第38話 俺の子種の魔力が強すぎた結果
「・・・という訳で、僕はここにいる皆さん全員と結婚します」
個人面談を終えた日曜日の夕食の席で俺は改めて信条を語った。
パーティーメンバーが揃ったこの場でも言っておきたかったのだ。
「司祭であるワタクシが皆の婚約を承認します」
エマさんに言われるがまま、全員がエマさんの持つ聖書に手を置き一緒に誓いの言葉を唱えると一筋の光が天と聖書を結んで消えていく。
どうやらこれで俺たちは正式な婚約者になったようだ。
「良かったー。これで皆お嫁さんになれるよ!」
「ま、仕方ないわね。贅沢を言ってられる状況じゃないもの」
「1日で皆の説得に成功するなんて、さすがイクゾー様ですわ」
「これで1年432日肉祭りなのデス」
「ティア、爵位の件は本当に大丈夫なんだろうな?」
「貴族には伝手があるからティアちゃんにお任せよ~♪」
本当に任せたからな。
お前が爵位を買えなかったらハーレム婚が
俺もお前を孕ませ損になってしまうわ。
しかし、ヴィンヴィンも子供目当てだし、エマは年増女だから一刻も早く子宝を授けてやりたいし、レイラちゃんは15歳で騎士団に入団するまでに子供が欲しいしで、妊娠ラッシュになってしまうな。
これってパーティーの活動に問題が出るんじゃないか?
「ご要望通りに皆さんを孕ませますけど、大丈夫ですか?」
「イクゾー様、何をご心配なさっているのでしょう?」
「恐らく3か月以内に希望者全員が孕みますけど、仕事に支障が出ますよね」
「そんな簡単に子供が出来るわけないでしょ」
呆れ顔のヴィンヴィンに突っ込まれたが、オギノ式を知る俺が危険日を狙い撃ちにすれば当たっちゃうなだなぁこれが。
「仮にそうなっても何も問題ありませんわ」
エマは無頓着で幸せそうに笑ってるけど本当に問題ないのかなぁ。
「出産の1週間前だけ大事を取って休めばいいだけですもの」
そういうもんなのか!
日本ではちょっとあり得ん話だよな。
それに、体を張って戦う冒険者が出産間近の妊婦ってさすがに危険だろ。
「こんな大きなお腹をして魔獣と戦うなんて無茶だよ」
俺は両手でボテ腹の線を描いて見せながら忠告してみた。
「馬鹿ね。いくら妊婦でもそんなにお腹が膨れる訳ないでしょ」
バ、バカって言われた。こっちは心配してやってるのに。
でも、ツンドラ女王様に罵倒されてちょっと気持ち良かった。フヒ
「お兄ちゃん、妊婦さんのお腹は大きくてもこれぐらいだよ」
レイラちゃんが両手で示してくれた大きさはかなり小さい。
あれだと、下っ腹の出たオッサンとそんな変わらん大きさだぞ。
これは一体どういうことだ?
・・・あっ、もしかしてこれも異世界基準が違うのか!
「妊娠したらどのぐらいで赤ちゃんは産まれるのかな?」
「また出たわね。イクゾーの常識無しが」
ヴィンヴィン、罵るならもっと激しく頼む。その程度じゃ響かないぞ。
「受精してから、6か月ですわ」
半年で産まれるのか!
それならお腹もそこまで大きくならないし、出産日の1週間前まで日常生活を続けても大丈夫というのも頷ける。
「じゃあ冒険者の仕事に支障はなさそうだね」
「それどころか仕事の助けになりますのよ」
「助けになるってどういうこと?」
「妊婦の魔力は、お腹の子も含めて二人前になるのですわ」
なるほど。その発想は出来んかったわ。
ということは、ヴィンヴィンが妊娠したらとんでもない事になりそうだな。
マジでドラゴンスレイヤーになっちゃうんじゃないか。
「ククク、楽しみだわぁ」
うはっ、そのツンドラ魔導師は何か妄想しながらトリップしてる。
「私もきっと魔法戦士になれると思うの!」
レイラちゃんが期待に目を輝かせて俺を見つめてた。
うむ、腹ボテ魔法戦士か。
スタイル抜群の巨娘のそんな姿を妄想したら俺の目も期待でギラりと光った。
「ワタクシも体調が良くなる気がしますの・・・」
さすがエマは慎ましいというか地に足がついてるな。
うんうんと微笑ましく思っていたら女王様からダメ出しが飛んできた。
「分かってないわね。エマは魔力循環障害が治るかもと期待してるのよ」
ああっっっ!
そうだ。
エマにはその持病があったんだった。
そのせいでオッパイに魔力が溜まって異常な魔乳が産まれたんだよな。
俺が孕ませてやればその持病が治るのか?
ていうか、エマはその為に婿が、俺が欲しかったのか!
子種をくれるなら誰でも良かったのか・・・
そうだよな。
そもそも、こんな優秀過ぎる女のエマに俺が惚れられる要素なんて何も無い。
出逢った瞬間からエマは好意的だったけど目的が、下心があったんだ。
魔乳美女にチヤホヤされて舞い上がって何も疑問に思わなかった。
俺って、ほんとバカ。
そういえば、ヴィンヴィンが言ってたな。
エマには俺の知らない本性があるって。
きっとこれがそうだったんだ。
その青肌魔導士に目を向けると意味ありげにニヤニヤと笑っていた。
くっ、まんまとこいつの思う壺になってしまった。
だが仕方ない。アホな俺が悪いんだから。
はぁ~、ハーレム婚に目途がついてウキウキしてたのに一瞬で凹んだわ。
冷静になって考えれば皆それぞれの思惑があるんだよなぁ。
何かいきなり現実を見せつけられちまったよ。トホホ。
「何か気掛かりなことでもあるのですか?」
今夜もエマの部屋を訪れた俺はまだ夕食の席でのことを気にしていた。
純白のバスローブ姿は昨夜と同じだったがその笑顔はもう同じに見えない。
あれだけラブイチャしまくったのに子種目的だったのとか思うと辛く悲しい。
あっ、そういやまだ言われたことなったわ。
俺のこと好きとか愛してるとか一度も言われたことないよ・・・
そのエマは様子のおかしい俺を心配し不安そうな表情をしている。
あぁ、そんな憂い顔もやっぱり綺麗だ。
思わず手が伸びて左頬に添えるとエマの両手に優しく包まれ頬ずりされる。
「どうしてエマは愛してるって言ってくれないの?」
「・・・ワタクシの方から先には言えませんわ」
んんん?
そうだった!俺からも言ってなかった!
これまでの生涯で一度も言ってないから自然と出なかったんだな。
言うぞ言うぞと覚悟してないと俺には言えんセリフなんだわきっと。
だけど、エマはどうして言ってくれなかったんだろう。
「エマから先に言えないってどういうことなの?」
「このような醜い体をしたワタクシから愛情を押し付けることはできません」
まだそんなことを気にしてたのか。
だけど、これってやっぱり俺のこと愛してるってことだよな!
最高に嬉しいわぁ。
うん、そしてこれは俺の責任だ。
エマの体を求めたけど、俺の気持ちをちゃんと伝えてあげてなかった。
それだとエマだって俺と同じように不安になっても仕方ないよな。
俺は両手をエマの両肩に添えてパープルアイの瞳を真っ直ぐ見つめた。
「エマ、好きだよ。愛してる」
驚くほど素直に言えた。
魔乳司祭の両目がそう言って欲しいと訴えてくれてたお陰だ。
そのまま優しく抱き締めて耳元で甘い声で囁く。
「エマの気持ちも教えて。お願いだから愛してるって言って」
「あぁ、愛してます。ワタクシも愛してますわぁ」
昂ぶる気持ちを抑えられない震え声でエマは告白してくれた。
それを聞いた途端、俺の愛情も欲情も臨界点を超える。
可憐なピンクの唇を十分に貪ってから魔乳司祭を押し倒した。
「魔力循環障害が治ったらオッパイが小さくなっちゃうんだよね?」
三回目の子種を注入したところでエマがグロッキー状態に。
なので、休憩がてら目下最大の懸念を表明してみた。
この120センチの魔乳が106センチになってしまうのか。
それは余りにも惜しいが、エマの健康に変えられないな。
「僕が直ぐにエマを孕ませて必ず治してあげるからね」モミモミ
「あぁ・・・そのお言葉だけでワタクシは・・・」
ピュー ピュッピュ
ぼ、母乳出たーーーっ!!
も、勿体ない。これは飲まないと。許嫁として。男として。
俺は口の含んだエマミルクを存分に味わい飲み干していく。
かぁっと胃の中が熱くなり、その熱が体内に広がっていった。
どうやらエマの母乳にも魔力が含まれているようだ。
ヴィンヴィンの汗や唾液のように五感が研ぎ澄まされる覚醒感はない。
だが、治癒の奇跡のように全身が癒されていくのを感じた。
これは凄い発見かもしれん。
しかし、母乳が出るのは処女喪失中出しから三日後じゃなかったっけ?
んん、遅くても三日以内だったかな。
ま、とにかく初ミルク噴出なんだから、おめでとうと言ってあげよう。
と思ったら、エマは幸せそうな顔で失神していた。
少し休ませてあげないと駄目だね。
俺は魔乳司祭に布団をかけてあげてから静かに部屋を出て行った。
「まさか、そのまま私を抱く気じゃないでしょうね?」
エマの部屋を出てそのまま直ぐヴィンヴィンの部屋に忍び込み、ほぼ暗闇の中をベッドまで這って進んで布団の中へスネークした俺は、抱き締めようとしたツンドラ美少女に肘鉄を喰らった。
「え、今日はダメなんですか?」
「エマの匂いをプンプンさせたまま来るなんてデリカシーが無さ過ぎるわ」
あちゃー、やっちまった。
数日前まで童貞だった俺にはそんな気配りなんて思い付きもせんかった。
だが、ここは
「じゃあこれから一緒にお風呂に入りましょうよ」
「フン、どうして私がそんなことしてあげなきゃいけないのよ」
「だってエマと対等に扱えって言ったじゃないですか」
ハーレム婚を認める条件としてヴィンヴィンから提示してきたことだ。
「今夜はエマとも一緒にお風呂に入ったんです。だから、ね? ね!?」
青肌の女王様は嫌そうな顔はしたものの起き上がってバスルームへ向かった。
よっしゃー、エマと風呂に入ったの嘘だけど上手くいったぜ!
「ところで更に子種の魔力が上がってるわね。どうなってるの貴方の体は?」
「えっ? うーん、そう言われてもなぁ」
自分じゃあちっとも分からないよ。
ホントどうなってるんだろうかと思いながら湯船に沈んでいる我が息子に手をやると、微妙な違和感をおぼえた。
あれ? 何かおかしい・・・
そうだ!そこにある筈のものが無いんだ!
毛が抜けてる!!
陰毛が消えさってツルツルになってますやん。
俺は感触だけじゃなく目で確認しようとザバっと立ち上がり股間を凝視した。
そこにはパイパンならぬ綺麗なパイチンが
しかも玉袋の方は薄っすらと輝いてさえいる。
何だこれ? どうしちゃったんだ俺の身体・・・ゴクリ
「子種の魔力が溢れて駄々漏れになってるわね」
ツンドラ魔導士さんが呆れたという感じでつぶやいた。
そういうことなのか。
その影響で陰毛が抜け落ちてしまったようだ。
・・・まぁ別にいっか。
うちの女性陣というか恐らくこの世界の女性はみんなパイパンみたいだし。
それに何か問題があるなら、ツッコミ大好きのヴィンヴィンが黙ってるわけないんだから、きっとツルツルで良いんだよ。
気を取り直した俺は、有無を言わさずツンドラ魔導師に濃厚接触を始めると、やり過ぎて女王様の逆鱗に触れバスタブから蹴り出されるのだった・・・
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