の判定を下したようだ。

「ありがとうございました!」

「何とか及第点といった所だがな」

「もぉ、アイリーンさんは採点がからすぎですよー」

「ツライグマ討伐12匹は十分な戦果だ。しかし、索敵や戦闘内容は決して褒められたものではない」

「えー、俺たちあんなに頑張ったじゃないかよぉ」

「アンタは腰抜かして座り込んでただけでしょ・・・」

 魔導師、もとい、魔術士の女は地味メガネなのに意外と辛口だな。


「レイラ殿、三等冒険師には強さだけではなれないのだぞ。専業冒険者として経営していく能力も試されるのだ。貴方は剣士と術士と神官の三人を助手に雇った。その経費を考慮すると今回はギリギリ黒字になる程度の内容だったぞ」


「そんなことないだろー。半日でこれだけ倒したんだからさぁ」

 腰抜け剣士は口だけは達者みたいだな。就職先を間違えたんじゃないか。

「この節穴がっ! それはメスピーナ殿の助けがあったからだ!」

「ヒェッ・・・」

 アイリーン炎の叱責に、少年剣士は震え上がって沈黙した。マジ弱い。


「分かった。次はもっと頑張るよ、アイリーンさん」

「宜しい。一層の奮闘を期待する!」

 昇格試験監察官のアイリーンは、カツーンと靴を鳴らして歩き出しスチームカーに乗り込むと、チェック用紙に何やら真剣に書き込み始めた。

 

「ほら、早く戻りましょ。ルークはさっさとツライグマを荷台に載せてね」

「エイミーちゃんとルー君もお疲れさまー」

「うん、レイラちゃんもお疲れ様。今日も凄かったよ」

「ンーフーフー」

「師匠、お疲れ様でした!」

 し、師匠!?

「ルー君、アナタはどうしていつも腰を抜かしちゃうのぉ? 魔法を使ってるエイミーちゃんを防御してあげないとダメでしょう」 

 いつもは妹のレイラちゃんが、なんかお姉ちゃんになってるな。

 これはこれで新鮮だ。


「す、すみませんでした師匠・・・次はもっと頑張ります」

「エイミーちゃんがルー君のせいで怪我でもしたら、破門だからね破門」

「そ、それだけは勘弁してつかーさい」

「じゃあ努力して早く強くなるのよ。ムフー」

 エッヘンと威張ったレイラちゃんが、少し離れて立っていた俺たちの方を見て手を振った。ともかくクエスト達成と2回目の試験通過で上機嫌のようだ。


「イクゾー君、お風呂かりて来るからちょっと待っててねー」

 スタイル抜群の巨娘はレザーアーマーを外して軽装になると、農場の事務所へ全力ダッシュしていった。

「俺も汚れてるから一緒に行ってくるよ!」

「アンタは荷台の上に乗るんだからいーの」

 うはっ、エイミーさん容赦ねぇ。

 キツイ金切り声じゃなくて、ボソッと言うのが何気にダメージ大きいよな。

 ヴィンヴィンのような嫌味や悪意は無くむしろ無関心なのがグサッと刺さる。

 

 静かなるツン。サイレント・ツンだ。


 この女の子、ちょっと興味が湧いてきたわ。

 そのエイミーは巨娘が脱いだ革鎧を魔法で水洗いし始めた。

 地味な顔立ちで決して美人ではない。目立つのは広いおでことメガネだし。

 俺の嫁たちが美し過ぎるからそう見えてしまう部分もあるがな。

 ただ、胸はでかい。巨乳を超えて爆乳と言ってもいいだろう。

 性格も真面目なようだ。乳揺れさせながら作業に集中している。

 お陰で俺の息子が目を覚ましてしまったじゃないか・・・

 さて、どうしてくれようか?


「ピーナ、もよおしてきた。そっちの森の中に付き合ってくれ」

「甘えるな。小便ぐらい一人で行け」

 キッと睨みつける退魔忍の怖い顔も今の俺には情欲のスパイスでしかない。

「察しろ。もよおしたのは別の汁の方だ」

「なっ・・・こんな真昼間から・・・馬鹿じゃないのか?」

「許嫁がこんなスケベな格好をしているせいだぞ。責任を取れ」

 どう見てもハイレグ競泳水着な戦闘服の尻を揉みながら言うと、じっと耐えていたピーナが、ぷはぁと大きく息を吐いてから俺を樹木の奥へ押し込んで行った。


「・・・どうして欲しいのだ?」

 羞恥で頬を染めながら伏し目がちに要求を訊くピーナがエロい。燃える。

「時間がないからな。直ぐに口でやってくれ」 

 本当はもっとじっくり野外プレイを楽しみたいが仕方ない。

「まったく・・・なぜ私はこんなに男運がないのだ・・・」

 自称薄幸の女は口ではそう言いながらも、腰を落として俺のズボンを引き下ろすと、既に臨戦態勢になっていた息子に目が釘付けになり生唾を飲み込んだ。


 女忍者の奉仕で果てた俺は腰が抜けたみたいにその場で尻もちをついた。

 ゴクリゴクリと濃いホワイトソースを全部飲み込んだ薄幸の美女は、ニタァと笑って勝利宣言を行った。


「フン、情けない。そんなザマで、よくもルークを笑えたもんだ」

 

 これはいつぞやの仕返しのつもりか。

 だが、全然悔しくないぞ。

 既に俺の女にした今は、むしろ愛らしく感じてしまうわ。

 というわけで、ピーナを丸め込んで第二ラウンド行ってみよー。


「お前の言う通り、俺は情けない男だ。美しい許嫁の極楽奉仕に腰だけじゃなく魂まで抜けてしまった」

「そ、そんなに気持ち良かったのか?」

「もうお前の口で男汁を吸い取ってもらわないとダメな体になってしまった」

「さすがに、それは大袈裟だろう・・・」

「責任取ってくれ! さぁ、玉袋で煮えたぎる熱いマグマを解き放ってくれ!」

 腰を上げた俺は、再びファイティングポーズを取った息子を見せつける。

 すると直ぐに熱のこもった笛の音が静かな森に流れ始めた。



「あれ? ピーナ、顔が赤いけど熱でもあるんじゃないの?」

「だ、大丈夫だ。体がなまらない様に運動していたせいだろう」

「ゴメンね、僕がもよおしたから森に入ってたんだ。待たせたかな?」

「ううん、私もついさっき来たところだよー」

「おや、アイリーンさんのスチームカーが見当たらないけど?」

「・・・ソフィアとルークを乗せて先にギルドへ戻りました」

 エイミーが相変わらず小さな声でボソッと教えてくれた。

 ん、んんん、どうしたんだ? 何だかこの地味メガネ魔術士も・・・


「あれ? エイミーちゃんも顔が赤いけど大丈夫?」

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