第821話冷淡なあゆ
「してない」
嘘をついたら何かが終わるからと言って、そう簡単に漏らしても良いようなことでもない、半分失敗してしまったみたいなものだがあれも思い出としては思い出、こちらからわざわざ言うようなことではない。
「・・・・・・」
あゆは中指と親指をくっつけた。
と思った次の瞬間。
「いっ・・・あ、ぁゆ!?」
あゆは突如俺の急所に対してデコピンをした。
以前にもこんなことあったが純粋に痛いから本当に冗談とかだったとしてもやめてほしい。
「次嘘ついたら子供作れなくなっちゃうかもですね」
淡々と話すあゆはいつもの悪魔的な感じよりも数段と怖いと感じられた、あくまでもこっちは論理をもとに話している、そんな雰囲気を感じるからだ。
「・・・してなくもない」
「・・・そんな曖昧な返答で全く嘘ついてないみたいな目できるんだから先輩って楽そうですよね〜じゃあ、もう初めては済ませたってことで良いんですね」
「済ませては・・・無い」
ゴールまでは辿り着けていない、まだ入門したところでやめさせられた、そんな感じだ。
「そうですか、じゃあまだ初めての途中なんですね・・・どうしても先輩の初めてだけは私が欲しいので、今から強引にでも貰いますよ」
あゆはそう言えば冗談めいた風にだったり、真面目なトーンだったりで確かに俺の初めては貰うと言っていたような気がするが、あれは真面目なトーンの時が本音だったということか。
「・・・あゆ、もうちょっと自分の体のことも大事にしたほうがいいんじゃないか?」
「そう言って、先輩は自分のことしか考えてないんじゃないですか?ただ自分がえっちしたくないだけ、なのに私を心配するふりをしてその難を逃れようとしてる・・・最低ですね」
「そ、そんなこと───────」
「優しいふりして結局は、自分のことしか考えてないじゃないですか、それならはっきりと私とはえっちなんてしたくないって言ってくれた方がまだいいですよ」
・・・確かにあゆの言うことも一理あるのかもしれない。
わざわざ遠回りせず、ストレートに言ってみよう。
「俺は・・・あゆとは、その、したくないんだ」
「よく言えました、先輩♪」
「あゆ・・・」
「でも残念、それで私が引き下がるかどうかは私が決めることなので」
あゆはそう言うと、学校の中、それも男子トイレの中だと言うのに俺の下着を下ろした。
「これ、大きくしてあげますよ・・・もし叫んだり助け呼ぼうとしたり逃げようとしたりしたら、容赦なく握り潰しますからね」
脅してから、あゆは俺のそれを手で擦ったり撫でたりした。
・・・身体的には気持ち良いはずだがとてもじゃないが気持ち良いだなんて感じることはできない。
「・・・私、本気ですからね」
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