第869話初音はキャンプに行きたい
「キャンプ?」
俺と初音は、学校の休み時間に屋上を使って、ここ最近どこか遠出するといったことが無かったため、9月の最後に何かしたいと話していたところ、初音からキャンプをしたいという意見が出た。
「うん、本当は夏に行きたかったんだけど、そーくん虫苦手だから、できるだけ虫が夏よりは少なくて冬よりも寒すぎない季節が良いと思ってたんだよね」
「あぁ、なるほど、確かにそれは良いかもしれない」
俺のことを考えてくれての意見・・・それは是非とも行きたいところだ。
「結愛とかは誘うのか?」
俺はそのことを聞いた瞬間に、自分でやってしまったと気がついた。
「は?なんで他の女誘わないといけないの?私たち2人の話だよね?それとも何?もしかして裏ではまだあの女と関係続いてるの?」
「ち、違う・・・悪い」
彼女とのお出かけの話の時に他の女子の名前を出したら、初音でなくても怒るだろう。
「うん、今は楽しい話してたから許してあげる!」
ここ最近、初音は本当に器が大きくなったと感じる。
・・・俺も多少は、成長できているんだろうか。
「じゃあ、キャンプはいつにする?」
「ん〜、明日から三連休だし、明日からで良いんじゃない?」
「あ、明日!?」
「予定とかあるの?」
「そうじゃ無いけど、段取り決めとかキャンプ用具を買うとか」
俺はとにかくそんな突飛なことで決められることじゃないと初音に伝える。
だが初音はそれに一切動じることはなく、むしろ待ってましたと言わんばかりの表情で言う。
「そんなの私が用意できてないと思ったの?できてるに決まってるじゃん!明日、行くよ!」
「・・・分かった」
そうして俺たちは明日を楽しみにしながら放課後になり、明日からの準備もあるため初音は俺のことを家まで送ると、自分の家にすぐ帰っていった。
もう何度も思っていることだが、普通は俺が送る方だと思っている。
・・・初音はそれを受け入れてはくれないけど。
「ただいま」
「お兄様、おかえりなさい、もうご飯が出来ていますよ」
「・・・あぁ」
俺は今、キャンプに行くためには一つ大きな壁があることを思い出した。
「いただきます」
俺と霧響はいただきますを言ってから霧響の作ってくれた料理を味わう。
半分ほどを食したところで、俺は霧響に明日からのキャンプのことを切り出すことにした。
「霧響、ちょっといいか?」
「どうなされましたか?食事がお口に合いませんでしたか?」
「そうじゃ無いんだ、料理はいつも通り美味しい・・・実は、明日からキャンプに行くことになったんだ」
「キャンプ、なるほど、たまには良いんじゃありませんか?日帰りでしょうか?」
「この三連休全部だ」
「・・・はい?」
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