第784話天然たらし
「小姫さん!」
「何、声デカ、うるさいんだけど」
俺は帰ってきた小姫さんにさっきのことを問い詰める。
「何、じゃない!初音のプレゼント用に買ってきたポーチに変なもの入れたのはわかってるんだ!」
敬語・・・冷静になって考えてみるとやはり年上の人に敬語を使わないというのはどうかと思うが、今は俺が確実に被害者、そんなことを考えている余裕は無い。
「あっ・・・ん!し、知らないし!」
小姫さんは何故か変な声を上げた。
図星を突かれたってことで良いのか・・・?
それにしてはわかりやすすぎる気もするが俺としてはどっちでも良い。
「嘘をつくな嘘を!どう考えても小姫さんがあんな変なものを入れたに決まってる!」
「だ、だってポーチ渡すだけじゃダメだと思ってぇ・・・」
「だからって避妊具なんて入れられてもどう考えても困る!」
「ご、ごめんなさいぃぃぃ」
「・・・それに、なんであんなの持ち歩いてるんだ!」
買ったばかりのポーチに入れられたってことは持ち歩いていたってことだ。
あんなものを持ち運ぶ理由なんて・・・ん?
「そう言えば、小姫さんって恋人とか居るんですか?」
素朴な疑問が生まれた。
今まで小姫さんの恋愛事情なんて聞いてこなかったし聞く必要も興味もあまりなかったが、少し興味本位で聞いてみる。
「え、な、何でそんなこと聞く・・・わけ?」
「何でって・・・なんとなくです」
「私に気があるの?」
「は、は!?なんでそうなるんだ!」
「ひぃぃぃ、そ、そう勘違いされても仕方ないよ、ってぇ・・・そういうところがたらしっぽく見えちゃうんだよぉ?」
小姫さんはいきなり気が弱そうな声になった。
これは本当にずっと謎だな。
だが小姫さんが変人なことはわかってたことだ、そんなことよりも・・・
「た、たらし!?」
俺はたらしだなんて思われてるのか・・・!?
「正確には天然たらしってやつなんだけどね」
「いや・・・たらして無いですよ!」
小姫さんは一体何を言っているんだ。
「だから天然って付け加えたんだって」
小姫さんは弱っているような声からいつもの強気な声に戻る。
「ほ、本当にそんなつもりで聞いたんじゃ無いんだ」
「そんなのこっちからしたら口説かれてるのかなって思っても仕方なくない?恋人居るのか、なんて聞かれたらさ」
それを軽く聞いただけでも口説いたみたいなことにされてしまうのか・・・感性が難しすぎる。
「・・・じゃあそれは誤解を生むようなことをして申し訳なかったです」
とにかく謝っておく。
「うん、許してあげる」
「・・・ん?」
「・・・何?」
「許してあげる、じゃない!なんでこっちが謝らないといけないんだ!元々は小姫さんが変なことしなければこんなことにはなってないだろ!」
「ひぃぃぃ、その通りですぅぅぅ」
「・・・・・・」
小姫さんお術中にハマってしまっていた。
やはり小姫さん、ただものじゃ無い・・・
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