第804話別居の提案

 昨日は本当に休み時間に初音が校舎裏に向かって俺も心配だからと覗き見てみたら本当に殺し合いを始めようとしていてびっくりしたな・・・2学期早々流血沙汰は避けてほしい。


「あぁ、死んでしまいそうです、お兄様と居られる時間がここまで極度に減ってしまうとは・・・」


 霧響は珍しく姿勢を崩しており、声も少し掠れ声になっている。

 そんな霧響を1人家に残して学校に向かうのは少し胸が痛いが、それでも行くしかない。


「・・・ねぇそーくん、そろそろ本格的にあの女たちと離れてくれない?」


「え・・・?」


「今は成り行きで一緒に他の女たちと暮らしてるけど、そろそろそれも嫌っていうか・・・普通におかしいと思わない?」


「まぁ、それは・・・そうだ」


 普通に高校生複数人と中学生1人だけで同居するというのは、どう考えたっておかしいだろう。


「だからさ、1回私含め全員そーくんから離れて暮らそうと思うの、前にみたいに・・・まぁ霧響ちゃんに関してはどうにもできないかもだけど、そーくんまさか霧響ちゃんに誘惑されて負けたりしないよね?」


「当たり前だ」


 それだけは断言できる。


「なら問題ないし、今日帰ったら一回全員で話し合って・・・っていうか伝えてわからなかったら力ずくでも納得させて1回全員をそーくんから引き離すの」


「初音も離れるのか?」


「そ、そーくん・・・!寂しがる気持ちはわかるけど、もちろん私は離れないよ、あいつらの目を欺いて数日時間を空けてそーくんとまた暮らし始めるから」


 寂しかったから聞いたわけではないがわざわざそれを主張する理由はないか、それにしても目を欺いて・・・か、もう嫌な予感しかしないがこの予感が当たらないことを祈ろう。


「あとねそーくん、スマホ貸してもらっても良いかな?」


「え、スマホを・・・?なんでだ?」


「重いなんて言わせないよ、これは更なる浮気防止のためなんだから、学校の中だけにしろ浮気したそーくんはこれを拒否できないよね?」


「・・・わ、かった」


 反論する余地がないため、俺は大人しくスマホを渡した。

 ・・・まずい、結愛との関係性に答えを出すのは年末という話だったが、これはできるだけ早く答えを出さないと初音に勘づかれた瞬間に最王子総明としての生命を終えることになってしまうかもしれない。


「うん、じゃあ体育行ってくるね、そーくんも頑張って!」


「あぁ、初音もな」


 初音は恋人らしいことを言ってくれると、この教室を後にした。

 ・・・俺も着替えに行かないとな。

 ・・・ん?体育、着替え?

 俺が男子更衣室に入り、ロッカーの前で着替えようとすると真横から声がかかった。


「さ、最王子くん!すみませんがまた、その・・・お願いできますか?」


 ・・・これも久しぶりだな。

 俺は天銀のことを周りから見えないようにして天銀が着替え終わった後俺も着替え、体育の授業を受けた。

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