第865話告白の練習
「───────じゃあ、今教えたことを練習してもらおっかな」
俺は初音に10分ほどをかけていかに冷たく断れば良いのかということを教わった、正直俺の人格的にそれを完璧にできるとは思えないが、確かにやんわりと断るよりかはそうした方が良いんだろうということはわかるため練習できるのなら練習はしておきたいが。
「練習って、初音相手にするのか?」
「まさか、例え練習だとしてもなんで恋人の私がそーくんに振られないといけないの?」
「だ、だよな」
そうなると今この場で他の選択肢は・・・
「天銀、ちょっとそーくんに嘘でも良いから告白してよ」
「え、僕がですか・・・?」
「男友達なら、練習相手に打ってつけでしょ?」
「・・・分かりました、僕が最王子くんに、告白、すれば良いんですよね」
「そう」
初音は短く返した。
・・・天銀からしてみればどうしてそんなことをいけないんだという、完全に巻き込まれではあるが、ここで変に拒否をすればさらに性別を疑われることになるし、あくまでも演技という形でも良いと言われているため思うところはあるだろうがそれでも拒否するほどの理由にもならないんだろう。
天銀は深呼吸をしている。
「じゃあ天銀、そーくんに告白して」
「・・・はい」
天銀は少し
「さ、最王子くん」
天銀は改めて深呼吸する。
覚悟を決めてとうとう告白してくるようだ。
・・・練習にしてはかなり緊迫感を感じるが、いきなり告白しろなんて言われたらそれも無理のない話だ。
そして天銀はもう何度目かになる深呼吸をしてから。
「最王子くんのことが、好───────・・・」
告白・・・してくるのかと思ったが、その言葉は途中で止まった。
「・・・天銀?別に本当に告白なんてしなくて良いんだ、これはあくまでも練習ってことらしいからな」
「・・・そう、ですよね、はい、分かりました」
俺は一応天銀のことをフォローする。
そして天銀は再度口を開いた。
「最王子くん、好き、で・・・すみません!」
天銀はこの場から逃げ出すようにして走り出してしまった。
・・・天銀。
「確かに練習とは言え告白するのは勇気がいるだろうけど、それにしたってあんなに逃げ出すなんて・・・」
もしかしたら天銀には別の思うところがあるのかもしれない。
「・・・そーくん、どういうことか説明してもらうよ」
「・・・え?」
「天銀が女だったってことについて、まさか体育まで一緒なのに知らなかった、なんてことは無いよね?」
俺はこれから、初音に尋問されることになった。
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