第839話そろそろ
「ねぇそーくん、ちょっとだけ話したいことがあるんだけど」
「話したいこと・・・?」
学校の休み時間。
このように初音から話しかけられること自体には慣れているがいつも一体これから何を話そうとしているのかと何故かドキドキしてしまう。
「話したいことっていうか、そろそろかなってことなんだけど」
そろそろ・・・
その言葉によって俺のドキドキ感はさらに高まってしまう。
そろそろって・・・復縁してから約半年のタイミングでそろそろなことって、なんだ?
「そろそろハロウィンも近づいてきたしその時どうしたいかみたいな話か?」
頼むからそういう平和な話であってほしい。
「あ〜!それももちろんしたいけどまだ10月に入ってもないのにその話はちょっと早いかもね〜、あとでそれ話しても良いけど!」
違った・・・
「じゃあ・・・どんな感じの話なんだ?」
「うん、私の両親に一目会って欲しいなって思って」
「・・・え」
とうとう・・・初音が以前、どこかでそんなことを言っていた時からいつかは来るんだろうとは思いつつもまだまだ先、と思っていたが。
ついにその話になってくるのか。
「あ、全然緊張しなくていいよ?お見合いみたいな感じのことイメージしちゃうかもしれないけど本当にただ紹介したいだけだから」
「き、緊張しなくていいは無理だろ!初音だって俺の両親に会う時緊張してただろ?」
緊張というか・・・正直あの時の初音は本当に初音と同一人物なのかと疑ってしまいたくなるほど人格に違いがあったような気はするが。
「う〜ん、確かにそうだね、まぁじゃあ緊張してても良いから一目だけ会ってみてよ、ね!」
・・・普段おかしなことを頻繁に言う初音だが両親に会ってほしいと言うのはおそらく恋人なら普通だ、しかも恋人にこんな純粋な瞳で言われたら。
「そう、だな・・・まぁ、そろそろ、か」
俺は声を震わしつつもそう虚勢を張る。
・・・初音もただ会うだけで良いって言ってくれてるんだし、そんなに無理に気張る必要はないだろう。
「うんうん!」
初音はそれに対し大振りに首肯してくれる。
「じゃあ私の両親に会いに行く日は10月10日でどうかな?」
「え、それって・・・」
「そーくんの誕生日だね!」
俺の誕生日に初音の両親と初めて会う・・・何かロマンを感じはするが固まり続ける誕生日で終わる気配もする。
初音の両親・・・どんな人たちなんだろうか。
「わかった」
「じゃあそれはそれとして!私の両親に会ってもらう前に一つはっきりさせておかないといけないことがあるよね!」
初音はものすごく元気な声で言う。
はっきりさせないといけないこと・・・あぁ、さっき話してたハロウィンのことについてだろうか。
「あぁ、ハロウィン───────」
「そーくんは誰と浮気してるの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます