第864話総明の本音
「さ、最王子くん・・・!?」
「今の話、聞いてたよね?そーくんの意見を聞きたいんだけど」
天銀は俺に対して背中を向ける形だったため、俺のことには気づいていないようだった。
「・・・天銀の言いたいことは正直わからなくもない」
「わからなくもないってどっち?わかるの?わからないの?ハッキリしてよ」
俺ができるだけ初音の逆鱗に触れないようにと遠回しに言ったことが逆に逆鱗に触れてしまうことになったらしく、初音は怒りを表に出してきていた。
「・・・わかる」
「・・・へぇ、そーくんにしては随分と思い切って私に直接言ってきたね、良いよ、そーくんが浮気した要因の一つかもしれないし、何?聞いてあげる」
「え、浮気・・・?」
もちろん何も知らないであろう天銀は疑問に思っているようだった。
今はそれよりも初音に対して頭を回すべきか。
「最近は前に比べるとマシになってきたけど、それでもやっぱりさっきの話は俺にとって心外なことなんだ」
俺の本音を初音に力強く伝えた。
「・・・さっきの話って?」
「初音が何から何まで見とかないと俺が悪い人に騙されるとかって言ってたけど、俺は初音が思うほど単純じゃない」
「・・・今まで散々いろんな女に騙されておいてよくそんなことが言えるね」
初音は耳が痛いことを言ってきた。
確かにそれはその通りなんだが、俺なりに頑張って改善はしてきている。
・・・つもりだったが、浮気がバレた後で言っても全く説得力が無いか。
「もう・・・これからは大丈夫だ、信じて欲しい」
「浮気者の典型だね、信じて欲しい、なんて・・・でも、私だって鬼じゃ無いから、今からするテストに合格できたら信じてあげる」
「ほ、本当か!?」
これに正解できれば今後俺がしっかりと誠実に初音と接すれば俺たちはかなり良く恋愛を謳歌できるんじゃ無いだろうか。
これは間違えるわけにはいかない。
「うん・・・じゃあテスト、もしそーくんの知らないちょっと可愛い女の子から「大好きです!」って言われたらどうするの?」
「そんなの簡単だ、ちゃんと断る」
「なんて言って断るの?」
「俺には彼女がいるから、悪いけどその想いには答えられないって断る」
俺はこの回答にかなり自信を持っていたが、初音から言い渡されたのは。
「不合格」
「え・・・なんでだ!?」
絶対に合格だと思ったが、初音から言い渡されたのは何故か不合格だった。
納得いかない、それが声と共に顔にも出ていたんじゃ無いだろうか。
「むしろなんでそんな柔らかい断り方で合格できると思ったの?」
それから、俺は初音に告白された時の断り方を徹底的に教わった。
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