第800話初めての感覚

「んっ❤︎」


 初音がただの高音というだけではない、艶のある声をあげる。

 今までにないほどの艶のある声だ、やはりそれ相応に来るものがあるのだろう。


「・・・ん?」


 俺はその直後に目の前に光景に急激に恥ずかしさを覚えてきた。

 目の前には何も服を着ていない初音、そして裸の俺。

 おまけに初音の息遣いも、俺自身の息遣いも無意識の内に荒くなっていた。


「わ、悪い初音、一回───────」


「だめー!ここまで来たんだからもう最後までしてくんないと欲求不満になっちゃう、もし仮に今他の女とか天銀とかがそこのドア開けても構わず続けるからね・・・そーくんの裸を記憶に残させるのは嫌だけど、そんなのは後からいろんな手段で記憶消せば良い話だしね」


 こんな状況なのにさらっと怖いことを言う初音には感嘆せざるを得ない。

 ・・・改めてのだが、俺は今世にいう初めて、というものを体験しているのだろう。

 感想としては溶ける、と言った感じで、上手く筋肉に力が入らない。


「大丈夫?そーくん、痛くない?」


 初音が俺の様子を気遣ってくれている。


「あぁ、大丈夫だ・・・って、それは俺のセリフだろ!」


「あぁ、私は大丈夫だから、そーくんが気持ち良いように動いていいよ」


 とは言っているものの若干声が掠れていて、目も涙目にはなっていないがどうも潤いが見える。


「一旦、落ち着くか?初音も辛いだろうし」


「え、なんで!?嫌!今してくれないならそーくんのそーくんのこと切り落としちゃうからね!」


「え、えぇ?」


 初音の声音から冗談であることはわかるが、それにしたって男である俺からすると恐怖のフレーズだ。


「そーくん、もう一回・・・してみよ?」


「・・・わかった」


 俺は初音に言われるがままにもう一度入れてみ───────んぐっ!?


「せんぱぁいさっき結愛先輩がぶつぶつと嬉しそうにしてたんですけどもしかして先輩って今日結愛先輩とどこか出かけ─────えっ」


 俺は突然初音に抱き寄せられたかと思ったら、突然布団を覆い被せられた。

 何事かと思ったが、隣からあゆの声がしたことからその理由が身隠しのためだとわかった。


「・・・先輩?もう寝てるんですかぁ?」


「・・・・・・」


「寝てるなら襲っちゃいますよ〜?」


 足音がこちらに近づいてくる。

 まずい、このままだと裸で初音とベッドの上にいるという意味深どころではない状態が見られてしまう。

 俺が少し考えていると、初音にお腹当たりを軽くつねられた。


「いっ・・・!」


 声が出てしまった・・・


「あ、なんだ起きてるんじゃないですか〜」


 こちらに向かってくるあゆの足音は止まった。

 ・・・なるほど、俺が起きていると気づかせるために初音は俺に声を上げさせたのか。


「・・・・・・」


 とは言えこの状況がまずいことに変わりはない。

 初音はここからどうするつもりなんだろうか。

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