第803話限定的な浮気
「そういえばさ、そーくん、そーくんってこの学校の中ではとかって保険にもなってない保険であの後輩の女と恋人なんだっけ?」
始業式が終わりクラス毎に戻る際、初音から明らかに楽しい話ではない話を始められてしまった。
後輩の女というのはあゆのことだろう。
「まぁ・・・そうだ」
「もちろんそれもこの2学期を期に解消してくれるんだよね?」
「・・・そうしたい、とは思ってる」
「だったら私も一緒に言ってあげるから、次の休み時間にでもあの女のクラスに行って別れ切り出しに行こうよ」
「そ、それは・・・」
「何?嫌なの?」
・・・急すぎる、せめて徐々に解消させていきたい・・・なんて、浮気している側の人間が言えるはずもない。
「自分のしてること分かってる?浮気してるんだよ?それなのにそーくんに選択権があるなんて思ってるの?殺されてもおかしくないことしてるのに、私がちょっと大人になってあげてるんだよ?」
「わ、わかった、じゃああとで言いに行こう」
「うん」
俺はもうああいうことをしてしまったんだという後ろめたさもあり、初音のことを強く拒むことができなかった。
それにその後ろめたさがなくても、浮気してしまっているのは俺の方なため拒む権利なんてものは最初からない。
そして休み時間。
「嫌です〜」
「・・・は?私が先にそーくんと付き合ってたんだからそっちが浮気相手ってこと分かった上での発言?」
「そうです〜」
さっきの通りあゆに示談を持ちかけに行ったが、あゆは
「それにこの前私に塩を送ってくれたのは初音先輩じゃないですかぁ、今更諦めろなんて言ったって遅いですよ〜、せっかく手に入れた限定的でも先輩の恋人っていう立ち位置、譲ってあげる理由はありませんよ〜」
「そっちが手放す気なくても、そーくんはもう手放す気なの、ていうか私が居たらそんなのそもそも最初から無かったんだから、今までそーくんと限定的でも恋人でいられたことに感謝したら?私としては死んで欲しいぐらいムカつくけど・・・それにさっきも言ったけど、そーくんと最初に付き合ってたのは私なの、わかってる?」
「冗談きついですよ初音先輩〜、後から私と付き合ったっていうのは初音先輩も分かってる通りですけど、だったら初音先輩に飽きて私の方に移ってきたって物の見方の方が適切じゃないですかぁ?」
「どうせそーくんの情に訴えかけたりしてそーくんが断れない状況作り出したんでしょ?それでも浮気するそーくんは悪だけど絶対悪はそっちだよね」
法律が無ければリアルファイトになっていたかもしれない、というか法律があってもここが家の中であれば全然リアルファイトは起きただろう。
「私この前言ったじゃないですか、これから本気だって、だからもう手放してなんかあげませんよ〜」
「・・・ちょっと2学期早々で悪いけど、次の休み時間校舎裏来てもらってもいい?」
「え、もしかして愛の告白ですかぁ!?」
「それとは真逆のするから安心して」
・・・前言撤回、どうやらどう足掻いてもリアルファイトは起きてしまうらしい。
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