第867話初音は許してくれる

「・・・初音、こ、これで───────」


「うんうん、許してあげる!」


 初音はこの愛を表現することをする前に比べてかなり上機嫌になった。


「ほ、本当か?」


「うん、そーくんにこんなに愛されてるのを実感したのに許してあげないなんてそーくんの女として失格だよね〜」


 そう言いながら初音は俺のことを抱きしめてきている。

 ・・・俺としても初音に愛を表現する練習にもなったし、この事が今後に良く繋がっていくだろうことは間違いない。

 こうして俺はなんとか初音に許してもらうことができ、次の日。

 俺と初音は天銀のことを昼休みに呼び出し、天銀の性別がもうすでにバレてしまっていることを告げた。


「・・・そうでしたか、では白雪さん」


 天銀は初音に向き直り、頭を下げた。


「本当にすみませんでした」


「・・・ここで悪かったって素直に認めてる分あの女と比べればよっぽどマシだし、許してあげる」


 これは初音自身も言っていたことだが、初音は本当に以前と比べると寛容的になった。


「あ、ありがとうございま───────」


「でも、1つだけ条件があるよ」


 許してはあげるがその代わり、ということで何か1つ条件があるらしい。


「・・・その条件と言うのは?」


「今から私と女子トイレ来てもらってもいい?一応普段人の来ないところにするけど、来たら来たで最悪の場合女なら大丈夫でしょ」


「・・・はい、構いませんが、どうしてトイレに?」


「それは条件とも関係してるから、とにかくトイレに行ってから話すよ」


「わかりました」


 そうして2人は女子トイレに向かっていった。

 ・・・あとは天銀がその条件というのを達成できれば、初音は許してくれるということらしい。

 ・・・天銀、あとは任せた。


ー初音Partー


 私は言っていた通り天銀のことを人気ひとけのない女子トイレに連れてきた。


「それで、条件というのはなんですか?」


「うん、回りくどいことは無しにして、直接言うね」


 私は早速その条件を口にした。


「服脱いで、下は良いから上から」


「・・・え?」


 天銀はもっと形式的に堅いものだと思っていたのか、一瞬理解できないみたいな顔をした。

 私はそれに付け加えて説明する。


「もし天銀が女だって言うなら、それはそれで一応事実確認はしておくべきでしょ?裸を見せてって言ってるわけじゃないんだから」


「いえ、必要無いと思います、僕自身が白状してますし、もう白雪さんも確信していると思うので」


「そうなんだけど、一応体育の着替えの時どんな体でそーくんと一緒に居たのか知りたくてね、ていうかどうせ着替えの時とかそーくんに手伝ってもらってたんでしょ?他の男子にバレるわけにはいかないもんね、じゃあそーくんにどんな体を見せつけてたのか、直接知りたくて」


 なんかさっきから思ってたけど天銀の胸にいつもは無かったのに今はちょっとだけ膨らみがある。

 ・・・まぁ、そのサイズならそーくんだって変に欲情したりはしないと思うけど、一応確認だけしとかないとね。


「・・・わかりました、白雪さんにはその権利があると思うので、あやふやにしないためにも白雪さんに見せます」


 そして天銀は上の制服を脱いで中に来ていた長袖も脱いだ。

 すると、胸にはタオルが巻かれていた。


「タオル・・・?」


「最王子くんのです」


「・・・は?」

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