第813話天銀とラブホテル!?

 中に入ると、俺はもうロビーの時点で色々と察することができた。


「なんだか異様なホテルですね・・・一体どうして周りがこんなにも派手なピンク色なのでしょうか?」


 周りがピンクでホテルと言われて全く何も思いつかないのはおそらく天銀くらいの純粋な人だろう。


「何名様ですか?」


 フロントの人にそう質問される。


「あ、えっと・・・2名です」


「でしたら、302号室が空いているので、そちらにお進みください」


「あ、はい、わかりました」


 俺と天銀は言われるがままに302号室に向かう。


「少し雰囲気は異様ですが、フロントの方の対応は普通でしたし、少し僕が何かを勘繰りすぎたのかもしれませんね」


 そう言いながら天銀は302号室のドアを開け、天銀はその部屋を見た所感を述べた。

 俺の書簡としては、前に初音が借りていた最上階の一室よりは物が少ないということだった、初音は本当に高いところを借りたんだろうな・・・


「あれ、机等は無いんですね、あるのはベットだけ・・・就寝部屋、と言った感じなのでしょうか、ですがそう考えると2人と伝えたのにベッドが1つしかないのはおかしい・・・部屋の割り振りを間違えられてしまったのでしょうか」


 やめてくれ、そんな純情な所感を述べられると自分が汚れてしまったんだということを自覚せざるを得なくなるだろ!


「な、なぁ、もう良いんじゃないか?」


「いえ、まだ何故男女で行き来しているのかの理由が不明です、そのことを明らかにしないわけには今日はこの部屋から出ることはしません」


「なんだと・・・」


 絶句、この2文字に尽きる。

 つまり天銀がこの部屋の正体を知るまで、俺はこの自分の汚れと戦わなければいけないのか?

 ・・・いやいっそのこと本当のことを言ってみるのもありかもしれない。

 そうすれば─────って!ダメだダメだ、俺はもう汚されてしまっているが、天銀にはまだ引き返せるチャンスがある、俺が天銀のことを救わなければならない。


「天銀、ここは多分なんだが、医療に使われるところなんじゃないか?」


「医療、ですか・・・」


「あぁ、ここは多分外で体調が悪くなった人が緊急的に借りられる個室がある施設なんだ、だからベッドしかないんじゃないか?」


「なるほど・・・そう考えると頷ける部分もありますが、やはりそれだとこの異様な配色と男女であることの説明が付きません」


 今だけは無駄にと言わせてもらうが、無駄に頭が良いせいで天銀のことを救おうにも救うことが難しいな・・・ん?


「・・・・・・」


「今何か・・・」


 ・・・まずい。

 どこからか小さく、変な声が聞こえてきた。

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