第874話初音からの大事な提案
「大事な提案・・・?」
「うん・・・その前に聞きたいんだけど、そーくんは今がどういう状況かわかってる?」
「え・・・?」
どういう状況か・・・初音と二人でキャンプをしている。
それ以上でも以下でも無い。
「こんな世界から遮断された空間で、テントの中に二人きり・・・大声あげたって多分誰も来ないどころか気づきすらしないんじゃないかな?」
初音が不穏なことを言っている。
「何が言いたいかって言うと、私とそーくんの物理的な力関係が私の方が上な以上、私は今そーくんのことをどうにだってできるってこと、いつもみたいに何かしらの形で邪魔が入るなんてことは絶対に無い環境なんだから」
情けない話ではあるが物理的な力関係が初音の方が上なことを俺は一切否定できない。
「つまり・・・?」
「・・・もし私が欲望に従うなら、今すぐにでもそーくんとの営みに勤しめるし、もしかすると無理やりそーくんと子供を作っちゃう、なんてこともできるってこと」
「え・・・ま、待ってくれ、このキャンプは普通にキャンプを楽しむのが目的じゃ無いのか?」
「もちろんそうだよ?でも、一応そういうこともできるんだよってことをそーくんに再認識してもらった上で、私から大事な提案があるの」
ここで一番最初の大事な提案っていうのに話が戻るのか。
「その大事な提案っていうのは・・・?」
「もし私がこのキャンプの間、自制することができたら、そーくんの誕生日までの間に、そーくんから・・・もう、言わなくてもわかるよね?」
初音からしてみれば今の俺はまさにいつでも食べられるがそれを自制している状態、そしてその自制心をこのキャンプの間維持することができれば、後日俺の方から・・・ということか。
「・・・わかった、俺もそろそろ覚悟を決めないとって思ってたんだ」
俺がそう答えると、初音は嬉しそうな表情をした。
「うん・・・じゃあ、私も自制頑張るね!」
「あぁ」
「そうと決まれば!これからキャンプ楽しんじゃおっか!」
「おー!」
そして、俺と初音はキャンプを堪能することにした。
「そーくん!川にいってお魚釣ろ!」
「え、そんなこと勝手にして良いのか?」
「良いの良いの、ここはそういうのが許可されてる場所だから」
俺は初音から釣り竿を受け取ると、初音と一緒に川に向かった。
「そーくん、頑張って!」
「初音は釣らないのか?」
「私はそーくんのこと見てるよ」
「そうか」
俺は釣り竿を勢いよく川に向かって投げる。
いつかは忘れたが、ゲームとかでなんとなく釣りをしたことがあって、この釣竿も初心者向けなのか直感で操作できそうな感じだ。
「釣りは待つことが大事だよ、そーくん!」
それから数分後。
「あ、何か掛かった!」
「え、もう!?すごいねそーくん!」
俺はぼーっとしていただけだから別にすごいことではないが・・・それよりも。
「な、なんだ・・・!?重い・・・!」
魚の力が予想以上に強く、むしろ俺が川に引きずり込まれそうだ。
「・・・そーくん、ちょっと貸して」
さっきまでは笑顔で俺のことを見ていた初音だったが、今は少し怒っているように見える。
俺は大人しく初音に釣り竿を渡した。
「そーくんのことを私から奪って自分のように引きずり込もうとするなんて良い度胸だね」
初音はそういうと力強く釣り竿を引き上げた。
「おぉー!すごいな初音!」
「そんなことないよ〜!」
初音は釣った魚をすぐに魚を入れるボックスに入れた。
「この魚だけでも十分な大きさだし、一回戻ってこの魚焼こっか!」
俺たちは釣りを終了し、テントを張ったところまで戻った。
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