俺の転校先の学校の隣の席は完璧美少女元カノだったー嫉妬さえ失くしてくれたら完璧美少女なのに〜

第785話霧響の決意

「お兄様〜！」

　霧響が出会い頭抱きついてこようとしてきたため、俺はそれを華麗に避けることに成功した。

「なんで避けるんですか！」

「いつもワンパターンすぎてそろそろわかってきてるんだ！」

「それって次からは別のパターンで抱きついて欲しいと直接言うのは恥ずかしいからと遠回しに私に言ってるんですか！可愛らしいですねお兄様❤︎」

「ぐっ・・・」

　ようやく少し悔しがらせることができるかと思っていたがむしろ返されてしまった。

「お兄様、本日は少しご相談があるんです」

「相談・・・？」

　これは兄妹水入らずというものだろうか。

　とうとう俺が兄として活躍できる時かもしれない。

　そしてそうすればやはり異性だからではなく、兄として必要な時もあると考え直してくれるかもしれない。

　そうなれば・・・霧響とはこれから全てがうまく行く。

「どうした？なんでも聞く」

　俺はいつもより少し優しそうな声で言う。

「はい、ですが最初に言っておくと、これは私のお友達のお話です」

「あ、そうなのか」

　そう言えば今まで霧響の友達の話はあまり聞いたことがなかったな。

「そのお友達にも兄が居るそうなのですが、実はその方も兄に対して恋を患っているそうなのです」

「なるほど・・・」

　今時の妹という存在はもしかすると兄妹でも関係なく人柄が好みなら恋してしまうものなのだろうか。

　確かに今は多様性が認められる時代、もしかすると古い考え方なのは俺の方なのかもしれない。

「ですが、その兄がそのお友達の想いに応えてくれないそうなのです」

「それはまぁ・・・兄妹なら普通なんじゃ無いのか？」

「ですがっ！私のお友達が可哀想だとは思いませんかっ！」

「・・・確かに可哀想だな」

　それは仕方ないことではあるが可哀想か可哀想で無いかで言えば確実に可哀想ではあるだろう。

「そうですよね！ではお兄様はこの問題についてどうすれば私のお友達の想いが成就されると思いますか？」

「そうだな・・・やっぱりそのお兄さんの方をどうにか説得するか、妹さん自身が新しい恋を見つけるしかないな」

「では妹自身が新しい恋を見つけるなんて絶対無理で兄の方が変わろうとしなければどうすれば良いんですか？」

「それは、もう諦めるしか───────」

「諦めるという選択肢なんて絶対に無いです！」

　霧響は強く言い切る。

　・・・諦めるという選択肢が無いなら。

「やっぱりそれでもどうにかお兄さんの方を説得するしか無いんじゃ無いのか？」

「・・・そうですよね、ありがとうございます！不安を断つことができました、お兄様、今の言葉、忘れないでくださいね？」

「え、なんで俺・・・？」

　霧響は何かの決意をしたようだった。

　特に声音などに違いがあったわけではないが、血が繋がっているからなのか、それが直感でわかった。