第10話 エ魔乳L司祭にいきなりプロポーズ!
「エマさんは、魔力が全部オッパイに行ってるんで仕方ないですネ」
エッッッッッ
エマさんのオッパイには男のロマンじゃなくて魔力が詰まってたのか!
しかし、それと目が悪いのと何の関係があるんだ?
「どういうことなのですか?」
誰か教えてくれと皆の顔を見渡しながら訊いてみた。
「アンタ本当にお馬鹿さんね。エマは魔力循環障害だってことよ」
魔力循環障害?
なんとなくイメージは湧いてきたがハッキリと確認するべきだな。
「というと?」
「もう無知にもほどがあるわ。アンタに分かる様に簡単に言うと、頭部に回るはずの魔力が胸で詰まって行き渡らないの。だから視力に影響してるのよ。まぁそれだけならまだいいけどね。アハハハハ」
ヴィーは人の不幸を楽しそうに語った。マジで性格歪んでるな。
ともかく、エマさんは地球人の血行障害みたいなものらしい。
町長が乳のせいで出世できないと言ってたのはこのことか。
「眼鏡をするなんて自分は下等な人間だとバラしてる様なものよね。フフフ」
うわ、まだ言うか。エマさんはもう肩を落として震えてるよ。
しかし、可哀そうだけど病気なら俺にはどうしてやることもできんよなぁ。
いや違う、俺が婿となって支えてやることはできる!
だから、勇気づけてあげて一緒にイチャラブ新婚ライフを満喫するのだ。
「僕の国にはメガネ三倍段という誉め言葉があります」
俺の席の真横で眼鏡をかけ立ち尽くしていたエマさんに優しく語りかけた。
「メガネ・・・三倍段・・・?」
よし、一応は食い付いてくれた。
「そうです。メガネをかけたら普段の三倍も魅力的になるという意味です!」
エマさんはまだ眼鏡をした顔を見られたくないのかずっと反対側を向いたままだ。そのせいで俺の言葉が響いてくれているのかどうか判断できない。
「アンタの国ってやっぱりおかしいわ」
「ちょっと言ってる意味が分からいですネ」
「でもなんかカッコイイです」
とりあえず君たちは黙っていてくれないか。
「そんなこと信じられませんわ」
ほら見ろ。エマさんが乗ってこないじゃないか。
だが、なんとか強引にでも押し切るしかない。
「本当ですよ。伊達メガネといって目の悪くない人までファッションでレンズの付いてないメガネをかけるぐらい人気なんです。エマさんのそのメガネ、とても似合ってます。凄く素敵ですよ」
「アンタって口だけは上手いわね。よくそんなデタラメをペラペラと」
「きっとこれまでに何人もの女性が泣かされて来たのデス」
「あっ、まさか私のことも!ヒドイ!」
お前たち本当にもう止めてくれないか!
エマさんを見ろ。
俺の横でプルプルと震えていたのに、余計なこと言うから今はもう魂が抜けたように身じろぎ一つしなくなったぞ。
ボタッ ボタッ ボタタッ
足元で何か音がしたと思ったら涙が落ちて弾けていた。
あぁ、エマさんが泣かれていらっしゃる。
「もういいのです。人並に夢を見たワタクシがおこがましかったのですわ」
違う。絶対にそんなことない。
「ワタクシの婿になる殿方がどれだけ哀れかもっと想像するべきでしたのに」
そんな悲しいこと言わないでくれよ。
「それでも今日は楽しかったですわ。これからはこの想い出を支えに一人で生きて行きます」
お願いだから勝手に思い出にしないでくれ。
「アレー様、ワタクシのことは忘れて他のメンバーと親交を深めて下さいませ」
そう言ってエマさんはやっと俺の方を向いてくれた。
どうしても見せたくなかった眼鏡顔を俺に堂々と晒した。
その意味は、諦めたってことだよな。婿取りを。俺のことを。
ダメだ! 嫌だ! 俺が親交を深めたいのはエマさんなんだよ!
それに、そんな寂しそうに笑うエマさんを放っておけないよ・・・
他の3人、特にヴィーとローラはまだ謎が多いけど、エマさんのことはそれなりに理解できたと思う。それでもう十分だ。
今日は初日だから情報収集に徹して様子見するつもりだったが、勝負に出てもいいよな。
嫁候補6人全員を見定めてから狙いを決める予定だったが、賭けに出てもいいよな。
だって、このままだと余りにもエマさんが不憫だ。
ここは俺が男を見せるしかない。ない。
俺は席から立ちあがってエマさんと真正面から対峙した。
あぁ、やっぱり綺麗だ。どうしてもこの
眼鏡の奥で様々な思いが揺れているパープルアイをじっと見つめる。
どういうつもりですのというエマさんの探るような視線には、彼女の両手を取りギュッと握って熱を込めることで答えた。あとはハッキリと言葉にするだけだ。
「エマさんは僕が貰います。絶対にもう一人になんてさせません」
「ちょっとアンタ何を言ってるのよ! どうしてそうなるのよ!」
「そんなのダメですよ! アレー様は私がそばにいて守るんです!」
「ルール違反は断固反対なのデス!」
せめてプロポーズの時ぐらいは静かにしていて欲しかったわ。
エマさんのリアクションを全身全霊で受け止めたいんだからノイズを入れるな。
ちょっとの間だけ黙っていて下さいと他の3人を睨んだ。
よし、あとは肝心のエマさんの返事が果たしてどうなるかだ・・・
「ありがとうございます」と言ってエマさんは弱々しく微笑む。
違う。それじゃない。
俺が欲しいのは御礼じゃなくて承諾なんだよ。ハイと言って欲しいんだよ!
「ですが、アレー様のような年若い貴族様にワタクシのような下賤の乳房を持つ年増女など相応しくありませんわ」
遺憾!
言葉の節々にトロドロした感情が滲み出ていらっしゃる。
やはりエマさんはまだイロイロこじらせたままだ。
俺の渾身の求婚は響かなかった。届かなかった。
だがここで諦めてたまるか!
俺は握っていたエマさんの両手を離した。
すると彼女の目に失望の色が映ったのを確かに見た。
イケる!
エマさんはまだ未練を残してる。心のどこかでまだ救いを求めてるんだ!
俺は空いた両腕で今度は彼女の体を抱きしめる。
「エマさんの意思なんて知りません。僕が勝手に押しかけ婿になります」
魔乳で俺より背の高いエマさんを抱く姿は、はたから見たら滑稽だっただろうが、そんなことは全く気にならなかったし、彼女の温もりと柔らかな感触をもっと味わいたくて自然と腕に力がこもった。
「・・・本気なんですの?」
「僕をこの地へ送ってくれた天に誓って本気です」
「行き遅れ年増女の情念は尋常ではありませんのよ。覚悟はおありですの?」
「エマさんの心も体も全て僕が受け止めます。安心して嫁になってください」
口では格好いいことを言いながら、俺の下半身はエマさんの肉体と匂いにどうしようもなく反応してしまう。
だが、返事も聞かない内に体を離すわけにはいかん・・・ど、どうする?
俺はもうやけになって具現化した欲望をむしろエマさんに押し付けた。
ハッと彼女が息を呑むのが伝わってくる。
それでも俺は両腕にさらに力を込め下の欲棒もグイグイと押し付け続ける。
凄く長く感じたが実際は数秒後のことだった。
ついにエマさんが俺の望む返事をしてくれたのは。
「・・・ハイ。
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