第868話初音はこれからが楽しみ

 そーくんのタオルを・・・自分の胸に?


「誤解しないでください、晒しが解けてしまったのでその代わりとして最王子くんのタオルをお借りしたんです」


「・・・解けただけならそーくんのタオルなんて借りる必要無いよね?巻き直せばいいんだから」


「いえ、晒しを巻くのには、その・・・かなりの時間胸部を露出させないといけないので」


「トイレで巻いたら良かったんじゃない?」


「それはそうですが・・・もし万が一見られた時のことを考えるとやはり校舎裏に身を潜めて応急処置としてタオルを借りるというのが良かったんです」


 ・・・そーくんのタオルを胸に巻くなんて、私だってした事ないのに。

 許せないけど今はそれよりも優先することがある。


「じゃあそのタオル取って」


「え・・・!?裸にはならなくて良いって白雪さんが言ったじゃないですか?」


「別に私だってそーくん以外の裸なんて見たいわけじゃないから、押さえたりする分には良いから、ただどんな感じの体でそーくんと間近に接してたのかを知りたいだけ」


「・・・わかりました」


 まぁいくら晒しとかを巻いてたとはいえ、男のフリなんてしたがるってことはそんなに女として魅力的な体なわけじゃないよね。

 そう考えていたのも束の間、天銀は少し気まずそうな顔でタオルを取ると、局部だけを見えないように自分の胸を押さえた。


「・・・は?」


 私がそこで見たのは、女として魅力的じゃないどころか、女を全面に押し出すような大きさのものだった。


「・・・天銀」


「はい」


「今すぐ閉まって?もしそんなものを次そーくんの前に見せたら許さないからね?」


「は、はい」


 天銀は私が言った通りすぐにタオルを巻いて制服を着た。

 ・・・お風呂とか更衣室でそーくんはいつもあれを見てたんだ。


「し、白雪さん?どうかされましたか?」


「なんでもないよ」


 あの女とは違って胸が大きいことを全くなんとも思ってないのが逆にムカつくけど、まぁそーくんに害を及ぼしてる可能性が無いだけ本当にあの女よりは100倍マシ。


「じゃあ、そろそろ教室戻ろっか」


「わかりました」


 私たちは一緒に教室に戻った。

 そして今日の放課後は、そーくんと恋人らしく過ごすことにした。


「そーくん、ちょっと食べ歩きしようよ!」


「あぁ、何を食べる?」


 私はしっかりとそーくんの腕に私の腕を絡める。


「うーん、あっ!そこにアイス屋さんあるよ!」


「アイスはどの季節に食べても美味しいから良いな」


「そうだね〜」


 私たちは軽く談笑しながらアイス、続いてクレープと食べ歩きする。

 こうして何気なくそーくんと過ごしてるのが一番楽しい。

 もうそーくんの浮気とか天銀のこととか懸念点は解決できたし、そーくんのお誕生日には私の両親と会ってもらうし、そうなればそーくんこれから将来の話もいっぱいできるし。

 え、待って、もう楽しみなことしかないんだけど。

 ・・・でも、そーくん自身は否定してるけど、やっぱりそーくんは危うい感じするから、私がずっと目を光らせといてあげないとね、そーくんに怒られない程度に。

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