第798話お出かけ発覚
俺と結愛はその後もスパを楽しみ、家に帰ってきた。
「楽しかったね、そーちゃん」
「あぁ、楽しか───────」
「何が楽しかったの?そーくん」
「えっ」
初音が玄関で俺たちのことを待ち伏せていたらしく、俺に刺すような勢いでその質問を投げかけてくる。
・・・まずい、純粋に楽しく遊んできたから完全に油断してしまっていた。
「私がこの女の罠に引っかかってる間に、この女と出かけてたんだね」
「結愛の・・・罠?」
「そっちは本題じゃなくて、そーくんが私に黙って他の女と出かけてたこと、これはどうなの?多分私じゃなくたって、恋人に一切の確認も入れずに他の女と出かけたりするのは浮気だって疑うと思うよ?」
「それは、確かに・・・」
というか事実浮気してしまっているからそれを頭ごなしに否定するほど俺は浮気者に成り切ることはできない。
「どこで何してたの?」
「虫と行くとそーちゃんの目が可哀想なところかな〜」
「は?」
「スパだよ、あそこは水着にならないといけないから、虫の裸なんて見たらそーちゃんに毒でしょ?」
「・・・そうかもね」
・・・え?
あの初音が結愛の煽りをそのまま受け入れた・・・?
「ようやくわかってくれたんだ」
結愛は上機嫌になったようだ。
「じゃあ私、今日のこと吟味してくるから」
そう言うと結愛はリビングの方に行った。
吟味って・・・思い出してそれを噛み締めるということだろうか。
「・・・あの女、家の中で他の女の目もあるからって私とそーくんを2人にするなんて、油断したね」
「・・・え?」
初音は不吉なことを言う。
「そーくん、さっき私があの女の戯言をそのまま受け流したのは、あの女をどっかに行かせてそーくんと対話・・・の必要も無いか、私に黙ってあんな女と出かけてたのはショックだけど、今日私とそーくんは、また一歩前に進めるんだよ」
「一歩前・・・?どういうことだ?」
「その前にはい、これ!」
初音は俺にペットボトルを差し出してきた。
「外で運動してきたばっかで疲れてるでしょ?これ飲んでちょっとでも体休めて」
「あぁ、ありがとう」
俺はそれを口に含め、喉に通した。
・・・なんだ、これを通した瞬間少し体全体に違和感を覚えた。
「・・・そーくん、私今出かけてたことに怒ってたのにそーくんが外に出て運動してきたことを本気で労うわけないよね?」
「・・・え?」
「こんな簡単に騙されちゃうんだね・・・でも今日は私がリードして、一歩前に進めてあげるから、そうすれば、そーくんももう私以外に目がなくなるから」
「それってどういう───────・・・」
「そーくん、今日は本当に・・・するからね、今日私はそーくんに捧げるよ」
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