第842話浮気は最低
「どんな条件出されたとしても浮気したらそーくんはもう最低なんだよ?分かってる?今まで本当にずっと言ってきたよね?」
「・・・はい」
「とにかくその浮気相手とはすぐに別れて、それで私の前に連れ出して、殺してあげるから」
「え、え!?」
そういう物騒ごとにしないための浮気だったのに結局そういう形になってしまうんだったら本当にこの浮気は意味が無い、どころかマイナスな効果しか保たらなさなかったことになる。
「今そーくんが考えてることなんてなんとなくわかるけど、浮気された私の方が本当は今にも泣きたいくらいなんだよ?」
「・・・ごめん」
「で、浮気相手っていうのはどうせあの胸にだけ脳の行ってる女だよね?」
言い方が非常に悪いがそれはつまり結愛だということは分かっているという意味に他ならなかったため、俺は小さく頷いた。
「はぁあ、どうせ年末まで付き合ってくれたらそこでちゃんと気持ちの整理をつけるとか言われたんだろうけど、そんなのいくらでも反故にできるし、そーくん相手なら年末ギリギリに誘拐して無理やり肯定させることだってできちゃうよね」
「結愛は多分そんなことしない」
「そんな曖昧な根拠で浮気までしたの?・・・はぁ、私も悪かったよ」
ここで何故か常識人から見ても初音が悪いという場面では無いところで、初音は何故か自分のことを責めている。
「こんなことになるならさっさとあの女の子と殺しておけば良かったね、そうすればそーくんにも余計な苦悩を与えないで済んだし」
「そ、そういう物騒なことをしてもらわないための浮気・・・というか、俺からすると契約だったんだ」
「うん、そういうことだよね、だから私もそーくんの意図を汲んで、もうこれからは物騒なことをしないためにその原因を排除してあげる」
「そういうことじゃ・・・」
確かに初音は俺のことをわかってくれているようだがその解決のさせ方の方向性が俺の思い描いている方法とは真逆だ。
どうにかして2人には平和的に仲良く・・・とまでは難しくても普通に過ごして欲しい。
だがおそらくそれは2人の俺に対する恋愛感情がある限りは難しいんだろう。
・・・とはいえ文字通り命ある限り2人とも諦めることを知らない、だからこその一手だったが。
「浮気した上での手なんて、確かに最悪か」
俺は苦笑いする。
将来浮気とかと無縁になるための考えなのに、今浮気してしまっていたらその考え自体を無意味なものにしてしまう。
「分かってくれたら良い・・・わけないんだよね」
このパターン、つい最近どこかで見た。
「こっちは浮気されてたんだから、何か行動で示してもらわないと」
「・・・言わんとしてることはわかる、が、それはできない」
「は?まだ自分が口答えできる立場だと思ってるの?」
「そ、そうじゃなくて・・・こんな中途半端に浮気した状態じゃ、俺はそういうことをしたくないんだ」
「・・・良いけど、今日中にしてね」
「・・・あぁ」
俺はその後、結愛を改めて呼び出し、俺と初音と結愛でこの件について話すことになった。
・・・俺は、一つの大きな覚悟を決めていた。
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