第814話ラブホテルの難題

「な、なんでしょうか・・・今薄らとですが、女性の声が、悲鳴にも聞こえましたが、何か事件が起きているんでしょうか」


 まずい・・・確かにラブホテル、変な声が聞こえない方がおかしいというものだ、これはどうにかして誤魔化さなければならない。


「あぁ、そうか?俺には何も聞こえなかったな」


「そうですか?僕の聞き間違え───────」


「あっ・・・!」


「・・・では無さそうですね」


 最悪だ。

 今のは誤魔化しが効かないほどにはっきりと聞こえてしまった、なんてことをしてくれるんだ。


「最王子くん、今の悲鳴はもしかすると、何か暴行のようなものが行われているのかもしれません、まずは僕だけで行って僕が10分ほどしても帰ってこなければ警察を呼んでください」


「ちょ、ちょっと待て!」


「時は一刻を争います!」


「いや・・・」


 これがもし本当に暴行事件だったとしたら天銀は今ものすごくかっこいい所だがこれは絶対に事件でもなんでもない、もしここで天銀がその部屋に突入でもすれば絶対に気まずい空気になる上なんだったら天銀の方が勝手に部屋に入ったことで罪に問われてしまうかもしれない。


「か、勝手に部屋に入るっていうのは、犯罪にはならないのか?」


「緊急性を要するときにそんなことは言ってられませんし、緊急時の場合は法律的にも事情をしっかりと説明すれば大丈夫です」


 本当にこれだけ知識があってどうして性知識だけは欠如しているんだ・・・探偵なんて変わった仕事をしているし、もしかすると小中学生の時は学校に行けてなくて保健体育の授業を受けれてなかったんだろうか。


「ま、待て・・・」


「最王子くん!この女性の悲痛な声が聞こえないんですか!」


 くっ・・・確かに声だけ聞けば悲痛なように聞こえるが多分本人は悲痛とは全く逆の感覚の中にいるんだ!


「今すぐ僕が突入───────」


「待ってくれ、天銀!」


 俺は咄嗟に天銀の手を握り、天銀の動きを止めた。


「えっ、さ、最王子くん・・・!?」


 もうここまで来たら今この声の主が行っていることとこのホテルの正体を天銀の伝えるしかない。


「・・・天銀、良く聞いてくれ」


「は、はい・・・?」


「・・・その、今この声のところで起きてるのは、簡単に言うと、18禁って言われるようなことなんだ」


 俺18歳に到達していないのにそれを一部してしまっているため18禁と言って良いのか分からないが、あくまでも世間体で話そう。


「18禁・・・やはり暴力行為ですか」


「ち、違う違う!」


 やはりこれでも遠回りなのか・・・普通に考えるとこれはもう答えみたいなものなんだが、もう少し細かく説明するしか無さそうだ。


「・・・せ、性的なことだ」


「せいてき・・・?どのようなものか、僕に身を持って教えていただいてもよろしいですか?危ないかどうか判断したいので」

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