第799話交わる時
「─────きて」
脳内に静かに、それでいて色気のある声が響く。
「そーくん、起きて」
俺はその初音の一声で目を覚ました。
さっきの記憶と照らし合わせてみるに、俺はおそらく飲み物に睡眠薬か何かで眠らされてしまったんだろう。
「あ・・・!この展開は!」
俺はいつものように、と枕詞に置くのは不自然だと重々承知だが、いつものように手足を縛られてしまっているのではと思い自分の手足を見回してみたが、特に縛られたりはしていないようだ。
「縛られて・・・ない?」
「うん、これから私たちがすることにそんなの不要だからね」
「な、何をするんだ・・・?」
「決まってるでしょ?」
初音は当たり前のように見覚えのあるゴム状の丸いものを出した。
「初めて」
「・・・・・・」
「でもね、これに関しては私1個謝らないといけないことがあるんだよね」
「・・・え?」
黙って出かけたことで怒っていたはずの初音から予想打にしない謝罪という言葉が出てきた。
「今まで私は子作り子作りって言ってきたけど、よく考えたらこれって避妊してれば純粋に気持ち良くて、愛し合える行為なんだもね、なのに今まで子作りに執着しすぎてそーくんのこと置いてきぼりにしてたかなって」
確かにそれは俺も思ってはいた。
この言い方からするに子供を作ることを諦めたわけではないんだろうが、それでも別の楽しみもあると気づいてくれたんだろうか。
・・・と言っても子供ができる可能性はどう足掻いても0にはできないらしいため勇気がいることに変わりはない。
「だからね、そーちゃん、最初は避妊ありでもいいから・・・それなら、いいよね?」
「・・・・・・」
心臓が高鳴っているが、そろそろ俺たちも次のステップに進む時かもしれない。
結愛との関係性にも折り合いがついていない中複雑な心境ではあるが・・・それでも、そろそろ進みたいと思っている自分がいる。
「わかっ・・・た」
「っ〜!私ね!そーくんがそう言ってくれると思ってそーくんのこと拘束してないんだよっ!」
「あ」
そういうことだったのか・・・
「じゃあまずは元気にしてあげるね」
初音は慣れた手つきで俺のそれを大きくしてみせた。
「そーくんのこれの扱いもだいぶわかってきたよ〜、それで、これを被せれば良いんだよね!」
初音はそれに被せ物をする、さっきのゴム状のものだ。
「どんな感じ?」
「あぁ・・・不思議な感じだ」
特段動きづらいわけではないがそれでも包まれているという感覚はある。
「そっか!あ、そーくん、前みたいにすぐはだめだよ?ちょっとは我慢してね?」
「わ、わかってる!」
俺の黒歴史を掘り返さないでほしい。
「うん、私も脱ぐね」
初音は服を全て脱ぎ、寝転がってみせた。
「じゃあ、そーくん・・・お願い」
「・・・・・・」
俺は心臓を強く鼓動させながら、ゆっくりと・・・初音と交わった。
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