第879話俺からのアプローチ
「・・・え?」
そう言った俺に対して、初音は驚きの表情を見せた。
まさか俺の口からそんな言葉が放たれるとは思っていなかったのか、流石の初音もしばらく硬直した。
その後、初音は俺に疑問を呈してきた。
「え・・・しようって、何を?」
初音は頭では理解しているだろうが、俺が本当にそんなことを言うのかという今までの経験に基づく疑問を解消するためにその質問をしてきたんだろう。
俺はストレートに伝える。
「もちろん・・・恋人がするようなことだ」
「・・・え?で、でも、私が言ったのはこのキャンプが終わるまで私がそれを我慢できたらっていう話だよ?別に、今無理にしてくれなくても───────」
「無理にするんじゃない、俺がしたくてするんだ・・・それじゃダメか?」
「そ、そんな、ずるいよそーくん、私はこのキャンプが終わるまで絶対に我慢するつもりだったのに、そんなこと言われたら・・・断れないし、私だってしたいもん!」
初音は照れた顔をしながらもハッキリとそう言った。
「そうか・・・じゃあ───────」
「その前に!私は別に良いんだけど・・・ここで、するの?」
「・・・え?」
初音は改めて周りを見るよう促してきた。
俺はその促しに乗ってみて周りを見た。
周りにあるのは大量な木々の大自然、相変わらず日光の日差しも強い。
って。
「あ、わ、悪い!そ、そうだな、ちょっとテントに戻ろう・・・あ、ハンモック組み立ててもらったばっかりなのに悪い」
「う、ううんううん!全然気にしないで!こんなのすぐできるから・・・それより、今は幸せな気持ちで胸がいっぱいだから」
初音はここ最近で一番愛に満ち溢れた笑顔を見せると、ハンモックを一瞬で片付けた。
その後は一直線にテントまで戻った。
「はぁ、はぁ・・・そんなに長く無い距離とはいえ、往復するとなると流石に疲れるな」
「そうだね〜」
共感してくれてはいるが初音は全く疲れていないように見える。
「私ちょっと水浴びしてきていい?」
「え?あ・・・あぁ」
一応、昨日は暗くなりすぎる前にこの自然地帯を出たすぐの場所にある温泉・・・とまでは行かないお風呂に入らせてもらったから、別に無理して水浴びをしないといけないことはないだろうが、初音なりの考えがあるんだろう。
「俺も行く」
俺もそれに合わせて、汗を流す意味でも軽く水浴びをしてから改めてテント内に戻った。
それからしばらくして、初音もテント内に戻ってきた。
「その・・・そーくん、私としては無い方が嬉しいけど、そーくんが望まないで、っていうのも嫌だから、一応持ってきておいたこれ、渡すね」
初音はそう言いながら俺に丸い形状の・・・ラブホテルとかで見た、避妊用の道具を俺に渡した。
・・・本当は今の俺の感情的に言えば、これすらも使いたくはないが、やはり感情と理性は別であるべきだ。
俺はそれを本意では無いが初音から受け取った。
「じゃあ、そーく───────」
「俺から初音のことを脱がす」
「っ・・・!うん・・・!」
いつもは基本的に初音からのアプローチだったが、今回アプローチしているのは俺、だからこそ俺は自分からその行為の口火を切ることにした。
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