第863話そーくんの彼女だから
「白雪さん、お話と言うのは?」
「あの女が疑問に思ってた、天銀が本当は女かもってことなんだけど」
2人の会話を盗み聞きに来ると、初音は早速本題を切り出していた。
「そんなわけないじゃないですか、あゆさんの言っていることですし、きっと冗談ですよ」
「私もそうだと思いたいんだけど・・・もし天銀が女だったとしたら、今まで男だからって許してたことが一気に全部殺意に変わっちゃうんだよね」
「僕は男ですし、仮に女性だったとしても、最王子くんに対する接し方は変わっていないと思うので、白雪さんの気にかかるほどのことでもないと思います」
「ん〜、まぁ?そーくんも天銀のことを女として意識してるなんていうふうには思えないけど、天銀の方がそーくんのことをどう思ってるかなんてわかんないもんね」
初音は、天銀にとっては絶対に理解不能だろうことを言う。
何を言っているんだ、天銀が俺に対してそんな感情を持っているわけがないだろ、強く言い返してくれ・・・!
そう願いを込めて天銀の方を見てみるが、天銀は何故かさっきのあゆの時とは違いその話をしっかりと受け止めて返答していた。
「もちろん、良い友人だと思っています」
「ふ〜ん・・・まぁ、そーくんの男友達ってことなら、男友達が居た方がそーくんのこれからの浮気率も減るかもだし許してあげても良いけど、もしそれが女友達だとしたら、それはそーくんには要らないんだよね」
「最王子くんにとって必要かどうかは白雪さんが決めることではなく、最王子くん本人が決めることです」
天銀が俺に対する初音の考え方を一新するような事を言い放った。
「普通だったらそうだけど、私はそーくんの彼女だから」
「恋人であったとしても、です」
「・・・はぁ、そーくんのこと何も分かってないみたいだから教えてあげる」
そこから初音は得意げな顔で語り始めた。
「そーくんは、もし私が何もそーくんのことに干渉してなかったら、そーくんのことだから絶対に悪い女に騙されてもう手遅れになっちゃう可能性が高いの、仮にもそーくんと何日か同棲してたんだからわかるよね?」
悪い女に騙されるって、本当に初音は俺のことを小さな子供か何かと勘違いしているんじゃないか?
今度俺から改めて俺は初音が思っているほど単純じゃないということを伝えないといけないかもしれない。
「その言い分も分からなくはないですが」
天銀?
「白雪さんの場合は、その度を超えてしまっているように思います」
「そーくんと私の問題だから、他の人がどう思おうと私からすれば関係無いよ」
「これは最王子くんの友達としての助言です、恋人という立場からでは見えない側面もあると思います」
「・・・じゃあその見えない側面っていうのを、直接そーくんに聞いてみよっかな」
すると初音はちゃんと物陰に隠れているはずの俺の方に的確に近づいてきた。
「ね、そーくん?」
「え、えーっと・・・」
もう何度目なのか分からないが、またしてもかなり厄介な状況になってしまった。
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