第860話あゆの探り
「あ、あゆ!?」
「なぁ〜んだ、本当にただ服が濡れたからお着替えしてただけですか〜?」
「はい、今ちょうどボタンを閉じ終えたところです」
「・・・でも服が濡れたって、制服の替えなんて持ってきてるわけないですし〜、そうなると中の服だけが濡れちゃったんですか〜?」
「はい、少し保健室に言って腫れがあったので服を脱いだのですが、その時に少し水を溢してしまって」
まずい、俺が咄嗟についた嘘のせいで天銀が追い詰められてしまっている。
・・・とはいえここで俺がまた下手に出て行ったら天銀を困らせるだけかもしれないし、ここは一旦天銀に任せてみよう。
「なるほど〜、先輩ならそんな嘘でも騙されたかもですけど、私はそんなに軽い女じゃないですよ〜?」
「嘘だと言われても、本当なので」
「・・・そういえば天銀先輩ってそんなに胸板厚かったでしたっけ〜?」
「えぇ、おそらく夏服の半袖から長袖になったからそう見えるだけでは?」
「袖変わっただけで胸の厚さなんて変わんないですよ〜」
俺のはあくまでも普通のタオルだから胸に巻くとなるとやはり普段天銀が使ってるものに比べると違和感が出てしまう。
「触っちゃいますね〜」
「あゆさん・・・!?」
あゆは天銀のその胸部を触った。
「ん〜?これ・・・布、タオルですかぁ?」
「・・・はい」
「なんでタオルなんて入れてるんですかぁ?もしかして女の子みたいにちょっと胸が欲しかったとか〜?確かに天銀先輩女装なんかできそうな顔立ちですもんね〜」
「・・・いえ、そういうわけでは」
あゆが地下からずも遠からずなことを言っている。
そろそろ俺がフォローに回った方がいいのかもしれない。
「あゆ、もうそろそろ授業が───────」
「ほら、先輩も触ってみてくださいよ〜」
「・・・え?」
「服の上からのタオルでも揉み心地良いですよ〜?」
あゆが俺の手を取って天銀の胸部に持っていかせようとする。
「お、おい、何をするんだ」
「先輩こそ何嫌がってるんですかぁ、ちょっとタオル触るだけですよ〜、感触良いので、本当に!」
その先に本物の女子の胸があるとわかっててそんな簡単に触れるわけがない、ここはどうにかして言い逃れないと。
「も、もう授業だから、ほら、天銀も戻ろう」
「は、はい!」
天銀と俺は同じ教室なため、一緒に教室へと戻った。
「へぇ〜、確かに先輩は進んでそういうことするタイプじゃないけど、それにしたって同性の胸を服の上から触るのをあんなに嫌がるかな〜・・・第して!先輩のこと探ろう作戦決行決定〜!」
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