第877話初音の葛藤
「そーくん、もう寝ちゃった?」
「・・・・・・」
寝ちゃったかぁ・・・まぁ?そーくんだって苦手な車に乗って疲れてただろうから別に良いけど?
「・・・私に葛藤があるとも知らずに!」
私は上半身だけ何も着ていないそーくんに抱きつきながら、心の中ですごく葛藤していた。
葛藤内容は、もちろんそーくんに夜這いをかけるかどうか。
論理的に考えたらかけない方がいいのはわかってる。
「ここを乗り越えたら、そーくんの方から私に初めてをしてくれるって話だしね・・・でも、周りに誰もいなくてどんなことをしてもバレないなんて状況は滅多にないし、何より」
こんな状況で二人きりなんて感情が抑えられるわけない・・・!
「・・・けど」
私はそーくんの顔を覗き込む。
「・・・やっぱり」
私の隣で、こんなに安心して熟睡してくれるそーくんのことを裏切るようなこと、できないよね。
でもやっぱりこのまま寝ちゃうっていうのもなんかもったいない気がするし。
「そうだ!」
私は一度起き上がるとゆっくりと足音を立てないように移動し、また改めてそーくんと同じ布団に入ってそーくんに抱きついた。
・・・うん、これで我慢できそう!
「そーくん起きたら驚くかな〜」
私はそーくんの驚いた顔を楽しみにすることで、なんとか一日目は欲求を我慢することができ、眠りについた。
そして次の日。
「ん・・・」
そーくんが目を覚ましたみたい。
私は大体何時に寝ても朝6時くらいには起きるから、いつも必然的にそーくんよりも早く起きる。
だから隣で寝た場合私は一番間近で、そーくんの寝起きを見て、感じることができる。
「ん〜?テント?・・・そうか、キャンプに────うわっ!?えっ、えっ!?な、なんで初音が正面に!?しかも下着、なのはそうだったけど、なんでだ!?」
そーくんは本当にわかりやすく戸惑っている。
・・・こんなにわかりやすく反応してくれるそーくんが彼氏なんて、私は幸せ者だな〜。
「おはよう、そーくん」
「は、初音!?起きてたのか、なんで初音が俺の正面に居るんだ?」
「うん?そーくんが私のこと正面になるように抱きしめてくれてたんじゃなかったっけ?」
私はそーくんのことをからかってみる。
「絶対違うだろ!」
そーくんはそれに対して寝起きなのに元気よく返してきた。
・・・可愛いなぁ。
「うん、私がそーくんのことを正面から抱きしめたかっただけ」
「えっ・・・そ、そうか」
そーくんは私から顔を逸らした。
きっと照れた顔を私に見せないためにかな、本当にどこまでも可愛いなぁ、そーくんは。
「じゃあ、二日目も楽しんじゃおっか!」
「あぁ、そうだな」
そーくんと二人きりの楽しいキャンプ。
これが終わったらそーくんと・・・楽しみ〜!
私はそーくんとの事を楽しみにしながら、今目の前にあるキャンプも楽しいものになるように全力で楽しむことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます