第9話 宇宙人を捕まえたい石川浩太の思い
東北地方の某所、パーキングエリアの車中で部下の今野と美味いと評判のソフトクリームを食べていた。
緑色のソフトクリームは抹茶じゃなくずんだというらしいと、どうでも言い情報を聞き流していた。
そもそも大の大人が2人でソフトクリームに舌鼓を打つ姿は見るに堪えないと俺は思うが今野は至ってうれしそうだ。
「先輩、鳴ってますよ、ケータイ」
俺の鞄から微かにバイブの音が漏れている。
ソフトクリームを左手に持ち替えクリームの垂れそうな側面をぺろりと舐めてからケータイの通話ボタンを押した。
『石川君、どお?そっちの調査は順調?』
現場に出ない同僚からの電話に苛立ちを覚えるが適当な相槌を入れる。
『今しがたスペコミの協力者からメールがあってさ、久しぶりに反応が出たそうだ。ただし地上だけで、奴さんなんかトラブルかねエネルギー反応に混じって変な画像データが入り込んできたらしい、と言う事だから画像データと反応地点の大まかな地図おくっとくよー、そんじゃぁおみやげよろしくね』
スペコミ?……スペースコミュニケーション……
いつから宇宙通信研究開発機構はスペコミになったんだとブツブツと悪態をつきながらタブレットでメールを確認する。
ソフトクリームはとっくに溶けてゴミ箱の餌になった。
「何だ?この間抜け面は、若いな、高校生かこの男?」
俺は画面に映った顔がグレイ型の宇宙人じゃなくてがっくりとうなだれた。
「先輩、それ宇宙人ならきっと化けてるんすよ、ほら海外ドラマでもあったじゃないですか人間の皮をかぶった爬虫類のやつ」
今野が指でVサインをだしたのが気に入らない。
いつの米国ドラマだよと思うがどうでもいい。
「ウルセーな、そんな事は分かってるよ、でも爬虫類じゃねーつーの、だいたいトカゲが進化したって宇宙に出る前に全滅するんだよ、冷血動物は」
「先輩はグレータイプしか認めないんですよね」
と笑った今野を睨みつけ早く車出せとせっつく。
「ゼッテェーに化けの皮はがしてやる」
今野はなぜ俺がグレータイプにこだわるのか気になっているようだが、今は話す気になれないし今後も話さないだろうと思う。
車は指定された南東北の地方都市に向かい俺は座席を倒してふて寝を決め込んだ。
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