第841話やっちゃったね
「とうとうやっちゃったねそーくん」
マンションの地下、以前俺が監禁された場所。
俺はまたもそこに今括り付けられている。
「今まで浮気紛いなことは数百回、下手したら数千回はしてきてたけど本当の浮気だけは一回もしてなかったのにね」
もちろん反論できる立場でないことは分かっているが・・・絶対に数千回もなんてしてないし、なんなら数百回も絶対にしてない。
一回の外出で目があったとかもカウントされてそれが浮気紛い判定になるのは俺としても困りに困る。
「私たちのためになるってそーくんが思ってるのは嘘ついてないって言うのはもちろん私はそーくんのことならなんでも分かるから信じてあげられるけど、私じゃなかったら速攻見限られてるよ?」
初音は自分がいかに寛容であるかを得意げに語る。
・・・浮気しているから今は括り付けられても当然だとは思うが、全く浮気とは無縁だった時にもご飯を抜かれ水分も抜かれ行動も封じられたことに関しては一切寛容さを感じられなかった。
もちろんそんなことを言ったら口が裂けた方がマシな結果になるのは明らか、言えるはずもない。
「あぁ・・・」
「でももちろん私だって許してはあげない、どんな理由であろうと浮気は浮気だし私が今までずっと口すっぱく浮気したらどうなるかってことを教えてきてあげたのにそれでも浮気したってことは、やっぱり私のことを甘く見てるってことだよね」
「そ、それは違う、確かに悪いことだって言うのは自覚してるが、それでもこれは将来のためになると思って・・・」
「そーくん、一つ教えてあげる、例えそのさきにどんなに良い結果が待ってたとしても浮気した事実は消せないんだよ?」
今の俺に一番効果のある言葉を初音は的確に放ってきた。
確かに・・・それを言われると本当にただただ謝罪の感情しか湧いてこない。
俺は謝ってもどうしようもないことだとは分かっていながらも、ただただ謝罪した。
「・・・ごめん」
「・・・そーくんはこの浮気で大きな喧騒の火種が消えるとかって言ってたけど、あれはどういうこと?」
「それは・・・その、浮気した時の条件として年末まで浮気してその後に俺が答えを出してそれでもなお付き合わない選択をしたならもう恋愛感情は向けないっていう約束だったんだ」
「・・・なるほどね」
勝手に話すのは良くないことだって言うのは分かっているが、バレてしまったのであればもう言うしかない。
「そーくん」
「・・・・・・」
「やっぱりバカなのかな?」
当たり前ではあるが、ここからは怒涛の説教タイムが始まった。
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