第811話自然
「まぁ、こんなもんかな」
初音は暴力を行ったりはしなかったが、その分俺を色々な意味で辱め、満足したのかその手を止めた。
「これに懲りたら、もう私に隠れてこそこそしないことだね、もう隠し事はないよね?」
「・・・・・・」
「何?まだ何か───────」
「そーちゃん!大丈夫!?」
「ゆ、結愛!?」
帰ったはずの結愛が俺の家に戻ってきた。
「ど、どうして?」
「なんか今までは当たり前の光景ですんなり受け入れてたけど、なんで別居したはずなのにまた虫がそーちゃんの家にいるのか意味わからなくなって、どういうこと?そーちゃんとは別居するんじゃなかったの?」
「もちろんそうだけど、今日だけは例外、だってそーくんが私以外の女とお出かけしてたんだし、そんなの浮気でしょ?」
「ルールくらい守ってよ」
「別居しようって言っただけで誰もそーくんの家に遊びに来ないなんて取り決めはしてないよね?」
2人はいつものごとくバチバチにやりあっている。
・・・そうだ、俺も自然になりすぎて忘れていたが初音が家に居るのはおかしいことだったんだ。
霧響・・・はおそらく買い出しとかに出てて、その隙に初音がこの家に潜り込んだんだろうか。
「・・・そーちゃんをそんな風に拘束して何してたかなんとなく想像つくけど、だらかこそ許せない、虫、外出て」
「良いよ、もうそーくんに対する罰も終わったし、邪魔な女を排除する良い機会だもんね」
2人は一緒にこの部屋から出た。
・・・ん?
「ちょ・・・え?」
2人が出て行ってしまった。
それ自体は別に良いんだが・・・
「誰か俺の拘束を解いてくれ〜!」
嘘だろ!?
拘束を解かれ忘れた・・・!?
どうするんだ、割と単純なことだがそれ故に洒落にならない。
その後しばらくして・・・
「お、お兄様!?な、何事ですか!?」
「き、霧響!良いところに!この拘束を解いてくれ!」
「・・・少しだけ、良いですか?」
霧響は一度だけ顔を下に向けると改めて俺と向き直り、俺の首元に自分の唇を当ててきた・・・って。
「え、えぇ!?」
「ちょっとした、悪戯です♪」
霧響はそのちょっとした悪戯とやらをしてから俺の拘束を解いてくれた。
「全く、それにしても白雪さんもお茶目ですね、お兄様を拘束したまま忘れてしまうだなんて」
こっちはそれどころじゃない、実の妹に首元にキスされた・・・?
抗うことができなかったはいえ割と一大事だ。
「買い出しに出る前にお兄様に何をお食べになりたいのか聞くべきでし─────ここで拘束されて何されていたんですか!?」
「今!?」
「お兄様に唇を合わせた衝撃で忘れてしまっていました!」
「・・・まぁ、色々あってな」
「む・・・教えてください!」
「嫌だ!」
「嫌じゃないです!」
「嫌だ!!」
妹に話せるような内容ではないため、俺は硬く黙秘を貫き、霧響はもやもやした様子だったが部屋のベッドを見て何かに納得したらしくキッチンに向かった。
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