第802話2学期の始まり
俺たちはそれに関係なく休みをとっていたが、とうとう夏休みというものが終わり、2学期の始業式が始まる日になった。
おかげさまで治りが早く、もう骨折なんて全く気にしないでいいぐらいには歩けるのにこれ以上怪我を理由に休むのはなんだか罪悪感の方が強いため、俺は今日をもって半分ずる休みだった休みを終えることにした。
「そーくん〜、やっぱり学校なんて行かなくてもよくない?そーくんは行かなくても良いところだって〜」
「そんなわけないだろ!」
「そうですよお兄様、このままでは私が1人でお留守番することになってしまいます」
霧響の中学校はまだ2学期が始まっていないらしく、ここにいる人たちは霧響以外全員高校生なため、必然的に霧響だけがお留守になるということだ。
「もし不審者が来たらどうするんですか!か弱い女子中学生だけですよ!」
「きーちゃんなら大丈夫じゃない?」
酷なことを言っているように聞こえるが今更そんなことを言われても今までの戦闘力を見て仕舞えばそれで心配することはできない。
多分霧響なら不審者が2人組の男性でも難なく倒すことができるだろう。
「ねぇ、行くなら早くしてよ、邪魔なんだけど」
俺たちは玄関で話していると小姫さんが俺たちのことを急かしてきた。
「ちょっとの間過ごして悪気がないことはわかってるけど、そーちゃんにそんな汚い言葉使わないでもらってもいい?それに、ここはあなたの家じゃないでしょ?」
結愛が小姫さんの発言を気に入らなかったらしく、小姫さんに注意を促した。
「え、ちょっと待って?そんなこと言うんだったら私とそーくん以外この家の主じゃないんだからさっさと出ていって欲しいんだけど」
だが今度は初音が結愛の発言に疑問を感じたらしく、初音が結愛に口撃を仕掛けた。
「落ち着いてください、言い方に問題があったことは事実ですが小姫さんの言う通りこの場で時間を浪費してしまうと始業式に間に合わない可能性があります」
そしてその一連の流れを収めようとする天銀。
「不本意ですが私はここで大人しく待ってますね、皆さん行ってらっしゃいです」
皆不満はあるようだったが天銀の発言に納得したらしく、全員で同時に家を出た。
・・・俺たちが学校を休み始める前では、こんな密な関係性になるなんて想像もできなかったな。
学校に行っているときから色々と関係性も変わっている、またその景色でしか見えない学校生活があるんだろうか。
「・・・とにかく疲れることは間違いないな」
俺は今日も朝から深いため息を吐き、学校に向かった。
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